程度で負けるか
空間外すらも支配域においたあいつは凄まじい。
もう何が起こっても疑問に思うことすら許されないほどに、何もかもがアイツの自由であった。
気づけば細切れにされ、気づけば雷が突き刺さり、気づけば巨大な拳に潰される。
ようするになんでもアリなのだ。
消滅しろと念じれば消滅するし、破裂しろと念じれば破裂する。
とにかく、なんとかして弱点を探し出さなくては……。
「完全無効」
「無駄だ。魔法をこの空間で封印する。これでお前は使えない」
「これは魔法じゃない。ルールだ」
「認識変更なぞ無駄だ」
「だからルールと言っているッ!お前は俺をどこでもない空間へと追いやった。だからこそ教えてやる。ここは今から俺の空間だッ!」
「しかし支配は届いている」
「支配権は俺にあるッ!」
ルールをルールで上書きする!この世界を書き換える権限ッ!アイツは空間から弾き出したせいで、一つの矛盾が生まれた。
どこにもないところに俺が送られた。そこは空間でなくてはならない。そうでなければ、存在は存在できないのだからッ!
「しかし無駄だ」
「無駄じゃないって言ってるだろ。この空間でおきる事象全てが俺の自由ッ!この空間にいるかぎり、俺は一切のダメージを受けないッ!」
「それが無駄なのだッ!受けなくてなんだッ!お前にそれができるのなら、シンだって同じことッ!支配したところで、シンには無意味なのだッ!」
なんども突撃して分かったことがある。ある一定の距離感から先に進めない。
それがコイツと俺の空間の境目なのだとしたら、俺はどうしたって侵入できない。
しかし、俺は思いついた。なんとかできるかもしれない方法をッ!
「空間アタックッ!」
「それをぶつけるなぞ正気の沙汰かッ!」
「可能性だァアアアアアア!」
「不確定要素の化け物がッ!」
衝撃に耐えきれずに空間同士が混ざりあい、一つの空間となった。
そして混ざりあったことで、やつの本体が出現するッ!
「なぜ、これはシンの体ッ!つまりこれは、シンの魂かッ!」
「さすがのお前も、二つの空間全てを支配できるほどの力を持ち合わせていなかったようだなッ!」
「それがどうしたッ!だからどうしたッ!お前にシンは倒せまいッ!」
「その神が俺を作り出したのを忘れたかッ!」
支配と支配がぶつかり合う。空間そのものが決着を望んでいるのかッ!
ならばいいだろう。決着つけようぜえええええええ!
「お前はッ!いったいなんだァアアアアアア!」
「ただのバカだッ!それと、もう一度言い返しといてやるッ!バーカがよッ!」
与えてやるよ。お前のための最後ってやつをッ!
叫びと叫びがぶつかり合っているッ!魂と魂が、全てを削りあっているッ!
しかし、しかしッ!俺の技が先に届くッ!
「空間断絶ッ!」
「なんだッ!何が起こっているッ!」
「その切り出されたお前を取り囲む空間は、お前だけの空間だ。支配したければ永遠に支配しつづけるがいいッ!ただし、永遠に出ることなんぞできないがなッ!」
宙に浮かぶ全知全能。出られないなんて笑えてくるぜ。
「そんなもの、切り裂いてくれるッ!」
「抵抗するか、ならばもう一度くれてやるッ!圧縮ッ!」
「まさか……まさか……空間そのものを小さくするだと!?そんなバカなことが、シンを……神であるシンを永遠に閉じ込めるなんぞオオオオオッ!」
「これくらいしかないんだよなッ!」
「グウウウウウウウウッ!脱出不可ッ!脱出できぬッ!こんな……こんなことがアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!」
「これが、これこそが、全存在全ての封印を可能とふる最強奥義ッ!空間封印ッ!」
あいつを閉じ込めた空間は、小さく小さくなって、隔離された世界である空間の音は、こちら側には響かない。ただ見えなくなるまで小さく小さく、出ることすら許されない究極の封印。
これが俺の奥義だ。
「何もかもがお前に支配された世界……か。それは果たしてありがたいのかどうなのか。いやありがたくなんてない。なんせそれは、不幸を全てを運命のせいにして、悪行すべてを運命のせいにして、言い訳が都合よく存在する世界。そんなの、そんな逃げるだけの世界なんて、あってたまるかバーカ」
ってッ!よくよく考えたらアイツの機嫌一つで最低な人生味わうことになるじゃねぇか。
まじ封印してよーかった。
「早く探しにいかないと」
努力も才能も存在しない全てが運命の通りの世界。全員が、物語の登場人物のような扱いを受けているし、それに気づくことすらないなんて、正しいなんて思わない。
少なくとも俺は……ね。
やった実質倒した!強くしすぎて困ってたんだヒャッハアアアアアア!
追記の悲報
アルクの意味を間違えて覚えていたことが判明。
なんでなんすかねぇ……。




