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異世界の観察者  作者: 天霧 翔
第二十七章 ベルフィオーレとユーフレイン
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 ナギにお願いしたい事はこれで終わり・・・なのだが、ミルナ達が不思議そうな顔をしている。どうやら理由を説明してあげた方がよさそうだ。


「というわけで、ベル。何故俺がそんな事を頼んだのか・・・説明してあげなさい。」

「はい!・・・って言うと思いましたか!!!アキさん!!!」


 何故かベルに怒られた。


「なんですか、ベル様。」

「ベル!ベルです!大体何でもかんでも私に説明させようとしないでください!私がいつでもアキさんの考えてる事わかるとで思ってるんですか!!!ばか!!!」


 ベルが頬を膨らませながら睨んでくる。


 なるほど。アキのやりたい事が理解出来ないから逆切れしていると。それなら普通に「わかりません」と言えないのか、この王女は。


 しかしまあ「ベル、頼んだ」は少しベルに甘えすぎかもしれない。反省だな。


「ごめん、ベル。ちょっと頼り過ぎてたね。これからは控えるよ。」

「な、何馬鹿な事言ってるんですか!!そう言う事を言ってるのではありません!これからも沢山私を頼ってください!っていうか頼りなさい!!!」

「どっちなんだよ。」

「なんでわからないんですか!もー!」


 ベルが「ばかばか!」と地団駄を踏む。


 まあベルが言いたい事は何となくわかるけど。どうせ「頼って欲しい!でもわからない事は聞かないで!」ってことなんだろう。ちなみに今回の場合、何が正解だったかというと、最低限の情報を与えてからベルに頼る。これだ。


 うん、面倒な王女だな。


「あー、あれだ。ユキの為の資料だな。」

「・・・!では私が皆さんに説明しますね!」


 なるほどと柏手を一つ打ち、ベルが目を輝かせる。


 どうやらアキの言いたい事を理解したらしい。


「う、うん、頼むよ。さすがベルは頼りになるな・・・?」

「当然です!」


 本当に面倒な王女様だ。エレンやアリア達も「いつものやつですね」と呆れ顔だしな。ミルナだけは何故か対抗心を燃やしているが。「私の方が頼りになりますわ!」と言いたげだ。というかミルナが会話に入って来たら話がさらにややこしくなるからやめて欲しい。


「とりあえずベル、説明。」

「はい!アキさんはずっとユーフレインにいるわけではありません。ユキさんに常にアドバイスできるわけではないと言う事です。ですのでアキさんがいなくても、何とかなるよう、最低限の資料を作って渡しておきたい。そういうことなのです!」


 その通りだ。それで合ってる。合ってるが・・・そこまでドヤ顔で言う事じゃないぞ。というかそのドヤ顔、明らかにミルナに向けてるよな。案の定ミルナが「アキさん、私にも!私にも聞いてくださいませ!」と鬼の形相になっているし。


「えー・・・じゃあミルナ、もう1つの理由をみんなに説明してあげて。」

「わ、わかりましたわ!で、アキさん!その理由はなんですの!教えてくださいませ!」


 何故聞く。それならもうアキが説明した方が早いだろうが。わからないならわかりませんと素直に言え。


「あれだ。ユキには兄妹がいるだろ・・・」

「なるほど!もちろんですわ!そう!アキさんはユキさんのお兄様にも色々と学んでもらおうとしてるのですわ!その為に資料作成は必須なのですのよ!」


 ミルナとの茶番についてはともかく、まあそう言う事だ。


 ユキは頭がいい。ベルと同じで1言えば10理解する。だから誰かに何かを説明する際、端折ったり言葉足らずになってしまったりする。そうなると周囲は理解が出来ない。いわゆる天才は教えるのが下手というアレだ。


 だからそんなユキからしてみたら、兄であるシエルは「馬鹿」に思えるかもしれない。だが彼女の話を聞く感じだと、シエルは要領が悪いだけで、決して馬鹿ではなさそうだ。シエルをユキの右腕として機能させることが出来るかはわからないが、分かりやすい資料で勉強させればシエルも立派な王子になれるのではないだろうか。やる気は誰よりあるみたいだし、可能性は十分にある。ユキ1人では手が回らない事もあるだろうし、シエルが優秀な王子になれるのであればそれに越したことはない。


「ナギ、そう言う訳だから頼むね。えっと、わかった?」

「う、うん!大丈夫だよ!アキの言いたい事は伝わったよ!」


 あははとナギが苦笑する。


 うちのミルナ達が面倒で申し訳ない・・・

挿絵(By みてみん)

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