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異世界の観察者  作者: 天霧 翔
第三十一章 故郷巡り
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17

 さて、考える時間を貰ったのはいいが、どこから始めればいいものか。


「うーん・・・」


 とりあえずあれこれ考える前に、まずは問題を整理してみるとしよう。


 レインバース領は海と共に発展してきた街だ。観光以外にも様々な海にまつわる産業がある。漁業や塩の生産などもかなり盛んだとミルナが言っていた。そんなレインバースだが、セラストリア曰く、成長が止まってしまっているのだと言う。ただ街を見た感じ、間違いなく人は多いし、賑わってはいる。つまり栄えていないわけではないのだ。


 「消費が落ち込んでいるのか?」


 一瞬そう考えたが、それはないとすぐに思い直す。爺さんの店の利益は出ていると言っていたし、消費者による買い控えなどが起こっているわけではなさそうだ。


 街が成長していない。改めてそこから考えてみる事にする。


 成長をしていないと言う事は、レインバース領の人は日々の生活に必要な最低限の消費は行うが、それ以上の贅沢はしていないと言えるだろう。後は観光業の方も消費が停滞していると考えられる。観光客の財布の紐が硬くなるようでは利益も出ない。つまりレインバース領をさらに成長させるのであれば、市民や観光客の消費を促すのがいいのではないだろうか。


 とりあえず今はこれ以上の事はわからない。まずはレインバース領の状況をもう少し確認するとしよう。


「セラストリア辺境伯、少し質問いいでしょうか。」


 爺さんと雑談に興じていたセラストリアに声をかける。


「はい、かまいません、なんでしょうか。」


 本当にただの雑談だったようで、2人会話を邪魔した事を咎められたりはしなかった。爺さんも「かまわん」と言わんばかりにすまし顔でお茶を啜っている。


「レインバース領に訪れる冒険者や商人はどの程度いますか?」

「そうですね・・・正確な数はわかりませんが、おおよそひと月に数百人かと。」


 ただ数を聞いてはみたものの、正直それが多いのか少ないのかアキにはわからない。元々この世界の人々は旅をあまりしないわけだし、冒険者や商人がどの程度街へくれば大賑わいと言えるのだろうか。


「それは多いんでしょうか?」


 わからないので直球に聞いてみた。


「そうですね、少なくはないです。」

「ちなみに月に何人くらいまでこの街は観光客を受け入れられるんですか?」


 そもそも観光客を数百人しか受け入れられない体制しかないのであれば、観光客の総数を増やす意味はない。ただ、まだまだ余裕があるのだったら、ここは改善できる点だろう。


「2000人くらいまでなら何とか。それ以上は宿屋や食事処の施設を増やさないと難しいでしょう。」


 つまりまだ余裕はあると言う事だ。これなら打てる手はある。観光客を呼び寄せる為、爺さんの店を使って宣伝したりするのもありだろう。


「では次に・・・観光客の消費はどうでしょう?」


 財布の紐が硬いのであればそこも改善点だ。


「みなさん沢山お金を使ってくれますよ、ありがたいことに。」

「あ、そうなんですね。」


 どうやら観光業自体に問題があるわけではないようだ。観光でレインバースに来る冒険者や商人がお金をあまり使っていない可能性も考えたが、どうもそれは違うらしい。


 そうなると・・・問題があるのはレインバース領に住んでる人達だろうか?


 観光客の消費が落ち込んでいないと言う事は、レインバース領の人々が必要最低限の消費しかしてないと言う事になる。街の成長が停滞している原因はその辺にあるのかもしれない。


 つまりアキの結論としては・・・


 1.観光客をさらに誘致する

 2.レインバース領の人々に消費を促す


 といったところになる。正直これがあっているか間違っているかはわからなないが、今のアキで考えられる打開策はこれくらいだ。


「爺ちゃん。」

「考えがまとまったかの?」

「一応。合ってるかわからないけどいい?」

「かまわん。とりあえずアキが思いついた事を言ってみるがよい。」

「わかった。俺が考えたのは・・・」


 アキは早速考えた案を発表する。

挿絵(By みてみん)

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