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異世界の観察者  作者: 天霧 翔
第三十二章 故郷巡り②
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12

「アキさんー!もうすぐつきますー!」


 しばらくしてソフィーが御者席から戻ってきた。どうやら案内は終わったらしい。


「おかえり、もう大丈夫なのか?」

「あとは真っ直ぐ進むだけですー。30分くらいですー!」


 なるほど、直進するだけなら迷う事もないだろう。それにあと30分なら適当に雑談していればすぐ着く。聞きたい事もあったし、丁度いい。


「ソフィーに姉妹はいるんだっけ?」


 ミルナはお兄さんがいたし、アリアにはうちでメイドをしている妹がいる。そして他の子達は全員一人っ子・・・だと思っていたが、よくよく考えればソフィーの家族構成はちゃんと聞いていなかった気がする。


 もっと早くに聞いておけよと思わなくもないが、うちの子達は育った環境が色々と複雑なので家族の話題は聞きづらいのだ。特にエリスやエレンにいたっては孤児。結構繊細な話なのであまりその辺に触れる事はしてこなかった。


「あれ?言ってませんでしたー?私には双子の妹がいますー。」


 初耳だ。しかも双子か。さすがに驚いた。


「おお、そうなのか?」

「はいです。」

「妹さんはミスティアにいるの?」

「いますよ。」


 ソフィーと違って町を飛び出したりはしていないらしい。


「双子って事は・・・やっぱり瓜二つ?」

「んー・・・私は全然違うと思いますけどみんなそっくりって言いますねー。」


 まあ双子だから当然だな。見分けが着くのは親や当人同士くらいだろう。


「俺に見分けつくかな・・・?」

「大丈夫です。私の事が大好きなアキさんならすぐわかりますー!そもそも性格が全然違うのです!」

「へー?どう違うんだ?」


 ちょっと気になる。妹はソフィーのような暴走エルフではないのだろうか。


「えっと・・・ちょっとお話するのは恥ずかしいんですけど、私が引っ込み思案だったことは前に言いましたよね?」

「そうだな。」


 ソフィーが暴走しがちなのは元からの性格ではない。小さい頃は引っ込み思案で、自分の思った事が言えない子だったらしい。ただそれだと人生損をしていると気付いたソフィー。それからは言いたい事は言う、やりたい事はやる。そういう行動をし始めた結果・・・今の暴走エルフのソフィーが出来上がったと言う訳だ。


「妹は昔の私みたいな感じなんです。」

「つまり大和撫子のような女の子ってことか?」

「やまとなでしこってなんですー?」

「一言でいうなら奥ゆかしい感じかな・・・?」

「まあ・・・そうとも言えますかねー?」


 ソフィーが可愛らしく首を傾げながら言う。


 とりあえずソフィーの妹は大和撫子だと仮定しよう。つまりソフィーの見た目で、お淑やかで、言葉遣いが綺麗で、清楚。


 ・・・あれ?完璧な美少女ではないだろうか。


「ソフィーとチェンジで頼む。」

「何故ですかー!?」


 ソフィーが叫ぶ。


「だって静かで暴走しないお淑やかなエルフの方が婚約者としてはよくない?」

「よくないです!エルフは暴走してこそですー!」


 うん、さすがにそれはない。ソフィーのように暴走するのがエルフという種族の特性だというのなら是非滅んでいただきたい。考えても見て欲しい。ソフィー1人でも相手するのが大変なのに、それが何千人といたら精神が持たないだろう。世界が崩壊するレベルで鬱陶しい気がする。


「こっちの身にもなれ。毎日ソフィーを叩くのも疲れるんだぞ・・・」


 この駄エルフが暴走する度に引っ叩いているから体力的にも疲れるのだ。しかも叩いてもゴキブリのようにすぐ復活するしな。


「駄目です!妹は駄目です!許しませんー!」

「じゃあ妹さんじゃないエルフだったらいいのか?」

「それも駄目です!アキさんのエルフは私だけ!アキさんにお似合いのエルフは私だけですー!だからダメ!絶対にダメですー!」


 だから捨てないでくださいと必死に自分の魅力をアピールしてくるソフィー。


 まあ当然全部冗談だ。


「わかってる。安心していいぞ。うちにソフィー以外のエルフはいらないからな。」


 アキがそう言うと、一転して満面の笑顔になるソフィー。


「えへへ・・・それならいいですー!」


 暴走エルフだが、いいところも、可愛いところも、沢山ある。特にこの笑顔はソフィーにしかない可愛さだ。そんなソフィーを誰かを交換しようとは絶対に思わない。そもそも交換するなんて概念自体がおかしいからな。


「あー、そういやリオナはどうなんだ?」

挿絵(By みてみん)

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