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異世界の観察者  作者: 天霧 翔
第三十一章 故郷巡り
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「なんでそんなに嫌そうなんだよ。好きなだけ肉や魚を食べられるんだぞ?」


 しかも自分の好きな物を選んで食べられるのだ。食いしん坊のミルナ達にはピッタリのイベントな気がするんだが、何故こんなに不評なのだろうか。


「アキさん、これって食材を自分で焼くんですわよね・・・?」

「そうだな、それがバーベキューだぞ。」

「そんなの・・・めんどくさいですわ!」

「ええ・・・?」


 ミルナの奴、バーべキューの醍醐味を根本から否定しやがった。自分で焼いて食べるのが楽しいのに、それを面倒だと言われたらもうどうしようもない。


「それがバーベキューの楽しいところなんだが?」

「楽しくないですわ!アキさん!ちゃんと料理を並べてくださいませ!私はそれを食べるだけがいいですわ!」


 さすがに呆れた。この子はどれだけぐーたらしたいんだ。まあミルナらしいと言えばミルナらしいが。


「つまりミルナは食べる専門だと?」

「当然ですわ!私に料理をさせるなんて酷いですわ!」


 全然酷くないと思う。バーベキューではそれが普通だ。というせっかくみんなでわいわいバーベキューを楽しめると思っていたのに、この展開はさすがに予想してなかった。どうやらアキはミルナの自堕落ぶりを見誤っていたらしい。


「わかった・・・ミルナの分は俺が焼いてやるから。それでいいだろ?」

「はい!それならいいですわ!!!アキさん早く!お腹空きましたわ!」


 満足気に頷くミルナ。


 もうそんなに嫌なら、アキが代わりに焼いてやる。ちょっと甘やかし過ぎな気がしないでもないが、せっかくバカンスに来ているんだ、全員に楽しんでもらいたい。ミルナが嫌だと言うなら、アキがやればいい。


「アキさん!それなら私もお願いしますー!」


 ソフィーもか。まあそんな気はしていた。


「はいはい。他は?」


 アキが確認すると、エリスとルティアが手を挙げる。


「私もお願いするのだ!」

「ん!私も食べる専門。」

「わかった。じゃあ4人は好きなだけ食え。」


 もうバーベキューの醍醐味をこの子達に説得するのは諦めた。この4人はひたすら食べていたいだけのようだし、その辺は一生理解してもらえる気がしない。


「アキ、私は・・・その、手伝うわよ。」

「うんうん、私も手伝うからね?」


 エレンとリオナが慰めるようにぽんぽんと背中を叩いてくれる。


「おう、ありがと。」


 エレンやリオナも食いしん坊だし、どちらかといえば食べてだけいたいはず。それなのに手伝うと言ってくれた。きっとアキがみんなでわいわい楽しもうとバーベキューを計画したのに、こんな展開になった事に責任を感じているのだろう。まあ悪いのはミルナやソフィーであってエレン達ではないのだが。


「エレン、リオナ!ずるいですわよ!それだと私が我儘を言ってアキさんを困らせているみたいじゃないですの!」


 みたいじゃなくて、実際その通りだ。


「じゃあミルナも一緒に焼くか?」

「それとこれとは話が別ですわ!!!」


 文句は言うくせに、意地でも自分では焼きたくないらしい。


「もうミルナ達はそこに座って待ってろ。すぐに焼いて持って行ってやるから。」

「はいですわ!アキさん、お肉!お肉ですわよ!あとお野菜は少なめでお願いしますわ!」


 しかもしれっと要求を追加してくるあたりが凄い。もうここまでくると逆になんか清々しい。


「はいはい。」


 とりあえずエレンとリオナ、そしてアリア、ベル、セシル、エリザは焼くのを手伝ってくれるみたいだし、人手は足りそうだ。もう食べる専門の子達は端っこの席で勝手にやってもらい、こっちはこっちでわいわいやるとしよう。


「じゃあ野菜と肉から焼くぞ。」

「「「「はーい!」」」」

挿絵(By みてみん)

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