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異世界の観察者  作者: 天霧 翔
第二十七章 ベルフィオーレとユーフレイン
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 その後は早めに解散、自由時間とした。ナギやジーヴスの部屋決めもあるし、荷物の片付けもある。それにあの2人とっては激動の1日だっただろうし、疲弊しているに違いない。正直アキも疲れた。まああれだけ濃密な1日だったのだから当然か。


 ただ何故かミルナ達だけはピンピンしている。というかあの子達が疲れてるところを見た事がない。ソフィーは「アキさん遊びましょー!」とまとわりついて来るし、エリスは「訓練するのだ!」とかやる気満々だし、ベルは「アキさんイチャイチャしましょう」と鬱陶しい。


 とりあえずそんなミルナ達を振り切り、アキは自分の部屋へ戻ってきた。とは言ってもこれから何かをしようという気力はないのだが。


「寝るか?でもそれならもうちょっとミルナ達と遊んでやってもよかったかな。」


 今日はずっとユキやナギ達の事で手一杯だった。ミルナ達の事はほとんど構ってあげられてない。その上あの子達には色々と汚れ仕事をまかせてしまった。それなのにあの子達は一言も文句は言わなかった。


 ちょっとだけ罪悪感に苛まれる。


「まあ・・・そうだな・・・」


 みんなの部屋に遊びに行くか。というかこのまま寝てしまったらダメな気がするのだ。何故かはわからないが明日酷い目に遭う気がする。


「よし、片っ端から行こう。」


 それからミルナ、ソフィー、エレン、リオナ・・・と1人1人の部屋へ遊びに行ったのだが・・・行くんじゃなかった。


 何があったのかは言うまでもないだろう。エレンやリオナは歓迎してくれたし、楽しくお話して終わりだった。アリア達も一緒。問題はミルナ、そしてソフィー。


 ミルナの部屋へ行ったら・・・ミルナが鏡の前でなんか変なポーズを決めていた。なんか怖かったのでそっと立ち去ろうとしたのだが、般若のような顔をしたミルナに捕まり、数十分説教された。説教というか言い訳というか・・・必死に何かを弁解してきた。その後ミルナがあらさまな誘惑をしてきたので引っ叩いて逃げてきた。


 そしてソフィー。この駄エルフはなんというか・・・部屋に入るなり「既成事実ですー!」とか言って襲いかかってきた。怖い。どうやらうちのルティアに余計な事を教えたのはこのエルフだったらしい。とりあえず引っ叩いて、立ち去ろうとしたら、今後は泣きながら「帰らないでくださいー!」と訴えてくる。さすがに可哀そうだったので、少しお喋りしたが、ずっと得物を狙う鷹のような目でこっちをずっと見ていたので怖かった。勿論早々に退散した。


 あいつら怖い。やっぱりいつか襲われる気がする。特にソフィー。


「最後はベルか・・・ミルナやソフィーと似たような事になりそうだからベルのとこには行きたくないんだけど・・・行かないと後が大変な気がする。」


 絶対にベルに怒られる。「なんで私のところだけこないんですか!」と詰め寄られ、面倒な事になるのが目に見えている。


「まあベルとはしたい話があるし、行くけどね。」


 ――コンコン


 ベルの部屋の扉をノックする。


「はい?」


 すぐに扉が少しだけ開き、ベルが顔を覗かせる。


「アキさん・・・?」

「遊びに来たんだけど入っていい?」

「は、はい・・・どうそ。」


 あれ、思っていた反応と違う。予想なら「アキさーん!」と抱き着いて来るかと思ったのに、頬を染めながら恥ずかしそうにもじもじしている。


「都合悪いなら出直すけど・・・」

「い、いえ!大丈夫です!」


 とりあえず部屋には入れてもらえた。


「駄目!アキさん!あんま見ないでください!!!」


 なるほど、そう言う事か。


 ベルの部屋は一言で言うならシンプル。余計な物は一切置いてない。ただ洋服で溢れかえっている。ベルは身嗜みには人一倍気を遣う子だ。王女だからこそ、そういうところには細心の注意を払っているのだろう。


 ただ下着も数えきれないくらいにあるらしく、当然それらがクローゼットに収まる量ではない。つまり部屋のあちらこちらに服や下着が置かれている。だからベルはアキを部屋へ入れるのを躊躇ったのだ。


「ベル、恥ずかしいなら断ってもよかったんだよ?」

「い、いいんです。アキさんになら別に見られてもいいですし・・・」

「ありがと。でも・・・下着の色、というか種類増えてない?」

「変態ですか!?そんな事聞かないでください!!っていうか何でわかるんですか!!!」

「ベルの事だからな。」

「ドヤ顔しないでください!全く嬉しくないから!!!」

「わかったよ。とりあえず適当に座っていい?」

「は、はい。じゃあ・・・この椅子にどうぞ。」


 ベルが椅子の上にあった洋服をどかしてくれたので、アキはそこに座る。


「でもこんなに洋服があるのに散らかってないって凄いな。」


 洋服で溢れかえっている割には部屋は散らかっていない。クローゼットに入りきらない洋服はちゃんと綺麗に折りたたんであるし、全体的に整理整頓されている。


「以前アキさんに注意されたので・・・出来るだけ綺麗にするようにしてます。」


 確かに部屋を片付けろと一度だけ注意した事がある。


「さすがベル。」

「えへへ、ありがとうございます。それよりどうしたんです?」

「ん、今日はずっとユキ達の事で手一杯だったからあまり構えてなかったなと思って。今ミルナ達のところへも行ってきた。ベルを最後にしたのは・・・今日夜食事行く約束してただろ?でも時間無くていけなかったから・・・ちゃんとベルとの時間を作ろうと思って。」

「ふーん・・・なるほど・・・」


 不敵な笑みを浮かべるベル。


「なに?」

挿絵(By みてみん)

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