11
アキは目を覚ます。一瞬自分がどこにいるのかわからなかったが、周りをみて状況を把握する。見た事のないベッドと部屋。おそらくあの爺さんの屋敷だろう。
「即座に止血魔法かけたし、なんとか生き延びたか……。」
ただまだ痛むなと体を起こしながら呟く。
「どれくらい寝てたんだろ。」
そんなことを考えてると部屋の扉が開く。
「アキー!」
エレンが入ってきてアキに飛びつく。
「エレン痛い。」
「あ、ごめん……。」
エレンは素直にアキから離れる。扉の方を見るとソフィー、ミルナ、レオもいる。
「エレンずるい、私がやる予定だったのに。」
ソフィーが口を膨らまして拗ねる。
「いや、やるなよ……。」
アキは苦笑しながらも皆のいつもの姿を見ると心が落ち着く気がした。
「俺はどれくらい寝てた?」
「ほんの数時間ですわ、まだ同じ日の夜ですもの。」
ミルナが説明してくれる。やはりここはエスタートの屋敷だそうだ。ミルナ達が倒れたアキを運んだいたらエスタートが丁度通りかかり、馬車に乗せて貰ったらしい。
「じゃあ予定通り明日にはアリステールを出立できるな。」
「そんなダメです!」
アキの体がよくなるまで絶対ダメというソフィー。だがそうは言ってられないはずだ。
「ミルナ、協会と話したんだろ?」
「ええ……アキさんのおっしゃる通り早めに出た方がいいですわ。」
「なんでよ……ミル姉。」
レオが不思議そうに尋ねる。
「あいつらと揉めたんだ、そんな冒険者に街にいて欲しくないだろう。協会はともかく領主様はな。」
アキがミルナに代わって答える。大体想像はつく。
「そんな、アキは悪くないじゃん。」
「喧嘩両成敗ってやつだな。俺が領主でもそうする。ミルナ、合ってるか?」
「はい、アキさんの言う通りです。」
「まあ、元々出る予定だったんだしいいって。」
それは想定通りだし問題ない。予定通り明日出立でいいだろう。アキの傷も一晩治癒魔法で細胞を活性化し続ければほぼ完治するはずだ。明日の朝に準備して昼過ぎには出発出来ればいいと思う。まあ……出来ればの話だが。おそらくミルナは色々と気づいているはずだしな。
「でも間に合ってよかったわよ!ほんと無茶しないで!」
本当に心配したんだからねとエレンが怒る。
「ごめんな、でも俺の最強の刃が来てくれて助かったよ。」
優しくエレンに謝る。
「は……?え?アキ気を失ってたんじゃ……。」
「途中からはね、でも最強の刃のかっこいい言葉はちゃんと聞いてたぞ。」
「ちょ、ちょっと!そ、そんなこと言ってないわよ!」
自分のセリフを思い出して恥ずかしくなったのか必死に否定するエレン。誰にでもあるからな、気持ちが高ぶって恥ずかしい事を口走っちゃう時。
「どうした、顔が赤いぞ。我が刃。」
「刃いうなああああ!」
「あらあら、エレン。そんな照れなくても。」
ミルナがいつものようにクスクスと笑う。
「そうだぞ、癒しの光もこう言ってるんだ。照れる事はない。」
「はい……?あのアキさん?えっと……」
「どうした、俺の癒しの光よ。」
「なんで、知ってるんですか!いつ、いつまで意識があったんですか!」
ミルナが慌ててアキに確認する。
「いつだっけなー、でも癒しの光のかっこいいセリフは一字一句覚えているよ。言おうか?」
「やめて!ほんとやめて……!」
必死に懇願するミルナ。どうやら彼女はまた黒歴史を1つ作ってしまったようだ。
「あはは・・アキ、どこまで覚えてるの?」
「あの、アキさんどこまで覚えてるんですか……?」
「どうした、俺の盾に弓よ。ゴミが……!って弓のセリフは衝撃的だったな。」
ソフィーがやめて言わないでと涙目で訴える。今のソフィーを見ると、ゴミを見るような目をしていたあの時の彼女が嘘のようだ。しょうがないのでうちの可愛いエルフを撫でて落ち着かせてやる。
「アキ……忘れて?」
レオが可愛らしくお願いしてくる。まあ一番恥ずかしくないレベルだったのはレオだしあまり苛めるのも可哀そうだ。
「大丈夫だ、レオの事はなんも覚えてないぞ。今忘れた。」
「私のも忘れなさいよ!」
エレンが必死に叫ぶ。ミルナとソフィーもお願いしますと訴えてくる。
「1年くらいしたら忘れるよ。」
「1年も私で遊ぶ気なの!この変態!」
「諦めろ。嬉しかったんだから。」
アキは改めてエレンに礼を言う。勿論ミルナ達にもだ。そんなアキを見て彼女達はしょうがないなと嬉しそうに微笑む。




