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異世界の観察者  作者: 天霧 翔
第二十九章 国家会議
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4

「だからなんでいきなり来るんですか!!!」


 桃色のミディアムヘアーの少女が顔を真っ赤にしながら叫ぶ。エアルだ。


「どうどう。」

「私は馬じゃないですよっ!」


 エアル達に会う為、授業に乱入したのだが、やっぱりエアルに怒られた。どうもいきなり来るのが駄目らしい。今回は事前にエリザが伝えていたのだから大丈夫かなとも思ったが、「女の子には心の準備もあるんです!」とかなんだとか。


「じゃあどうやって会いに来れば納得するんだよ?」

「まず招待状をください。時間と場所を決めてもらえれば私がそこに行きます。あ、でもお洒落な場所じゃないといきませんからね!」


 うん、なにそれ。超面倒臭い。エアルに会うのにそんな事をしなければいけないのなら、もう怒られてもいいから勝手に会いに来るのでいいや。


「アキさん、エアルはちょっと頭が残念な乙女だから気にしなくていい。」


 深い青色の髪をしたボブカットの女の子がボソッと呟く。こっちがミリー。エアルの相方だ。


「ちょっとミリー!何言ってるの!?」

「ほんとのこと。」

「それじゃ私が面倒な女みたいじゃない!」

「え、違うの?」

「違います!!」


 相変らずこの2人は仲良しだな。見ていてほっこりする。


 とりあえずエアルに怒られた事を除けば、アキの突発授業訪問は生徒達に大好評だ。今でもアキは生徒達に人気があるらしい。地味に嬉しい。


「アキさんは音楽祭に参加する為にきたの?」


 騒ぐエアルを無視し、ミリーが尋ねてくる。


 さてどう説明したものか。ミリー達は国家会議が行われる事は知らないはず。いや、一応公表はされているので、会議自体の事は知っているかもしれない。ただそれにアキが参加、ましてや主催する事は公表されていないので知る由もないだろう。


「うん、そうだよ。」


 ここはミリーの話に乗っかって音楽祭に参加すると言う事にしておくのがよさそうだ。同じSランク冒険者で、仲良くしているエアルやミリーにはいつか事情を話す日が来るかもしれないが、まだ時期早々だと思う。


「そうなんだ。ねえ、アキさん、音楽祭で私とデートしない?」


 何時の間にかアキの隣にいたミリーが腕を絡めて誘惑してくる。


 改めてミリーを至近距離で見たが・・・美少女だ。ミルナ達といつも一緒にいるせいで感覚が鈍っているが、ミリー、そしてエアルは一般的にみてもかなり可愛い。同じSランク冒険者としてミルナ達に劣らない人気があるのも頷ける。


「そうだな・・・」


 ミリーの綺麗な青色の髪をそっと撫でる。


 彼女とは以前買い物に行ったが、それっきりだ。偶にはこの子達と遊ぶのも悪くない。音楽祭がいい機会だろう。


「ね、いいでしょ?アキさんだって私のような美少女と遊べて嬉しいよね?」

「自分で美少女とか言うなよ。」

「だって本当だもん。それにアキさん、私があげたネックレス今もつけてくれているし、私の事好きなんだよね?」


 確かに彼女からプレゼントされたネックレスはいつもつけている。それに好きか嫌いかと聞かれればミリーの事は好きだ。とはいえ1人の女性としてというより、友人としてだが。


 しかしミリーってこんなに積極的な子だっただろうか。なんか性格や口調も少し変わってる気がするんだが・・・


「ちょっとミリー!なに抜け駆けしてるの!そもそもそのネックレスは私とミリーからのプレゼンでしょ!なんでミリーがあげたみたいに言ってるのよ!」


 ちょっと待ったとエアルが叫ぶ。


 そういやそうだったな。ミリーは「私があげた」と言ったけど、このネックレスはエアルとミリーからのプレゼントだ。


「エアルが面倒な女してるから悪い。」

「だから面倒な女って言わないで!!」


 頬膨らませて拗ねるエアル。


「じゃあエアルも一緒にいく?いいだろ、ミリー?」

「あ、はい!いく!いきます!」

「まあアキさんがそう言うならいいけど。」


 仕方ないと肩をすくめるミリー。


「しかしミリーはなんで急に積極的になったんだ?」


 アキとしてはそれが不思議でならない。確かにミリーはアキに友人として好意を示してくれていた。そしてそれはエアルも一緒だ。ただ今まではどちらかというとエアルの方が積極的だった気がするし、そもそも異性としての好意をここまでアピールして来たことはなかった。


「んー・・・勘?」

「どういうこと?」

挿絵(By みてみん)

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