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魔女奇談  作者: イオタ
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CASE1-2 狂犬

CASE1-2 狂犬


ペロが生き返った。

このことは信じられない事だけど、生き返ったのは事実なの。

パパもママも最初は気にしていたみたいだけど、今はそんなに気にしてないみたい。


ペロが生き返って1週間経つけど、ペロが生き返った事以外は、何にも変わらない感じ。

あたしは、ペロと散歩に行く事にした。


「ペロ、お散歩行こう!」とあたしが言うと、ペロは、「ワンワン!」と甘えてくる。

やっぱり、かわいい。


ペロはあたしと長い時間を過ごしてきたから、もう親友って感じなのかもしれない。

あたしとペロが散歩するのはいつものコース。

学校の近くのグラウンドを横切って、公園で休憩して、それでうちに帰ってくる。


30分くらいかな。トータルで。


学校の近くを通ると、野球部が練習してた。

お休みなのに、練習かぁ・・・大変だなぁ・・・・とあたしが思っていると、




カキーン!!


という、ボールを叩くいい音が。

あ、ホームランだ。


と思っていたら、ボールはあたし目掛けて飛んできた。

危ない!と思ったんだけど、あたしは上手く避けられなくて・・・・・・


ズドン!


とボールはあたしの腕に当たってしまった。



「おーい、大丈夫か??」と声をかけてきた野球部の1年生くらいかな・・・・??

とにかくその人にに、あたしが「あ・・・大丈夫・・・。」と言おうとしたその時、



「ガウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ!!!!!!」


と、ペロが野球部の人に飛び掛った。


「うわ!!」とびっくりしてると、ペロが野球部の人の上にのしかかって・・・

「助けてくれ!!」


と声を出した。


あたしは、必死にペロのリードを引っ張った。

でも、ペロは上になったまま、「ワンワンワン!!!」と吠えている。


「ペロ、やめなさい!!」とあたしが言っても聞かない。


「おい、どうした!!」と他の人も集まってきた。

すると・・・・ペロは急におとなしくなり、あたしのそばに来た。


「その犬が、襲い掛かってきたんだよ!」と野球部の人が言うと、「ワン!!」と吠えるペロ。



「おい、腕腫れてるぞ??」といわれると、あたしは自分の腕を見てビックリした。

だって、ボールの丸型のあとがしっかりついていたから。


「とりあえず、冷やさないと!!」とあたしは保健室に連れられて、手当てをしてもらった。



手当てが終わっても、ペロはずっと吠えたままだった。

なんとか、あたしはなだめてペロと公園に着いた。



すると、ママが来た。


「ママ!」

「美由!」



「ペロが暴れんたんですって??」

「うん・・・・」

「おかしいわね。今までのペロなら、そんなことなかったのに・・・。」

「ペロはでも・・・あたしを守ろうとしてくれたの・・・。」

「ペロが??」

「うん、でもあたしが危ないと思うと・・・ペロがなんか・・・今までのペロとは違って、なんていうか・・・うまくいえないんだけど・・・。」

「ペロがとりあえず、今までのペロとは変わってきてるってことを言いたいの??」

「そう。」



「まぁ・・・。」



ママはそういうと、それ以上何もあたしには聞いてこなかった。

でも、ペロはずっとあたしを見つめてる。


あたしは、ペロの頭をなでてあげた。

ペロはすると・・・突然走り出した。

「きゃあ!!」


とあたしがびっくりする。

「美由!!」


と、ママが追いかける。


でも、ペロはあたしが踏ん張る力より強くて、あたしはどんどんどんどんペロの力に引っ張られて、走り出しても止まらない。





「美由!」といってママがなんとか追いかけてきてくれて、あたしを引っ張って、なんとかとまった。


ママは、「ペロ!!」といって、ペロを怒る!


ペロがママにだめでしょ!ってたたかれると、




ママの腕に、ペロが噛み付いた!



「痛い痛い!!!!!!!!!!!!!!!」



ママの高い声が響く。


「ペロ! やめなさい!!」とあたしが言うと・・・・ペロはやめない・・・。

「ママ!!」とあたしが呼ぶけど、ママが苦しそう。




ママを噛んでるときのペロの目は、その目はあたしが知ってるペロじゃなかった。


「美由・・」

ママの腕からは、おびただしいくらいに血が出ていた。


「ママ!」


そうしていると、サユがきた。

「どうしたの??」とサユは冷静に聞く。

「ママの腕をペロが噛んで放さないの!!! ママを助けて!!!」

「それは二つ目のお願い??」

「何でもいいから早く!!」




「わかった。」といってサユが小さな声で何かつぶやくと、ペロは噛むのをやめた。




ママはその後すぐに病院に行った。

1ヶ月くらいは安静にしないとだめだ。というお医者さんの忠告をもらったママ。



あたしは・・・部屋でずっと泣いてる。

ママを噛んだペロも嫌い。

でも、そんなことの原因を作ったあたしも嫌い。


嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い!!!!

きらいきらいきらいきらいきらいきらいきらいきらいきらいきらい!




あたしは涙ばっかり出てくる。

「美由?」とパパの声がする。

「何・・・・・??」とあたしは泣きながら言った。

「泣いてるの??」とパパが言う。

あたしは何にも言わない。

「ペロがいけないことをした。それはわかるね?」とパパが言う。

「でも・・・美由が泣いててもどうにもならないから・・・・今度こういうことがないようにな・・。」


パパはあたしの頭をなでた。




あたしは夜の静かな庭で、ペロの頭をなでた。

こうしているときは、いつものペロ・・・・。



「ペロがママを噛んだんだって??」

「サ・・・サユ・・・・・・・・。」

「あたしのことはいいんじゃない。ペロはどうしたの?」

「なんか生き返ってから・・・・変なになったの。」



サユはくすっと笑う。

「ペロがおかしくなった?? でも、それも生き返ったからよ。」



「ワンワンワンワンワンワンワン!!!!」



「生き返ったからって、幸せになるわけじゃないのよ。」


そういうと、サユは闇の中に消えた・・・。


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