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異世界の観察者  作者: 天霧 翔
第三十二章 故郷巡り②
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「お兄様、申し訳ありません。」

「ごめんなさいですー・・・」


 ユフィとソフィーが土下座しながら謝ってくる。


「俺じゃなくアリアに謝れ。」


 再度始まった姉妹喧嘩。今度は掴み合いになり、部屋がぐちゃぐちゃになったのだ。そしてその片づけをアリアがやってくれた。アキがやってもよかったのだが、触ると不味い物もあると思い、同じ女性であるアリアに任せたのだ。


「アリアお姉様、すいません。」

「ごめんなさいですー」

「いえ・・・私はアキさんの指示に従っただけですので。」


 ソフィー達が謝るが、全く気にしている様子のないアリア。


「アリア、いつもありがとう。」

「あ、いえ、それが私のお仕事ですので。」


 アキのが礼を言うと、どこか嬉しそうな表情を浮かべるアリア。


 まあアリアの事はともかく、それよりソフィー達の処遇をどうするかだ。ついさきほど「もう喧嘩するな」と言ったばかりなのにこの有様。可愛い姉妹喧嘩と言えなくもないが、さすがに頻度が過ぎる。それにユフィをエスぺラルドの屋敷へ招待して毎日これをされたら面倒臭い。


「ユフィ、次喧嘩したらうちの屋敷へ遊びにくるのは無しな?」

「そ、そんな!お兄様!」


 ユフィはミスティアを出たいと強く思っている。だからこれを罰として使えば少しは大人しくなるだろう。ソフィーのように行動力があるならあまり意味のなさない罰だが・・・ミスティアを出るのを不安に思っているユフィには効果的なはずだ。


「ソフィーは次喧嘩したら・・・まあわかるよね?」


 そしてソフィーだが、こっちは軽く脅すだけでいいだろう。ソフィーが本気で嫌がる事なんていくらでもわかる。例えば婚約破棄するとか言えばいいだけだ。


「ひぇ・・・わ、わかってます・・・」


 涙目になりながら「それはやめてください」と懇願してくる。ソフィーもアキが何を考えているかはなんとなくわかっているのだろう。


「姉妹仲良くしろとまでは言わないけどお互いを・・・」

「尊重です。わかってます。ユフィが相手でつい熱くなってしまいました。」


 まあ一緒に育ってきた双子の姉妹だから遠慮がないのは仕方ない。その気持ちはわからなくもないしな。とりあえずソフィーはこれで大丈夫だろう。一回ちゃんと言い聞かせれば、反省する。


「ユフィもいいな?」

「はい、お兄様。」


 急に素直になるユフィ。今までの腹黒さがまったくない。やはり遊びに来させないと言ったのが効いたのだろう。


「じゃあソフィーの部屋も見た事だし、そろそろ・・・」


 一旦宿に戻ってミルナ達と合流しよう。それから昼食でも取って、予定通り午後は森で狩りと洒落こむのがいいだろう。


「お兄様はこの後どうされるんですか?」


 この後の予定を考えていたら、ユフィが尋ねてきた。


「うちの子達と合流して、午後は森にでも行ってみようかと。」

「あの・・・ご一緒しても?」

「いいけど・・・家の事はもういいのか?」


 ユフィの同行は別に構わないが、正直彼女が来るメリットはないだろう。アキ達は森へ獣を狩りに行くだけだし、ミスティアで暮らしているユフィからすれば面白くもなんともないものだ。


「はい、終わってます。」

「つまらないと思うぞ?」


 それにどうせうちの子達は「デートですわ!」と、ところかまわずアキとイチャつこうとしてくる。間違いなくユフィにとっては気まずい時間になるだろう。だからユフィが一緒するのはあまり賛成できない。


「かまいません。そのうちアキさんのところへお邪魔するのですから、お姉様たちともっと仲良くなりたいです。あと・・・姉さんとも上手くやれるというところをお見せしたいのです。」


 なるほど、今までの失態を挽回したい。そう言う事か。


 それなら断る理由もないな。


「ソフィー、ユフィを連れていってもいいか?」

「まあ・・・別にいいです。」


 ちょっと不満そうだが、ソフィーは文句を言う事なく、承諾する。


「じゃあ俺達は一旦宿に戻る。」

「わかりました、お兄様。」


 アキはソフィーとアリアを連れ、そのままソフィーの実家を後にした。ユフィには昼食後に合流するよう伝えておいた。


 そんなこんなで終わったソフィー実家訪問。姉妹喧嘩の仲裁をしたりと色々大変だったが・・・ソフィーがどんな子供だったのかわかった気がするので結果的には有意義な時間だったと言えるだろう。

挿絵(By みてみん)

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