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異世界の観察者  作者: 天霧 翔
第二十八章 国家会議に向けて②
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「さすがに疲れたな・・・」


 なんというか本当に濃密な1日だった。


「まあでも・・・楽しかったけどな。」


 今日1日を振り返る。


 まずエレンとのデートは楽しかったし、久々にのんびりと過ごせた。エレンはSランク冒険者であると言う事を除けば、可愛い物が大好きな普通の女の子。美人で、奥ゆかしくて、心優しい。そんな子と一緒にいて癒されないわけがない。


 そしてシズと久々に会った。久々と言っても1週間くらいだが・・・それでも数少ないアキの友人の1人だ。まあシズの家からの帰路で襲われたのは余計だったが、それでも楽しい時間だったと言えよう。


 最後にユキとの話し合い。金の事で怒られるかなとは思ったが、そんな事はなく、普通にお茶を楽しんだ。しかもおまけに爵位まで貰った。うん、よき1日かな。


 ・・・で締めくくれたらどんなによかっただろうか。


「はぁ・・・」


 現実逃避もそろそろ止めて現実と向き合わなければ。だがアキが逃げたくなるのも仕方ない事だと思う。ベルフィオーレに戻ったらミルナ達に色々言われるとは思ってはいたが・・・それはもう想像以上に面倒な事になっている。


「何をぼーっとしてるんですの!それでどうなんですの!!!」

「そうですよ!ちゃんと私達のお話を聞いてたんですか!!!」

「そうよ!言いたい事は一杯あるのよ!!」

「アキ!私は、私は悲しいよ!!!」


 言うまでもないだろうが、順にミルナ、ソフィー、エレン、リオナだ。そして当然アリアやセシル達も不機嫌そうにしているし、ベルなんて「ざまあみろです」と悪態をつきつつ、肘で脇腹に攻撃を入れてくる。鬱陶しい。


 ちなみにミルナ達が不機嫌な理由・・・はいつも通りではあるのだが、今日に至っては非常に多岐に及んでいる。


 ベルは「自分以外の王女」、つまりユキ、と仲良くしていたので不機嫌。まあこれはいつもの事だ。


 ミルナとソフィーは「扱いが酷い」とお冠。この2人は今日ほとんど留守番だったのが気に食わないのだろう。


 そしてアリアはアキが新しいメイドを雇うつもりなのが嫌なんだとか。新しい屋敷をユキから貰うにあたり、いくら人手が足りないとはいえ、「メイド」が増える事に納得がいかないらしい。どんなに仕事が増えようとも、「アキさんのメイドは私だけです!」だそうだ。ただ妹であるシャルは特例でOKなんだとか。曖昧というか都合のいい基準に呆れる。


 セシル、リオナ、エリザに関しては、言うまでもなくあれだ。「モフモフが足りない!増やす!」と宣言した事に相当お怒りだ。ユキのところでの一部始終をベルから聞いた瞬間、3人に鬼の形相で詰め寄られた。「獣人趣味!」「変態!」「私の尻尾じゃ満足できないの!」とか散々な事を言われた。


 最後にエレン、エリス、ルティア。まあこの子達はそこまで不機嫌なわけでもない。エレンとはデートしたし、エリスは暴漢相手の実戦でストレス解消済。あれでストレス解消になるエリスの将来が若干不安ではあるが・・・とりあえずはおいておこう。そしてルティア。彼女は基本的にいつでも一緒に行動している事が多いので拗ねてはいるが、あくまで形だけ。つまりこの3人はミルナ達の雰囲気にのせられて不機嫌になっているだけなのだ。まあある意味それが一番質が悪いとも言えるが。


「わかった、わかった。説教していいけど面倒だからどれか1つにしろ。」

「なんでそんな偉そうなんですの!アキさんは怒られてるんですのよ!!!」


 アキの態度が気に入らなかったのか、ミルナは目をカッっと見開いて叫ぶ。


「いやだって俺別に悪い事してなくない?」

「どの口が言ってるんですの!!」


 この口が言っている。というか本当にしてない。


 とはいえそんな正論を言い返したところでこの子達に通じるわけもない。


「ほら、今日は色々あったし・・・疲れたんだよ。時間も遅いしね?だからどれか1つにしてくれないかな?ごめんね?」

「し、しょうがないですわね。それなら仕方ないですわ・・・」


 ミルナがどこか嬉しそうに呟く。


 そう、こういう時のコツは甘える事なのだ。ミルナ達は基本的にアキには甘い。あーだーこーだ反論するくらいなら下手に出て、優しく「お願い」すれば大体言う事を聞いてくれる。


 つまりチョロい。


「とりあえずもふもふ帝国に関してはみんな納得してくれてるって事で。」

「「「「いやいやいや、それはない!!!」」」」


 藪蛇だったか。でもまあこんな面白い状況、いい子にしているのもアキらしくないだろう。火に油を注いでこそ最高のエンターテイメントだ。


 性格が悪い?知ってる。今更だ。

挿絵(By みてみん)

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