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「ユフィ、もう少しましな場所を案内してくれ。」
取り乱すソフィーをなんとか落ち着かせ、ユフィに注意する。
「わかりました。では次にいきましょう。まだ30ヶ所ほどあります。」
多いな。だがそれがどういう場所なのか・・・
「ちなみにどんなところを紹介してくれるつもりなんだ?」
もしかしたらまともな場所かもしれないし、一応ユフィに尋ねる。
「ちゃんと姉にゆかりのある場所ですよ?」
ユフィは自信満々に言うが、本当にそうなのだろうか。果たしてそこはソフィーにとって良い思い出の場所なのか心配だ。小さいころの失敗談をばらされるのはさすがに少し可哀そうだしな。もしアキがソフィーの立場だったら死にたくなる。
「・・・一応聞くが、どういうゆかりだ?」
「そうですね、迷子になって泣きわめいてお漏らしした場所とか、初めてのお使いでお漏らしした場所とか・・・そんな感じですかね?」
「・・・それは思い出というより痴態では?」
というかソフィーはどれだけお漏らししているんだ。
「そうともいいます。」
やはり碌な場所じゃなかった。
「だからなんでユフィはそれ知ってるんですー!?」
「姉さんの事ならなんでも知ってますよ。例えば・・・」
「ちょっと待つですー!!!」
ソフィーがユフィに掴みかかろうとするので羽交い絞めにして止める。しかしソフィーの反応を見るに、やはり全部事実なのだろう。
「まあ待て、お漏らしソフィー。」
「最低の呼び名です!?」
「事実なのか?」
「そ、そんなことないです!全部嘘です!ユフィの作り話です!!」
ソフィーが必死に説明してくる。
「お兄様、全部本当です。」
「ユフィ!もう許しません!アキさん、離してください!私はそこの妹を亡き者にしなければいけないのですー!知ってはならない事を知っているのです!」
物騒な事を言い始めたソフィー。まあ気持ちはわかるが。というか知ってはならない事を知ってしまったというのなら、アキも今その話を知ってしまった事になる。
「ユフィ、だからもう少しましな場所を・・・ソフィーが可哀そうだろ。」
「あら?お兄様は姉さんの恥ずかしいところに興味がないんですか?お漏らし以外にも沢山姉さんの痴態はあるんですが。」
ユフィが不敵な笑みを浮かべながら聞いてくる。
だがそう聞かれると答えは一つだ。
「あるかないかで言えばある。」
ソフィーの小さい頃の失敗談に興味がないわけがない。それにそういうのは本人からは絶対に聞けない話だしな。
「アキさん!?」
「だってそういう逸話、ソフィーは教えてくれないだろ?」
「当たり前です!全てお墓にもっていきます!というか逸話ってなんです!?」
「ふふ、やっぱり知りたいですよね。ではお兄様にいっぱいお教えしますね。」
くすくすと楽しそうに笑うユフィ。
「アキさん!はなして!やっぱりいますぐアレを殺さないといけないのですー!」
腕の中でじたばた暴れるソフィー。本気でユフィを殺しかねない勢いだ。
「諦めてくださいソフィアルナ姉さん。お兄様は姉さんのお漏らしの痴態を知りたい変態さんなのです。だから私には教えてあげる義務があるのです。」
「よし、ソフィー、いけ。殺ってこい。」
ソフィーを止める理由がなくなったのでうちの駄エルフを解き放つ。
「あいさー!喜んでですー!!!」
「お、お兄様!何故唐突に裏切るのですか!?」
アキの手のひら返しにユフィが慌てる。だがそれはこっちのセリフだ。何故会って間もないユフィに変態扱いされなければならないのか。そもそもそう言う場所を紹介しようとしているのはユフィだ。アキが変態扱いされるのは納得がいかない。
「ソフィー、さっさと殺ってしまいなさい。」
「はいですー!ユフィ、覚悟です!!!」
ソフィーがユフィに飛び掛かり、姉妹喧嘩が始まった。