15
「ベルさーん!!!!」
サルマリア第一王女、ステラの登場だ。
「どちら様でしょう。」
「そんな!?ベルさん!?」
そしてベルのステラに対する扱いが相変わらず酷い。少しは優しくしてやれ。
「ステラ、久しぶり。何というか・・・元気そうだな。」
「あ!アキさんもお久しぶりです!」
どうやらアキはついでらしい。まあ彼女の最優先はベルだろうからな。
「うむ、うちの娘は今日も元気だな。」
「ふふ、娘がすいません。」
彼女の父親であるイルと母親のミリアが笑いながら会議室に入って来た。というかこの2人がついているのにステラの暴走を止めなかったのかよ。相変わらず娘には甘々な国王と王妃だな。
それはさておき、とりあえずは挨拶をするとしよう。
「イルベルン国王陛下、ご無沙汰しております。ミリアステラお妃殿下もお変わりないようで何よりです。」
アイリスには気楽に行けと言われたが、一応ちゃんとした挨拶をしておく。アキだけでなく、ベルも挨拶をするべきなのだろうが・・・ステラに絡まれてそれどころではなさそうだ。
まあ2人は仲良く喧嘩しているから放っておこう。
「アキさん、私の事はいつも通りミリアで構いませんよ。」
「わかりました、ミリア殿下。先程アイリス女王陛下にも同じこと言われましたよ。」
「ふふ、そうでしょう?」
くすくす笑うミリア。
「ではそのようにしますね。イル陛下、ミリア殿下、本日は参加頂き感謝します。」
「いえいえ、こちらこそ政に巻き込んでしまい申し訳ない。」
むしろ感謝するのは自分達の方だとイルが言う。
「ええ、イルベルン陛下の言う通りです。」
アイリスもそれに同意する。
しかし何故アイリス達はフルネームで呼び合っているのに、アキだけは愛称で呼ばされているのだろう。まあ彼らに文句言う度胸はないので黙っておくけど。
「そう言って貰えるとありがたいです。肩の荷が下ります。」
国を統べる統治者達なのに上から目線じゃないのが彼らの凄いところだ。そんな人達だからこそ、アキも喜んで力を貸そうと思うのだが。
とりあえずこれでサルマリアとミレーの2ヶ国が揃った。
後はエスぺラルドとリオレンドだが・・・
「みなさん揃っておられるようですな。少し待たせてしまったかな?」
「そうですね。遅くなり申し訳ありません。」
そんな事を考えていたら丁度エルミラとルベルシアが到着した。
「ごきげんよう、エルミラ陛下にルベルシア王妃殿下。」
身内みたいなものではあるが、エルミラとルベルシアにも一応形式ばった挨拶をしておく。
「うむ。アキ君、今日はよろしく頼む。」
「・・・」
エルミラはにこやかに返事をしてくれたが、ルベルシアは無言のままこっちを睨んでくる。なるほど。
「・・・ごきげんよう、お義母様。」
こう言えという事だろう。
「はい!息子が元気そうで嬉しいですわ!」
しかしこんな場所で変な茶番をやらせないで欲しい。もうこの王妃、お茶目を通り越して最近は果てしなく面倒な相手になっている。
「あら、ルベルシア王妃殿下だけずるいですね。アキさん、是非私の事もお義母さんと呼んでくださいな。今ならうちのステラをつけますよ?」
何故かミリアが会話に入って来た。しかもさりげなくステラを差し出そうとしないで欲しい。
「ミリアステラ王妃殿下の事もお義母さんと呼ぶなら私もそれでいいですよね?」
そしてアイリスも悪乗りしてきた。
「駄目ですよ。アキさんのお義母さんは私だけです。そうですよね、アキさん?」
ルベルシアがはっきり言ってあげなさいとアキに話しを振ってくる。
うん、果てしなくカオスだ。何だこの状況。というかアキを巻き込まないで欲しい。これがミルナ達なら一発ずつ頭を引っ叩いて黙らせるとこだが・・・さすがに女王や王妃相手にそんな事は出来ない。目の上の連中ばかりだから質が悪すぎる。
こういう時こそうちのベルに何とかして欲しいところではあるが・・・
「ベルさん!今日も可愛いです!抱き着いていいですか!!!」
「きゃっ・・・!だ、抱き着いてから言わないでください!」
「くんかくんか。はぁ・・・ベルさんいい匂いですー・・・」
「はーなーしーてー!私はアキさんとイチャイチャするの!あっちいって!!!」
「嫌です。すりすり。」
「頬ずりしないでー!アキさーん!!!!」
あっちはあっちで大変そうだしな。あれに関わりたいとも思えないし。
うん、ベル達の事は放っておこう。
「なにやら騒がしいですな。みなさんお待たせした。」