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異世界の観察者  作者: 天霧 翔
第二十九章 国家会議
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2

「ミレーに到着。転移は楽だなー・・・」

「ええ、本当に。馬車だと1週間かかる距離が一瞬です。」


 ベルが同意するようにうんうんと頷く。


 彼女の言う通り、エスぺラルドの王都ミスミルドからミレーの王都へは馬車で1週間程だ。以前ベルと移動した時も6日くらいで到着した。ちなみにエルミラ達がミレーに出立したのは会議の5日前。それで大丈夫なのかと心配したが、問題ないらしい。強行軍で行けば2~3日で着くらしく、会議の数日前にはちゃんと到着できるとの事だ。


 そんな強行軍が可能なのも、各国の王都へ続く街道がしっかり整備されているからだろう。これも魔獣制度による副産物だ。魔獣のおかげで盗賊や野盗はいないし、魔獣による襲撃もほとんどない。稀に制御を失った魔獣が暴走して襲ってくるくらいなので、しっかり街道の整備が出来る。ベルフィオーレの世界は文明レベルが地球の中世ヨーロッパくらいではあるが、魔獣制度のおかげで色々と快適に生活が出来るのだ。


 ちなみにエスぺラルドの王都から各3ヶ国の王都へは馬車で大体1週間前後。一番遠いのはエスぺラルドの東に位置するリオレンドから西のミレーで、これには移動が2週間程かかる。


 各国への移動が1~2週間で済むと言う事は、ベルフィオーレの大陸自体が小さいと思うかもしれないが、実際は日本の本州4個分くらいあり、そこそこでかい。各国の王都は割と大陸の中心に位置しているので近いと感じるだけで、実際大陸の端から端まで移動するとなると、順調に進んでも馬車で1ヶ月以上はかかるらしい。さすがにユーフレインの広さには到底かなわないが、ベルフィオーレも十分に巨大な大陸と言えるだろう。


 そしてその広さのせいか、ベルフィオーレには未開の地域が沢山ある。特に各国の最果てなどは人類未踏の地とされており、開発が一切進んでいない。


 まだ見ぬ景色。冒険者としては心が躍るのは当然だろう。魔獣制度を廃止したら、ミルナ達を連れて是非とも挑戦してみたいものだ。


「アキさん、今日の予定はミレーへの移動だけです。この後はどうされますか?」


 色々と物思いに耽っていたアキ。ベルの言葉で意識が現実へと引き戻される。


「あー、そうだな・・・アイリス女王に会える?あとはエアルとミリーにも。」

「はい、大丈夫かと。エリザさん、どうでしょう?」

「もちろん大丈夫よ。ちゃんと手配しておいたわ。」


 ミレーの予定はベルとエリザに任せていたが、ちゃんと事前に連絡しておいてくれたようだ。しかし魔法学院の生徒であるエアルとミリーはともかく、平民であるエリザがアイリスと懇意にしているのは普通に凄い事ではないだろうか。いくら学院長とはいえ、普通ではありえない人脈な気がする。


「さすがエリザだな。エリザの家は平民だろ?いくらエリザが学院長や魔法組合の組合長とはいえ、貴族でもないのに女王陛下と知り合いってのは凄くない?」

「ああ、うん、そう思われても仕方ないわね。でもミレーって魔法に力を入れていて、割と女性優位な国なのは知ってるでしょ?」

「そうだな。アイリス女王がそっちの方面に力を入れてるのは聞いてる。」

「でしょ?だから魔法学院もアイリス女王陛下の息がかかっているのよ。だから学院長である私とは面識があるの。魔法組合も似たようなものね。」


 なるほど、エリザが望んだ人脈ではなく、アイリスの方から接触があったと言う事か。納得した。これはもうミレーの事はエリザに一任してもいい気がする。ベルに任せるより円滑に物事が進みそうだ。


「それじゃアキ君、学院に行きましょう。アイリス女王陛下もそこへ来てくれる手筈になっているわ。」

「了解。」


 王宮で謁見するのは目立つので、わざわざアイリスが学院まで足を運んでくれるらしい。それにエアルやミリー達も今日は学院で授業を受けているらしく、丁度いいとの事だ。


 せっかく学院に行くのなら2人の授業にまた乱入してみるのも面白いかもしれない。「いきなり来ないでください!」とエアルに怒られそうな気がしなくもないが、それはそれで楽しみだ。

挿絵(By みてみん)


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