表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界の観察者  作者: 天霧 翔
第二十八章 国家会議に向けて②
635/1143

6

「ちょ!?いきなり何してくれてるんですか!!!」


 散らばった下着を必死にかき集めながら叫ぶベル。


 相変わらず判断と行動が早い。下着を召喚してからベルが動き出すまで1秒もかかってないぞ?


「ほら最近してなかったし、初心に帰るのは大事だろ?」

「何の話ですか!!!!」

「そんな喜ばなくても・・・照れる。」

「どこをどうみたら喜んでるように見えるんですか!本当に馬鹿なんですか!!」

「俺は馬鹿なんだろ?だから仕方ないよね。」

「そんなトンチをしているのではありません!!!早く『コレ』を何とかしてください!!」


 しかしそこまで慌てなくてもいいだろう。ジーヴスやナギ達は買い出しに出掛けていて屋敷にいるのはアキやミルナ達だけ。そもそもベルの部屋にお泊りした際、下着姿と変わらないような格好を見せられているんだから、今更下着の1枚や100枚くらいで騒ぐのもおかしな話だ。


「そこまで恥ずかしがらなくてもよくないか?」

「これを恥ずかしがらなくなったら乙女として終わってると思います!!!」


 うーん・・・それは確かにあるかもしれない。


 下着をばら撒かれて平然としてる女の子はなんか嫌だ。


「アキさん、お屋敷に汚物をばら撒くのはやめてくださいませんか。」


 掃除が大変なんですからとアリアが横から文句を言ってくる。


「ちょっと!?人の下着を汚物って言わないでくださいませんか!!!」


 ベルの怒りももっともだ。自分の肌着を汚物扱いされるのは不本意だろう。


「そうだぞ、アリア。俺がいた世界ではこれを『宝』と呼ぶ人達もいるんだぞ?」

「最低ですねその世界!?」


 ベルの突っ込みが絶好調だ。


 しかしまあ女の子の下着を「宝」とか言うのは一部ニッチな層だけだ。勘違いしないで欲しい。こんなのはただの布だ。


「脱ぎたての方が価値があるらしいぞ?」

「知りません!!!滅んでしまえ、そんな世界!!」

「ベルが今履いているのも・・・」

「それしたら!それしたら本当に泣きますからね!!!」


 さすがにやらないけど。


「アキさん。」

「なに?」

「この世界でもそう言うのはありますよ。前に仕えてたゴミとかがそうでしたし。」


 嫌な事を思い出したかのように呟くアリア。どうやらアリアの前の主人、ロリコンだけでなく、そっちの趣味もあったらしい。


「ところでアキさんはソレに興味ないんですか?」


 未だリビングのあちこちに散らばっているベルの下着を指差すアリア。


「興味あるかないかで言われたら・・・あるけど。」


 嘘を吐いても仕方ない。


 確かに下着なんてただの布だとは言った。だが女の子の下着に興味を持たない男なんていないだろう。これは女の子とセットでこそ価値を発揮する神器だ。


 ・・・何かもの凄く変態な事を考えてしまった気がする。


「では私の脱ぎたてをご用意しますか?」


 なんでそうなる。


 あとアリア、そこで頬を染めるのはやめろ。


「それだと俺もアリアの前の主人と同じゴミになるだろうが。」

「アキさんはいいんです。『アリアの脱ぎたての下着を被りたいよ、ハァハァ』とか言っても全然軽蔑しません。喜んで提供しましょう。」

「いらん、やめろ。」


 平然と独自の超理論を展開するのは止めて欲しい。返答に困る。あとそんな変態な事は言った覚えはない。


「でも欲しいか欲しくないかで言うと?」

「・・・欲しい。」


 そういう究極の選択肢を出すのはずるいと思う。ここで欲しくないを選んだら明らかな嘘になるし。


「では・・・」

「ではじゃない。脱ごうとするな。」


 アリアがくすくす笑っている。冗談だったらしい。相変わらず質の悪い冗談を言う変態メイドだ。


「・・・おい、そこの駄エルフを誰か止めろ。」


 前言撤回。質が悪いのはこっちの駄エルフだった。危険すぎる。アリアと違いソフィーは本気だ。リオナとエレンが必死に止めてくれたから助かったが。


「リオナ、エレン、一応言っておくけど・・・いらないからね?」

「な!?この変態!!あげないわよ!!!」

「当たり前だよ!あげるわけないでしょ!?」


 変態だと。何故だ。ちゃんと断ったのに変態と呼ばれる筋合いはない。というか変態、変態?・・・そうだ、うちにはもう1人変態がいるんだった。思い出した。


「ルティア。」

「むぅ・・・おそかった。」


 スカートの中に手を入れてもぞもぞしていたルティアをなんとか止める。


 危ない。ギリギリセーフ。


「なんで?恥ずかしい?アキが寝てるときにそっと顔に被せる?」

「意味わからない。っていうか無意識の時にするのは悪質だからやめて。俺を変態の道に引き摺り込まないで。」

「だいじょうぶ。一度入ると楽になる。」

「名言ぽく言ってもダメ。」

「むぅ・・・残念。」


 ルティアにソフィーにアリア。なんでうちには3人も変態がいるんだ。まあアリアは冗談半分だからまだいいけど・・・他2人が油断ならない。あいつらは本気だ。下手な返事をするとまじで寝てる時に下着を被せに来る。あいつらは絶対来る。


 まあこんなどうでもいい話はさておき、さっきから目の前でうろちょろと下着を集めているベルが鬱陶しい。まだ終わらないのか。


「それよりベル、いつまで下着拾ってるんだ?早く汚物を片付けなさい。」

「――っ!?だ、だ、誰のせいだと思ってるんですか!!あと汚物いうなああああ!!!ばかあああああ!!!」


 ――バチーンッ!!


 本気で平手打ちされた。そして滅茶苦茶怒られた。


 痛い。

挿絵(By みてみん)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ