CASE1 犬と女の子
この物語は、基本、ホラーandバッドエンドです。
そういうのが嫌いな方は、読まないほうがいいです。
読まれた方は、感想を送ってもらえると嬉しいです。
「ペロ、ペロ、目を覚まして!!」
あたしが揺さぶっても起きない。
ペロは死んじゃったの??
ペロは、あたしが飼っている犬の名前。
ペロはあたしが小さい頃から、飼っていた犬で、小さい頃から一緒にいたの。
でも、今はもう息すらしてない。
ただ、眠ってるように見えちゃう。
「ママ、ペロはまだ死んでないよね??」とあたしが聞いても、
「ペロはもう死んでしまったの。眠っているペロはもう起きないの。」
パパは、「ペロはもう目を覚まさないんだよ。だから、ペロをゆっくり眠らせてあげなさい。」
「そんなの嘘よ! ペロはただ眠ってるだけよ! 明日になればペロは目を覚ますわ!」
あたしは強く、強くそう言った。
そうしないとペロが目を覚ますと信じたから。
涙をこらえてそう言ったの。
ママとパパは、あたしを慰めようと必死。
でも、あたしは信じない。
ペロが死んだなんて、信じない。
ペロはただ眠っているだけ。 いつもみたいに、眠っているだけよ。
「明日、きちんとお別れをするから、ペロと過ごしなさい。それがペロとの最後の時間だよ。」とパパはそう言う。
ママは、「あなた・・・。」と言うけど、あたしは何も言わなかった。
だって、最後の時間なんてこないもの。ペロは目を覚ますわ。
「あの子には、死を受け入れる事も大事な事だよ。だから、今日はペロと一緒にいさせてあげよう。」
「わかったわ・・・。」
そういうと、パパとママは寝室へ行ったの。
どれくらいの時が経ったかは分からないけど、リビングであたしはペロを自分の膝において、ペロの頭を撫でたの。
そうすれば、ペロは甘えてくるから。
「ペロ、ただ眠ってるだけだよね? 明日になれば、きちんと目を覚ますよね??」
「いいえ、ペロは永久に目覚めないわ。死んじゃったから。」
パパの声でもない。ママの声でもない。
あたしが振り返ると、そこには黒い着物を着たお姉さんが。
あたしは声を出そうとするけど・・・・声が出ない。
でも・・・ペロが死んだなんて嘘よ。
「嘘じゃないわ。あ・・怖がらなくても大丈夫。あたしはサユ。あなた、可愛がってた犬が死んじゃったんでしょ??」
あたしはただうなづくだけ。
でも、どうしてこのお姉さん、ペロの事を知ってるんだろう?
今、冷静になってみてみると、このお姉さん結構、美人・・。
色白で髪の毛が茶色で沢尻エリカさんみたいな顔をしてる。
「美人? あたしはかわいいのほうがすきなのに・・・・・ま、いいか。
今から、あたしの言う事をよく聞いて?
あたしは、あなたの願いを3つだけ叶えてあげる。
でも、そのかわり、あなたの願いが叶ってどんな事が起こっても、あたしは責任はとらないの。いい??」
「本当にお願い事を叶えてくれるの?」
あたしは声を出した。だってびっくりしてるんだもん。
「嘘は言わないのがあたしの主義。何べんもしつこく言うけど、3つまでなら願いを叶えてあげる。そのかわり、何が起きてもあたしは知らないし、責任もとらない。」
「じゃあ・・・。」あたしが言葉を発しようとすると、「ペロは死んでる。でも、生き返らせる事は可能よ。あなたの願いなら。」
ペロは・・・。
「死んでなんかいない? あなたは内心分かっているでしょう? ペロは永久に目を覚まさない。」
「じゃあ、今、ペロを生き返らせてよ!!! お願い!」
あたしは涙をこらえて強く言った。
「OK。」
サユはそう言うと、ペロの頭の上に手をのせて・・・何か小声で言う。
「・・・よし、明日ペロは目を覚ますわ。生き返るわよ。」
「本当??」
「嘘はつかない主義なの。」
「でも・・・。」
「じゃあ・・・はやく眠ってペロのところに行きなさい。そうすれば分かるから。」
「・・・ありがとう、サユ。」
「どういたしまして。あ・・・あなたそういえば名前は?」
「あたし? あたしは上原美由〈うえはらみゆ〉。」
「美由。いくつ?」
「11歳。」
「そう・・・・。美由、あなたの旅路に幸あらん事を。」
「おやすみ、サユ。」
ん・・・・寝ちゃった。
変な夢見ちゃった・・・ペロは??
「ワン! ワン!」
あたしが目を開けた先には、元気なペロの姿があった!
「嘘・・・・!!」
「ペロ!」とあたしが声をかけると、ペロがあたしに抱きついてきた。
「パパ、ママ大変なの! ペロが目を覚ましたの!!」
「嘘だろ?」
「信じられないわ。」
「早く来て!!」
パパとママはびっくりしていたけど、あたしと一緒に喜んでくれた。
「お願い事はあと2つね。」
クスッ。