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異世界の観察者  作者: 天霧 翔
第三十三章 故郷巡り③ リオレンド
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5

「さて・・・」


 この調子で褒めるとは言ったものの、他の子達はあまり普段の格好と変わらない。


 イリアはいつもの服装に外套を羽織っているだけ。その外套も初めてイリアと会った時、というか襲われた時、に羽織っていたものなので目新しさはない。


 エリスも寒いのは平気なのか、いつもの青と白のトップスにフィッシュテールのスカート。コート類は一切羽織っていない。さすがに足は冷やさないようにとひざ掛けを使っているが、そのくらいだ。


 そしてセシル。彼女もいつも通り。上はピンクと黒のトップス。下はタイトスカートにストッキング。この冒険者協会受付嬢の制服を着崩しているのがいつものセシルのスタイルだ。ただこの格好は絶対寒いと思うのだが・・・


「セシル、寒くないのか?」

「寒くないですよ。私寒いのは平気なので。」

「なるほど。うさ・・・」

「兎は関係ありませんからね?」


 アキが言い終える前にセシルに言葉を遮られた。そして「それ以上言ったら怒ります」と睨みつけてくる。


 ただ全然怖くない。


「兎だからか!」

「なんでわざわざ言うんですか!今関係ないっていいましたよね!!」


 セシルが頬を膨らませてながら怒る。


 やっぱり全然怖くない。


「やっぱセシルは優しいな。」

「ふぇ?」


 意味が分からないと首を傾げるセシルだが、アキは知っている。セシルが本気で怒ったら間違いなく怖いと言う事を。冒険者受付嬢をやっていた時は屈強で強面な冒険者を相手にしていたのだから彼らを黙らせるくらいの迫力は出せるはずだ。ただセシルがアキに対してだけはそう言う態度を取る事は絶対にない。だからセシルは優しいと言ったのだ。


「それより残りは・・・」


 とりあえず後はリオナ、アリア、そしてルティアだ。リオナは本人も言っていたが、やはりリオレンドを寒いと思っていないらしく、いつも通りの服装なので、割愛する。


「アリアも・・・いつもとなんら変わりないな?」


 アリアもリオナやセシル同様いつも通りだ。いつも通りのメイド服。


「当然です。メイド服は万能ですので。」


 相変らずのよくわからない理由を淡々と述べるアリア。


 さすがにもう慣れた。


「メイド服の上にコート羽織るのは邪道とかいう理由じゃないだろうな。」

「はい。本当に寒かったらちゃんと着ますので大丈夫です。」

「ならいい。」

「はい。」


 うちのメイドは変な所で頑固だから注意したが、本当に寒くないのであればアリアの好きにすればいい。


 さて、最後はルティアだ。ただルティアは相変わらず影に隠れていて、姿が見えない。あの小動物が寒さで震えてないといいんだが・・・


「ルティア。」


 心配だったのでルティアを呼ぶ。


「ん。」

「・・・ルティア?」


 アキが呼ぶとすぐに姿を見せてくれたルティアだが、これは・・・うちのルティアなのだろうか?どこから見ても、毛むくじゃらの未確認生物が立っているようにしか見えない。


「ん、ルティア。」


 一応ルティアらしい。


「その格好、どうしたんだ・・・?」


 一体何枚の毛布にくるまっているのだろう。ルティアの本体が全く見えない。わずかに目が毛布の隙間から覗いているくらいだ。


「寒いの嫌い。」

「そうか・・・寒いの苦手なのか。」


 それならその格好にも納得・・・はさすがに出来ない。いくらなんでもやり過ぎではないだろうか。ただあの小柄なルティアが毛布にくるまって真ん丸になっている姿はちょっと可愛い。


「寒いと人は死ぬ。」


 寒さで震えていないかと心配をしたが、そう言うレベルではなかった。ルティアは寒いのが全く駄目らしい。


「そうか・・・まあ、無理はするなよ。寒いなら俺の側にいていいから。」

「ん。そうする。」


 とりあえずエリザとルティアには気を配っておいたほうがよさそうだが、各々リオレンドの寒さ対策はしているようで安心した。

挿絵(By みてみん)

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