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帰還

 エドガー兄上に好意を抱いているリリーお姉さんと別れた後、俺は王都の屋敷に戻った。


 夕食の時間になり、リビングに家族が集まってきた。それと同時にメイド達が大きなテーブルに食事を運んでくる。運び終わったと同時に家族全員が手を合わせる。


「「「いただきます!」」」


 そうして食事を口に運んでいく。


 うん。美味しい。5歳の俺にも食べられるサイズのものばかりで、メイド達の配慮が窺える。

 俺はメイド達にお礼を言おうとしたが思いとどまった。こういうことは言わぬが花だと思う。メイド達も褒められたいと思いしているとは考えられなかった。


「アル。今日の王都散策はどうだった? 何か学べたか?」


 父さんは俺が今日得た成果を聞きたいらしい。


「はい父上。今日神殿に行って神様にお祈りしてきました」


「神殿か。ハワード領の教会より王都の方が大きいだろう?」


「ええ。それだけでなく細部に彫刻が施されており驚きました」


「そうか。そんなところまで見ているとは、さすがはアルだな」


 俺は褒められて素直に嬉しかった。


「他にはどこに行って来たの?」


 アリシア母さんが俺に問いかけてきた。


「はい母上。王都の大通りにある屋台をまわりました」


 俺がそういうとなんだか急にアリシア母さんはムスッとしてしまった。


「……あの母上。どうされましたか? 何かお気に触ることがありましたか?」


「……ママ、ママって呼んでってお願いしたのに……」


 おっと、そんなことで機嫌が悪くなってしまったのか。


「ごめんなさいママ」


「うん、それでそれで?」


 アリシア母さんは顔をパッと明るくさせてさっきの話の続きを促してきた。


「王都の屋台は活気があって食べ物も美味しかったです。でもママと一緒に食べる方がもっと美味しいです」


「キャー、嬉しいこと言ってくれるじゃない! 今日も私の抱き枕ね!」


「はいママ!」


 二日連続で抱き枕きましたっ!!

 異世界ありがとう!!!


 


 この会話を静観して見守っていた男性陣は皆同じ事を思った。


 女は難しい、と。







 そうして楽しい食事の時間は過ぎ去り、翌朝。


 ハワード領をしばらくの間留守にしていることもあり、父さんと俺は馬車で本邸に帰る事になった。


 一日どころか二日も王都に滞在してしまった。姉のジェシカ姉さんもそろそろ拗ねている頃だろう。早急に戻らねば、ハワード領が大変な事になってしまうかもしれない。姉は弟である俺を可愛がってくれる重度のブラコンなのだ。


「それでは、私とアルはハワード領に戻る」


「ママ、オリバー兄上、エドガー兄上、お元気で」


「ここに残ってもいいのに……。まあいいわ。いつでもきていいのよ?」


「はい、ママ!」


「ちゃんとご飯を食べて大きくなるんだぞ!」


「魔法の勉強もするようにね」


「ありがとうございます、オリバー兄上、エドガー兄上。それでは」


 そう別れを告げて、父さんと俺はハワード領に戻るため、馬車に乗り込んだ。


 あの凶暴なメロンともおさらばか。短い間だったが俺はどうやら虜になってしまったらしい。


 そんな事を思いながら、王都を出発した。

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