03_美少女とコーヒー
とりあえず、気になったこととして、彼女は高校の制服と思われるものを着ていて、鞄は1個だけ。
しかも、通学用の鞄だ。
見たことがない制服だし、福岡から出て来たにしては荷物が少なすぎる。
後は、すごくかわいい!
街で見かけたら確実に2度見する。
染めてる感じはしないけど、カラメル色のストレートヘア。
大きめな目で、少したれ目。
涙袋がちょっとあって、俺の好みにドンピシャという感じ。
理想の女の子が3次元に飛び出してきた感じだ。
後は見慣れないブレザー。
高校の制服だろう。
3倍増しくらいに可愛く見える。
制服を着ているということは、旅行とかではないともう。
その彼女が口を開いた。
「私に、セリカくんの身の回りの世話をさせてもらえないかな!?いえ、させてください!」
何故だか必死な彼女。
俺は部屋の中を見渡した。
ゴミ袋こそ落ちていないが、散らかった雑誌とゲーム、キッチンには洗っていない皿とコップ。
服は出かける時に着るものを床に置いているだけだ。
散らかっているわけじゃない!
それに今日は出かけないつもりだったから、まだパジャマだけど・・・
「そりゃあ・・・身の回りの世話をしてくれたら嬉しいけど・・・」
「ほんと!?ぜひ!じゃあ、早速片付けちゃうね!」
何故だか息を吹き返したように元気になる彼女。
初対面の人に部屋を片付けてもらうというのも変な話なので、自分がメインで・・・
「あ、セリカくんは大丈夫。部屋で休んでて!掃除道具とか場所が分からない時は聞きに行くね!」
俺が残ったコーヒーを飲んでいる間も、彼女はテキパキと部屋を片付けていく。
ちょっとしたゴミ屋敷は、3時間ほどですごく片付いた。
ゴミ袋は、30Lのもので、10袋。
このゴミどこから来たんだ!?
キッチンもシンクの底が見えたのはいつ以来だろう。
片づけが終わると、改めて彼女がコーヒーを淹れてくれた。
うちってドリップコーヒーの豆あったんだな。
「コーヒー豆は未開封のものがあったから、開けさせてもらったね」
「ああ、それは問題ない。きっと俺だとその存在も気づかなかったと思うし・・・」
(コトリ)
「おまたせしました」
喫茶店でコーヒーを出すときみたいに、すごく自然にすごくいいものが出てきた。
俺が数時間前に淹れたコーヒーと香りからして全然違う。
俺がテーブルでコーヒーを飲んでいる間も、彼女はキッチンで何か洗い物をしている。
鼻歌まで歌っていて、ご機嫌だ。
ちょっと前まで死にそうな顔をしていた少女とは同一人物とは思えない程だ。
彼女の目的はなんだろう?
宿代がないから、泊めてほしいとかだろうか。
ただこの家、俺しかいないから泊めるのも憚られるなぁ。
そんなことを考えながら飲んだコーヒーだったが、味はすごくおいしかった。
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