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少し脱線してしまったが、セシルの悩み?も無事に解決出来た。アキとしてもベルフィオーレの文化について改めて考える事が出来たので、セシルが複婚についてどう思っているのか聞いてくれたのはありがたかった。
「・・・というわけで会議の方は特に問題なかったよ。」
ミルナ達に四大国会議の結果を大まかに説明した。まあ彼女達にはどういう話を会議でするかは事前に伝えてあったので、簡単に結果報告をしただけだが。
「アキさんの想定通りという事でよろしいんですの?」
「うん。」
「それはよかったですわ。お疲れ様でした。」
ミルナ達も細かい事までは聞いてこない。会議は上手くいったと聞けただけで満足のようだ。
「じゃあそろそろご飯にする・・・」
「あ、アキ!これからは予定通り行動するのかな!」
イリアがちょっと待ってと手をあげる。
「うん、そうだよ。」
会議の結果、ベルフィオーレの事はこの世界の王族達に任せる事になった。そしてアキはユーフレインでの活動を中心に行っていく。
この事はイリア達には既に伝えてある。会議ではそう言う方向に話しを持って行くつもりだと言ってあったからだ。だからイリアここで聞きたかったのは、「予定通りユーフレインで活動を行うのか?」という事だろう。
「わかった!私も頑張るね!」
拳を握りしめ、気合の入った返事をするイリア。
忘れがちではあるが、イリアはユーフレインの人間だ。生まれも育ちもベルフィオーレではあるが、彼女に流れる血は間違いなくユーフレインのもの。やる気があるのも当然の事だろう。
「じゃあご飯にしようか・・・アリア?」
「はい、準備は出来ています。」
さすがだ。うちのメイドには無駄がない。
「食堂へ行くか。」
アキはソファーから立ち上がり、リビングを出る。
そしてうちの子達はぞろぞろとアキの後ろをついて来る。いつも通りの大名行列だ。この子達は自分の好きに行動すればいいのにと思うのだが、ミルナ達はそれはダメだと言う。あくまでこの屋敷の主人はアキなので、何をするのもアキが先じゃないとダメなんだとか。食事の時間を決めるのも、風呂に入るのも、寝るのも、アキが優先らしい。
まあそんな事より、さっきから気になっている事がある。
「お腹すきましたー!」
「今日は良い運動したから当然ね。」
「いっぱい魔獣殺したもんね。」
「リオナはどれくらい殺したのよ?」
「私?7匹くらいかな?」
「ふーん、さすがね。私は10匹よ!」
「私は5匹くらいです。やっぱり弓は不利ですー。」
「まあそれは仕方ないわよ。」
「2人とも何で競ってるのさ。大事なのは数じゃないよ。どれだけ周囲に被害を出さないよう、迅速に殺せたかでしょ。」
「むー、リオナは真面目なのですー。」
「迅速に沢山殺すのが大事なのよ!だから数も大事なの!」
「はいはい、そうだね。」
ソフィー、エレン、リオナが楽しそうにそんな話をしているのが背後から聞こえてくるのだ。ほんとこいつら何の話してんだよ。楽しそうなのは何よりだが、これがうら若き乙女達の会話とは思えない。「ちょっとタピオカでも飲みに行かなーい?」みたいなキャピキャピしたノリで「殺す」だの「何匹仕留めた」だの言っているんだから怖い。
さっきも言ったが、やはりこういう文化の違いはでかい。一夫多妻制が平気なのかとセシルが聞いて来たように、アキもうちの子達の女子力について滅茶苦茶問い詰めたい。
「やっぱりああいう話題には慣れないな・・・」
一夫多妻とかそういう文化の違いはまだ受け入れられる。だがこういう殺伐とした会話にはまだ慣れない。とはいえ地球の乙女はどうだったとかソフィー達に諭したところであまり意味はないだろう。やはりアキがベルフィオーレの文化に慣れるしかないのだ。
「・・・あのね、アキ君?この世界でもあれは普通じゃないの。あの子達だけよ?だから変な誤解しないでね?」
アキの呟きが聞こえたのか、隣を歩いていたエリザが、アレと一緒にしないでと反論してきた。
「ん?エリザか、どうした?」
だがエリザが話しかけて来てくれたのは丁度いい。アキも彼女にちょっと用事がある。