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それから数分してアリアが戻って来た。
この短時間でどうやってやっているのかは相変わらずわからないが、戻って来たと言う事は、水着を作り終えたのだろう。
「お待たせしました。」
「自分の分も出来たか?」
「はい、一応・・・」
「じゃあみんなに水着を渡して、着替えるよう言ってくれ。俺も・・・これに着替えてくるよ。」
アリアが作ってくれたこのブーメランタイプの水着を着るのは正直まだ抵抗がある。だがせっかく海に来ているのだから遊ばないのは勿体ない。それにどうせアキ達しかいないプライベートビーチだ。今更ミルナ達の前で恥ずかしがっても仕方ないだろう。
「わかりました。でも本当に私も着なければダメなんですか?」
「駄目。」
「はい・・・」
メイド服を脱ぐことに抵抗があるのか、肌を晒す事に抵抗があるのかはわからないが、アリアは渋々と言った感じで頷く。
「アリアの水着、楽しみにしているよ。」
アリアは透き通るような白い肌をしているし、スタイルもいい。水着が似合わないわけがない。そんなアリアの水着を目に焼き付けておきたいと思うのは男して当然だろう。
「アキさんは意地悪です。」
「お互い様だ。」
それだけ言い残し、水着に着替える為、部屋を出る。
ちなみにこの屋敷、というか豪邸は3階建てで、部屋は星の数ほどある。今アキとアリアがいたのは玄関を入ってすぐ隣にある応接室のような場所だ。そしてミルナ達はリビングルームでお茶をしているはず。なのでアリアを退出させ、あの部屋で着替えてもよかった。ただなんかそれだとうちの駄エルフあたりが突撃して来そうな気がしたので部屋を移る事にしたのだ。
「しかし広いな。うちのミスミルドの屋敷より広いんじゃないか?」
どこで着替えようかと屋敷を歩き回っていて改めて感じた。この屋敷は広すぎる。まあさすがに爺さんの屋敷に比べると小さいが、それでも一般的にみたら大豪邸だ。
「さっきここが欲しいとか言ったけど、さすが広すぎるな。」
確かにうちは大所帯ではあるが、ここまで広い屋敷は必要ない。それにどれだけ広くても、うちの子達は基本的にアキの側にいようとするので、広い屋敷の意味があまりない。例えばあのぐーたらミルナ。いつもリビングやアキの部屋でごろごろしている。自分の部屋でしろと言ったのだが「いやですわ」と一蹴された。
「それよりさっさと着替えるか。あの子達も着替えている頃だろうしな。」
いくら男の着替えが早く済むといっても、あまりだらだらはしていられないだろう。早く着替えないと本当に着替えの最中に「アキさん遅いですー」とかいって突撃される。
とりあえずアキは適当な空き部屋を見つけ、そこで着替える事にする。
「うん・・・これはやはり・・・」
着替えて思った。アリアなんてものを作りやがったんだと。
とはいえ、これを着るとアリアに言ってしまった以上、今更新しいのを作れとは言えない。とりあえず海に行くまでは上から外套は羽織って誤魔化すとしよう。さすがにブーメラン水着1つで屋敷を歩き回る勇気はないしな。
「さて・・・あいつらはもう着替え終わったかな?」
たださすがに着替えが終わったかどうか確認しに行くのは不味い気がする。まあミルナ達は婚約者だしそこまで遠慮する必要はないのかもしれないが・・・エレンあたりに「変態!覗き魔!ぶっころす!!」とか言われそうだ。
「とりあえず海へ行くか。」
この屋敷は浜辺に直結している。気が向いた時にいつでも海に飛び込めると言う訳だ。そして浜辺には豪華なウッドデッキが設置されており、ちょっとしたパーティーが出来るようにもなっている。後であそこでバーベキューと洒落こむのもありだろう。
「あきさーん!!!きがえましたかー!」
アキがいざ海へいかんと思ったその時・・・本当に駄エルフが突撃してた。
「おい、ノックくらいしろ。着替え中だったらどうするんだ。」
着替え終わっていたからよかったものの、完全に油断していた。というか本気で来るとはさすがに思っていなかったぞ。
「もちろんそれが狙いですー!」
堂々とそう言い切るソフィー。
「余計質が悪いわ、この駄エルフ。」
ソフィーの頭を引っ叩く。
「ふぐっ・・・た、叩かないでくださいー!それにアキさん!なんで外套を羽織ってるんですかー!脱ぎましょー!ぽいっとしましょー!」
外套を引っ張って剥ぎ取ろうとしてくるソフィー。
「おい、やめろ。」
この駄エルフ、最近どれだけ引っ叩いてもこうしてすぐ復活するから質が悪い。
「うへへ、いいではないですかー!」
「だからやめろ、この駄エルフが。」
もう一発引っ叩いておく。
少しは凹むなり反省するなりして欲しい。まあソフィーに関してはもう諦めているが。この子は多分何をしてもめげない鋼の精神力の持ち主だ。
「むぅ・・・それよりアキさん!これ、どうですー!」
そう言ってソフィーがくるくるっと回り、水着を見せつけてくる。
部屋に突撃してくるなり阿保な事をしてきたので、感想を言う暇がなかったが、ソフィーは水着姿なのだ。
「うん、あれだ・・・かわいい。」
ただそんなに堂々と見せつけられても正直目のやり場に困る。