新作スイーツは遠く輝く
「ナギのすけー」
「なんだくるみえもん」
「あんたって頭よかったんだねー...」
「はっ」
鼻で笑われたわたしの手元にはナギのテスト結果、鼻で笑ったナギの手元にはわたしのテスト結果が風で揺れている。
まけた。
いや、まあね。高校で初めてのテストだったしね。要領もわかったし次はもうちょっとなんとかいい点とれるしね。中学の内容ばっかりでなんかぽやーっとしてただけだしね。
背をつけた体育館の扉の向こうから人の声とボールの弾む音が響き始めた。あー、もうそんな時間かあ。よいせ、と立ち上がり携帯を弄るナギを見下ろす。つい先日染めたという、ダークブラウンの髪が光に当たって明るく見えた。そして耳元にはピアスがキラリと光る。校則的に大丈夫なんだっけ?
「ところでくるみえもん、てめー今日暇だよな」
「断定はよろしくないのではとくるみえもんは思うよナギのすけ。あんたも暇なくせに」
「おれは向こう行くから暇じゃねェの。今日コンビニ新作だしたってよ。いくか?」
ん、と差し出されたスマホの画面には、いつもいくコンビニの新作スイーツの写真がデカデカと映し出されていた。わお。
「いくいくー。あ、はいこれ」
「...今回の景品これな。あざーっす」
「!!!」
ナギの指に挟まれた二枚の紙がヒラヒラと揺れた。くっ、次は必ず!