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異世界の観察者  作者: 天霧 翔
第四章 殺意
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18

 翌日、アリステール出立の準備を終え、アキ達は屋敷の庭に集合している。


 準備はアリアが手伝ってくれたのですぐに済んだ。当然アキの分だけだが。なのでアキはミルナ達を手伝おうとしたのだが「絶対にダメ!」と部屋に入れてもらえなかった。女性特有の何かがあるのだろうと思い、手は出さなかったのだが、アリアが代わりに口を出して教えてくれた。


「皆さんのお部屋、壊滅的に汚いので。」


 アキが意外だなと言う目で4人を見る。


「ち、ちがうんですわ!」

「最近忙しかっただけで!その……」

「そうよ!いつもは綺麗なのよ!って何であんたが知ってるのよ!」

「僕は……その。あはは。」


 必死に言い訳をする4人にアリアが追い打ちをかける。


「メイドは何でも知っているものです。でもレオさんはしょうがないです。尻尾の毛が抜けてしまうので。物は散らかっていませんでした。エレンさんは服が脱ぎっぱなしなだけだったので本当に忙しかったのでしょう。まあ、お2人ともお片付けが少し苦手なのはあるかもしれませんね。」


 それはしょうがないなとアキはレオとエレンに伝える。掃除くらいなら手伝うからいつでも声を掛けるように伝えると、2人は素直に頷いてくれた。


「ただどうしようもなく壊滅的なのがソフィーさんとミルナさんです。この2人は片付けが出来ない、片付ける気が無い、の二重奏です。部屋には下着がそこら中に……いくつか持ってきましたけど見ますか?」

「ダメですよ、ダメ!」

「ダメ!嫌、それはダメ!」


 ソフィーとミルナが必死にアリアを止める。


「アリアやめなさい。」


 アキがアリアを叱る。


「すいません、全部冗談だったんですけど本当にその通りだったんですか?」


 ミルナとソフィーが固まっている。うちのメイドは想像だけでここまで見抜いたのかと感心する。下手したらアキ以上に性格分析するのが上手いかもしれない。しかしあのミルナ達の反応を見る限り、本当に汚いのかと呆れる。うちの子達は戦闘以外の事になると本当にどうしようもないな。アキが悲しそうな目で見つめると「違うんです」と涙目になるソフィーとミルナ。


「しかしこのチームの女子力、低くありませんか?朝ごはんはアキさんが作っていましたよね?つまり料理『も』出来ないんですね?女子として壊滅的では……?ねえ、アキさん。」


 アリアの的確な攻撃は間違いなく彼女達に大ダメージを与えたようだ。


「俺もちょっとそれで悩んでいるんだから、俺に意見を求めるな。」


 だが止めを刺したのはアキだった。


 ミルナ達はアキの言葉を聞いて絶望した。そして心を入れ替え、色々と頑張ろうと思った……ので彼女達の意識改革にアキは無意識にも成功したと言えよう。






「しかしなんでこんなに大所帯になっているのかな。」


 アキは屋敷の庭に集まった人数をみて溜息を吐く。出立の準備を終え庭に一旦集合したのはこれが理由だ。アキ達に同行すると言って聞かない連中がいたので全員が揃うのを待っていた。


「ミルナ、ソフィー、レオ、エレンは予定通り。アリアとセシルは昨日把握してる。」


 当初はこの6人とアキだけの予定だった。


「ガラン。」

「お前が王都にいくなら俺もいくぞ!まだまだお前とは鍛冶技術について話さねばならんからな。正直鍛冶なんぞどこでもできる。知識があるアキと共にいくのが最高の剣を打つことに繋がる。」


 なるほど。ガランがいるなら王都でも武器調達に困らないし、助かるからいいとしよう。


「爺ちゃん。」

「ほほほ、そろそろアリステールを出て本宅に戻ろうと思っておったからの。丁度いいと思っての。」


 納得のいく答えだ。もともとアリステールには息子であるレインの様子を見に来ただけらしい。それに爺さんがいれば馬車も使えるし、移動時間の短縮できる。むしろアキからしてみれば爺さんの同行は逆に大歓迎だ。それに爺さんが王都に居るなら色々と力になって貰えるだろう。よって、爺さんの同行もいいとしよう。


「だが、ばばあ。てめえはダメだ。」

「なぜだい!あとばばあ言うんじゃないよ!」

「てめえは支部長だろうが。アリステールを出られるわけがないだろう。」

「うるさい!可愛い娘が男に連れていかれるんだ!黙って見過ごすわけにはいかないよ!」

「人聞きの悪い事いうな、セシルは自分で決めたんだ。」

「お黙り!セシルに手を出したら容赦しないよ!」

「それなら大丈夫だ、もう手を出したからな。」

「なんだと!今すぐ殺してやるわ、この餓鬼が!」

「だ、だされてません!だされてませんから!」


 アキとレイアのやり取りを見ていたセシルが慌てて入ってくる。


「どうした、俺のセシル。」

「お、俺の……。」


 少し嬉しそうに照れるセシル。


「くそ餓鬼があああ!」

「誰にも指一本触れさせないから安心してアリステールで黙って待ってろ。」

「……ふん、もともと見送りのつもりさね。」


 素直じゃない、と思うアキ。少しは娘を見習えばいいものを。


「よし、じゃあ王都へ行くか。」

「待ってください。」


 ミルナがアキに声を掛ける。


「どうした?」

「あの後ソフィー、レオ、エレンと話して決めたんですの。聞いてください。」


 アキは黙ってミルナの続きを待つ。


「アキさんは私達にとって既になくてはならない存在ですわ。それなのにMERSIのままでは嫌だったんです。ですから先ほどレイア支部長にお願いして特急で手続きをお願いしました。」

「そうそう、アキも大事な仲間だからね。」

「か、感謝しなさいよね!」

「私の……私達の大事な人ですー!」


 ミルナに続いてレオ、エレン、ソフィーが口々に言ってくる。


「ですからチーム名にアキさんの名前もいれました。これからはMERSI(メルシー)ではなくMERSIA(メルシア)ですわ。だ、だめですか?」


 アキに確認せずに勝手に変更したのがミルナには後ろめたいのだろう。心配そうにアキの顔色伺う。


「ありがとう、ミルナ。そしてみんなもね。」

「よかったですわ。ではメルシアとしてこれからもよろしくお願いしますね?」

「ではメルシー改めメルシア、王都へ出立。」

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