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とりあえずリオレンドが寒い国だと言う事はわかった。ということはエスぺラルド、ミレー、サルマリアとは違った国の特色があるはず。寒冷地ならではの衣食住に非常に興味がある。
「リオナ、もふもふ王国について他にも教えてくれ。」
「だからそんな国はないんだってば!!!」
しつこいとリオナに怒られた。
「・・・リオレンドについてもっと教えて。」
「なんでそんなに不満そうなのかわからないけど・・・いいよ。」
「とりあえずエスぺラルドと違うところはなに?。」
「うん、えっとね・・・」
リオナの説明によると、リオレンドの一般的な屋敷はエスぺラルドと特に違いはないらしい。見た目も内装もほとんど一緒なのだとか。まあリオナのような狼獣人は寒さに強いし、特に特殊な造りをした屋敷を建てる必要はないのだろう。だがアキのような人族はどうだろうか。
「リオナは慣れているからだろ?俺みたいにリオレンドを寒いと思う人だったらエスぺラルドと同じような屋敷では暮らせないんじゃないのか?」
「んー・・・そんなことはないと思うよ。獣人じゃない人も私と同じような屋敷で普通に暮らしているからね。」
「家の中でも外套を羽織っているとかじゃなく?」
「うん。外に出る時は厚着して外套やコートを羽織っている人は多いけど、室内では誰も着ていないよ。」
そうなるとエスぺラルドと同じ屋敷だと言うのはやはりおかしい。ただリオナは「同じだよ?」とよくわかってないようなので、見た目は本当にベルフィオーレの一般的な屋敷と変わらないのだろう。だが見えない部分で色々と断熱材が使われていたり、外の寒気を遮断できるよう気密性が高く作られていたりと、寒冷地ならではの工夫が凝らしてあるはずだ。
「とりあえず見た目は変わらないんだな?そうなると街の雰囲気とかに目新しさはなさそうだな・・・」
多分リオレンドはエスぺラルドやサルマリアとそんなに変わらないのだろう。まあミレーだけは街の雰囲気が随分と違ったが、あそこかは熱帯気候だから仕方ない。エスぺラルドにあるような普通の屋敷だったらミレーでは暑くてとてもではないが暮らせないしな。
「そうだね。その辺はあまり変わらないと思うよ。あ、でも街の雰囲気で言うなら街の人達の服装は結構違うかもね?」
「あー、リオナはいつもと変わらないけど、大抵の人は厚着してるのか。」
「うんうん。」
「それは・・・楽しみだな。」
何が楽しみなのかというと、勿論ミルナ達だ。
ミレーでは街の人達は随分と薄着だった。そしてそれに合わせるようにうちの子達も薄着になっていた。つまりリオレンドでもいつもと違う格好のミルナ達を見れると言う事になる。
「え?なんで楽しみなの?女の人も厚着になるんだよ?薄着の方がじろじろ見られるからアキとしてはいいんでしょ?」
リオナが不思議そうに首を傾げるが、その言われようは不本意だ。というかリオナの中でアキは一体どういう人間だと思われているのだろう。
「なんでだよ。」
「うそうそ、わかってるよ。ミル姉達がどんな服を着るのか楽しみなんでしょ?私はいつもと変わらないけどミル姉達はそうはいかないだろうからね。」
どうやらリオナに遊ばれただけらしい。
悔しいが完全に一本取られた。
ちなみにミルナ達はまだいつもの服装だ。まだエスぺラルドを抜けてないので当然と言えば当然だが。ただ全員、ちゃんとコートや外套を持ってきたと言っていたので、リオレンドに着いたら着替えるつもりなのだろう。
「そうですわよ!アキさん、是非期待していてくださいませ!」
ここぞとばかりにミルナが必死にアピールしてくる。何故なのか。
「おう、楽しみだぞ。いつもおっぱいを放り出しているミルナがどんな格好をするのか非常に楽しみだ。」
「は!?失礼な事言わないでくださいませんか!放り出していませんわよ!!」
「違うのか?」
「違いますわよ!ちゃんと隠すところは隠していますわ!」
そうは言うが、ミルナは相変わらず際どい格好をしている。足を惜しげもなく見せているし、胸なんて今にもこぼれ落ちそうだ。
エロい。
「エロい。」
「アキさん!私の一張羅ですわよ!エ、エロいとか言わないでくださいませ!!」
その後、ミルナに自分の服装の素晴らしさを力説された。どうも本人的には紳士淑女の模範的な格好をしているつもりらしい。まったく同意はできないが、まあ似合ってはいるのでそう言う事にしておいてやろう。
とりあえずミルナ達がリオレンドでどういう服装に着替えるのかちょっと楽しみなのだ。それはそうと、リオレンドが寒いと言う事で1つ気になっている事がある。
「そういやエリザは大丈夫か?寒いの苦手だろ?」
エリザはミレー出身。暑いのは平気だろうが、寒いのは大丈夫なのだろうか。猫は寒さに弱いと言うし、ちょっと心配だ。
「え?大丈夫よ?何でそんな事聞くのかしら。」
「だって猫は寒いの苦手だろ。」
「引っ搔くわよ!猫じゃないわよ!!!」
何回言えばわかるのとエリザが威嚇してくる。その仕草が完全に猫だ。
「まあ・・・大丈夫って事でいいんだな?」
「当然よ!むしろ私もリオナちゃんと一緒でいつもと同じ格好で過ごせるわ!おねーさんだもの!!」
うん、寒い強いはお姉さんかどうかは全く関係ない。それにエリザのこの強気な姿勢が完全にフラグにしか見えない。リオレンドに着いた途端、エリザが凍えながら泣き言を言っている未来しか見えないのだが本当に大丈夫なのだろうか。