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異世界の観察者  作者: 天霧 翔
第三十二章 故郷巡り②
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「初めまして、アキ・シノミヤと申します。」


 とりあえずソフィーの両親に自己紹介をする。


 ソフィーの両親はアルとソング。


 父親であるアルはソフィーと同じ金髪に翠色の瞳。そしてエルフの特徴である長い耳。そんなアルを一言で言うなら・・・もの凄い美男子だ。というか二十代にしか見えない。本当にこれが父親なのかと一瞬疑った。


 そして母親のソング。こちらもソフィーと同じ髪と瞳をしている。もちろん見た目は美女・・・いや美少女エルフで、ソフィーの母親ではなく姉と言われても違和感ないくらいには若い。


 エルフは見た目が変わらないとよく小説では描かれる事が多いが、やはりそうなのだろうか。まあこの2人を見る限り、そうとしか考えられない。ちなみに余談だが、ヤック村長は普通の人族だ。エルフではない。


「シノミヤ侯爵、ご丁寧にありがとうございます・・・」


 深々と頭を下げるアル。


「うちの娘がお世話になっております。ご迷惑をおかけしてないでしょうか・・・」


 アルに続いてソングも平伏するようにお辞儀をする。


 正直そこまで畏まられると困る。アキはソフィーとの婚約を認めてもらう為、挨拶しに来た。むしろこちらが頭を下げる立場だ。しかもソフィーの両親は萎縮し過ぎていて、このままではソフィーとの婚約を断りたくても断れないだろう。


 これは少し雑談してから本題に入った方がよさそうだ。


「迷惑・・・は・・・そうですね、かけられてないですよ?」

「アキさん!?そこは即答してくださいですー!」


 ソフィーが無茶を言ってくる。これがリオナやエレンであれば「全然迷惑じゃないです。むしろこちらが迷惑をかけてます」と言えるが、ソフィーの場合、本当に迷惑をかけられている。まあその迷惑もソフィーの愛嬌だとは思うが。


「あ、やっぱりうちの娘が色々とご迷惑を・・・」


 申し訳なさそうに再度頭を下げる母親のソング。


「そんな事ないですー!アキさん!違う!違うっていってくださいですー!」


 ソフィーが「本当の事を言ってください」とすがりついてくる。だがアキは本当の事しか言ってない。


「まあ迷惑はかけられていますが・・・それが彼女の良いところでもあるので気にしていませんよ。」


 嘘は吐けない・・・が、別にソフィーを悪く言うつもりはない。


「とうさまにかあさま!聞きましたか!そう言う事なのですー!」


 アキの言葉を聞いて両親にドヤ顔をするソフィー。


 そしてそんな娘を見て呆れ顔の両親。


「まあ・・・こういうところが彼女の愛らしいところだと思いますよ。」

「そ、そうですか・・・?」

「えっへん!」


 ドヤ顔がいい加減鬱陶しいな、この駄エルフ。


「ええ・・・それよりソフィーさんのお父さん、お母さん。」


 まあソフィーのおかげで場も和んだしいいだろう。


「はい、なんでしょう。」

「あ、そんなに畏まらないでいいですよ。侯爵と言っても別に偉くはないので気にしないでください。ソフィーさんの知り合いくらいに接して頂ければ幸いです。」

「わ、わかりました。」


 アキの言葉に頷きはするが、微妙な表情のアル。彼の表情が物語っているように、気にするなと言うのはやはり難しいようだ。まあ貴族に気にするなと言われて、本当にその通りにするのは難しいだろう。これが社交辞令で、友達のように接した途端、「無礼だ!打ち首!」となってもおかしくない。


「それで本題なんですが・・・ソフィーさんと結婚させて頂きたく、本日はそのご挨拶をと思い、お伺い致しました。」

「な、なるほど・・・」

「もし私に対してお気に召さない事がありましたら何でも言ってください。身分とか関係なしにソフィーさんの親として意見してください。」


 文句があるなら是非はっきりと言って欲しい。その文句を受け止めた上で、ソフィーとの婚約を認めてもらいたいからな。


「ないですー!許可しますー!」


 立ち上がって叫ぶソフィー。


「はいはい、ソフィーは黙ってような?」


 ソフィーの襟首を掴んで座らせる。真面目な話をしているのだからこれ以上話をややこしくしないで欲しい。


「むー・・・」


 ソフィーが頬を膨らませて拗ねる。だがそれ以上文句を言う事無く、アキの隣で静かにしている。


「えーっと・・・シノミヤ侯爵・・・」


 ソフィーの父親であるアルが静かに口を開く。


「はい、すいません。なんでしょう。」

「うちの娘を気に入って頂いた事は本当に光栄なのですが・・・」


 言いたい事はあるが、言い辛い。アルからそんな雰囲気を感じる。やはり文句があるのだろう。まあ久々に帰ってきた娘が男を連れていたのだから文句があるのも当然だ。


「はい、何でもおっしゃってください。」


 どんな文句でも受け止める覚悟は出来ている。そしてどれだけ頭を下げる事になっても、ソフィーとの婚約を認めてもらう。


「あの・・・コレで本当にいいのですか・・・?」

「・・・はい?」


 予想外の言葉が飛んできた。

挿絵(By みてみん)

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