5
「んー・・・勘?」
「どういうこと?」
「アキさんは奥さん一杯いるよね?そこの学院長を含め。」
ミリーがエリザをチラッと見る。
「うん、まあいるけど・・・」
アキがそう言うとエリザの尻尾がゆらゆら揺れる。嬉しそうだ。
しかしミリーの言いたい事が理解出来ない。どういう事だ?
「多分アキさんはこれ以上お嫁さんを増やさない。増やしてもあと1人だと思ってる。だからアキさんの側にいるには妾か側室になるしかない。」
ほんと、この子は何を言っているんだろう。
確かにアキはこれ以上、奥さんを増やすつもりはない。ミルナ達の時のように強引に言い寄られたしたらその限りではないかもしれないが、積極的に増やそうとは思わない。
だがミリーの言う妾や側室を迎え入れるは予定なんてそもそもない。何故そんな発想になるのか甚だ疑問だ。
「アキさんの事だから妾や側室もほとんど迎え入れないはず。だから早めに意識させておかないと不味い。エアルは乙女を拗らせているからうじうじして後悔する事になる。私は積極的だからそうはならない。」
ミリーがドヤ顔でふんすと鼻を鳴らす。
ちょっと可愛い。
ただ言っている事が全然可愛くない。ミリーがまさかここまで肉食系だとは思わなかった。あとさり気なく親友であるエアルを貶めてるのは何故だ。
まあこれは貶めると言うより、発破をかけているだけだろう。きっとこうでも言わない限り、エアルはうじうじしたままに違いない。1人の親友として、エアルの恋路を応援してやろうと言う訳だ。
素晴らしい友情、お涙頂戴ものだ。ただその相手が自分でなければという注釈はつくが。彼女達の標的が自分となると、さすがに素直には喜べない。
「ちょっとミリー!拗らせてないよ!ないんだからね!!!」
「嘘はよくない。エアルはアキさんの事が好き。」
「ぎゃー!!!なに言ってるの!?アキさん!違いますよ、違いますからね!!」
「じゃあエアルは指くわえて私がアキさんとイチャイチャするのを見てればいい。」
「ダ、ダメ!ミリーがするなら私がする!!」
「本当、素直じゃないんだから。」
やれやれと首を振るミリー。
「勝手に話を進めないでくれ・・・」
一応2人が異性として好意を向けてくれているのは前々から気付いてはいた。きっとアキが告白すれば彼女達は首を縦に振ってくれていただろう。だがミルナ達の事もあるし、アキとしてはその気持ちは応えられないので、気付かない振りをしていたのだ。放っておけばそのうち諦めるだろうと考えていたのだが・・・ちょっと甘かったらしい。まさかここまで積極的に来るとは思わなかった。
「しかしミリー、性格変わってないか・・・?」
「以前は猫かぶってた。こっちが本性。」
「あ、そうなのね・・・じゃあなんで猫かぶるのやめたんだ?」
「吹っ切れた!」
再びドヤ顔でふんすと鼻を鳴らすミリー。
ただ彼女の言っている事が一ミリも理解出来ない。
「アキさんは侯爵になったって聞いた。」
どういう意味だろうと首を傾げていると、ミリーが説明を始める。