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異世界の観察者  作者: 天霧 翔
第二十七章 ベルフィオーレとユーフレイン
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「ふーん・・・なるほど・・・」


 不敵な笑みを浮かべるベル。


「なに?」

「・・・えいっ!」


 ベルが正面から抱き着いて来た。つまり椅子に座っているアキに馬乗りになるような形だ。ベルの可愛い顔が目の前にある状態。ちょっとドキッとしてしまう。


「急になに?食事行けなかった事・・・怒ってる?」

「いえ?全然、怒ってないですよ?時間無かったのは私も知ってますし。」

「え?じゃあなに?」

「え?甘えてるんですけど?」

「いや、そんな真顔で言われても・・・」

「うふふ・・・アーキさんー♪」


 文句を言えば退いてくれるかと思ったが、そんな気配は一切無く、アキの事なんてお構いなしと言わんばかりに、顔を胸に埋めてくるベル。


「はしたないぞ。淑女なんだろ?」

「いーんです。アキさんにしかしませんから。」


 そう言う問題ではない気がするが・・・


「あとその寝間着・・・ちょっと際どくないか?」


 ベルの寝間着は白色の薄いネグリジェ。色々見えそうになる、というか下着は普通に透けて見えている。むしろそんな格好でアキを出迎えておいて、何故部屋に散乱していた下着を恥ずかしがったのかわからない。


「アキさんは何も見てません、いいですね?」


 顔を真っ赤にしたベルに睨まれた。


「恥ずかしいのか?」

「当たり前です!それはもう恥ずかしくて死んでしまいそうです!自分がどんな格好をしているか思い出さないようにしてたんですから言わないでください!」


 ベルが大声で叫ぶ。


 どうやら今こうして抱き着いているのも、ベルの格好をアキが見られないようにする為のようだ。なるほど、納得だ。ただ耳元で叫ぶのは止めて欲しい。


「でも前一緒に寝た時は・・・そんな寝間着じゃなかったよね?」


 ベルとは何回か添い寝した事はあるが、いつもはワンピースのような白とピンクの可愛いネグリジェを着ている。今日のようなスケスケではなかった。今のベルの寝間着はなんていうかエロい。


「あ、あれはアキさんと寝るから露出の少ないやつを選んだんです!」


 寝間着も色々持っているらしい。


「普段はこっち?」

「う、うん・・・お気に入りはこれですから・・・」

「似合っているよ。綺麗だと思う。」

「うー・・・あ、ありがとうございます。でも恥ずかしいのであんまり見ないでください・・・ね?」


 大丈夫だ、抱き着かれているからよく見えない。正直なところアキとしても目のやり場に困っていたので、ある意味この状態は助かる。


「うん、見ない。だからこのままでいいぞ。」

「なんでですか!そこは見たいって言ってください!ばかですか!」


 なんかこう、理不尽ではないだろうか。


 見ないでと言われたから見ないと言ったのに、何故怒られたのだろう。


「いやだってベルが恥ずかしいなら見ないように・・・」

「ダメです!アキさんには見られてもいいんです!そもそもアキさんに見せる為に用意したパジャマなんですよ!」


 どうやらこの寝間着はアキを誘惑する為のものだったらしい。ただ「見てください」とか言われても正直困る。どんな感情で見ればいいのかわからない。喜べばいいのか?欲情すればいいのか?


「アキさんは見たいんですか!見たくないんですか!どっち!」


 そんな究極の2択のような質問をするのは止めて欲しい。見たいといったら「変態!」と言われそうだし、見たくないと言ったら怒られそうだ。ただまあアキも健全な男。ベルのエッチな格好が見たいかと聞かれたら見たい。


「そりゃ・・・見たいけど・・・」

「じゃあ見てください!はい!どうぞ!」


 ベルは抱き着くのをやめ、アキの正面に立つ。


 今にも爆発しそうなくらいに顔が真っ赤だ。


「いや、恥ずかしいなら無理しないでいいんだけど。」


 そこまで恥ずかしがられると、こっちもなんか恥ずかしくなってくる。


「大丈夫です!そう大丈夫なんです!アキさんは胸なり足なり好きなだけ私を舐め回すように見て大丈夫です!!さあどうぞ!さあ!」


 おい、その卑猥な言い方はやめろ。アキが変態に聞こえるだろうが。


「やけくそになってないか?」

「う、うるさい!見るんですか!見ないんですか!っていうか私がここまでしてるんだから見なさい!」


 まあ見るけど。


 目の間で美少女がエッチな格好をしていたら誰だって見る。


「はいはい・・・」


 許可も貰った事だし、アキは改めてベルを見る。


「ど、どうですか・・・?」


 綺麗な銀色の髪と瞳。透き通るような白い肌。そしてネグリジェの下に着けている肝心の下着は薄いブルーと白を基調としている。また各所にフリルがあしらわれており、ベルの胸やお尻の曲線を魅力的に際立たせている。淫猥な格好ではあるが、決して下品ではない。全てが「美しい」の一言。


 まごうことなき美少女。


 絵本から飛び出してきたお姫様。


 仄かな月明りに照らされ、まるで妖精のよう。


 そんな言葉が今のベルにはぴったりだ。


「とまあ・・・そんな感じの感想なんだけど。」


 正直に思った事を口にしてみた。


 そんなアキの感想を聞いたベルは顔を真っ赤にして目に涙を浮かべている。


「うぅ・・・ぐすっ・・・ひっく・・・」


 ・・・と思ったら急に泣き始めた。


 なんで?

挿絵(By みてみん)

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