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異世界の観察者  作者: 天霧 翔
第四章 殺意
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7

 冒険者協会に到着するなりミルナ達はセシルを探す。受付にセシルの姿を確認するや否や彼女達は押し寄せる。


「セシル!」

「ミ、ミルナさん!」

「ア、アキさん知りませんか!」


 アキの名前を出すとセシルが涙目になる。それを見たミルナ達は何かあったのだとすぐに察する。


「やっぱり協会で何かあったの!教えて!」


 ミルナがいつもの口調じゃなくなっている事から相当焦っているのがわかる。周りの目も気にせずに声をあげてセシルに詰め寄る。


「さ、さっき、アキさんが1人で来て、支部長と話したいって。終わって協会を出たところで何人かに囲まれているのをみました……。私何もできなくて……ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……」


 セシルの声は最後の方は何を言っているのかわからないくらい涙で埋もれていた。


「アキさんどこですか!どこにいるの、ねえ!ねえ!どこに行けば会えるの!」


 ソフィーも涙目になって取り乱す。


「貴方のせいじゃないわ。それでどこに、どっちに行ったの!早く教えなさい!」


 エレンが横から割って入る。冷静を保っているように見えるが内心相当焦っているのだろう。いつも以上に落ち着きがない。


「わ、わかりません。南の方に行ったのは見ました……街の外……?」


 セシルが泣きながら必死に説明する。


「多分外だと思う。街中で何かしたらすぐ騒ぎになるし。南に行って門から出たんだと思う。おそらく門をでて街の壁に沿って進んだところ。あの辺りって人が通らない。冒険者はそのまま南下するし街の壁付近なんてまず通らない。」


 レオが必死に考えて分析する。


「レオの言う通り行きますわよ、全力で。15分で!アキさんの馬鹿、やっぱり何も大丈夫じゃないじゃない!」


 ミルナはしっかりしろと自分を叱責して協会を飛び出す。ソフィー達も必死に後を追う。協会から門までは普通に歩いて40分、ミルナ達が全力で走れば15分を切れるだろう。






 エレン達は必死に走る。


 だがエレンはさっきミルナが言った言葉がどうしても気になった。走りながらミルナに尋ねる。


「ミルナ、『やっぱり』ってなに。あなた何か知ってるわね?」

「え、いやそれは……今日やっぱり大丈夫じゃなかったって意味で……。」


 ミルナが言葉に少し詰まりながらも答える。


「嘘ね。『やっぱり』がそもそもおかしいわ。前々から何か起こるかもって知っていたんでしょう。ミルナは何か私達の知らないアキの事を知ってる。なにより前に協会で話してた時も何か知ってる風だった。馬鹿にしないで。」


 エレンがミルナに問い詰める。吐きなさいと。


「わかりました……どうせアキさんの事ですから私が話すことも想定しているでしょう。私は聞いていました。こうなる可能性があることを。街に入る以前に。」

「ミル姉、どういうこと?」


 レオが尋ねる。


「レオには一番関係あるかもしれません。アキさんが加入した時の条件覚えていますか?」

「えっと、イリアの為に協力する。」

「はい、もう1つは?」

「僕への風当たりを緩和させる?」

「ええ、それがそもそも違うのです。」


 ミルナはレオに告げる。そこから既に間違っているのだと。


「アキさんの計画はレオを含む私達への視線や風当たりの『全て』を自分に向けさせるというものです。一部じゃないですわ、全部です。」

「え……?」


 レオは言われた意味がわからないようで戸惑う。


「どういうことですか!何で全部なんですか!」


 ソフィーが代わりに叫ぶ。


「自分は視線に慣れているから問題ない。全部引き受ける。そう言っていましたわ。その為に街中で騒いだり、私達と過剰にスキンシップを取ったりしてたんです。」

「だから屋敷に居る時に比べてよく撫でたりしてきたの?あれってそういう意味なの?」


 今度はエレンが聞く。


「多分過剰にやるように意識はしていたのでしょう。そうすれば自然と嫉妬や羨望の目線はアキさんに行きますから。」

「じゃあいつもヘラヘラしてたのは?」

「私達に心配かけない為が1つ。そしてもう1つが弱いくせにって思わせる為。弱いくせにAランクの私達といるって印象づけられればさらにヘイトが稼げるとおしゃっていましたわ。」

「アキさんのばかー!そんなんで私が喜ぶって思ったんですか!ミルナさんはなんで止めなかったの!」


 全てを知っていたミルナに文句を言うソフィー。


「でも楽しかったでしょう……?私は楽しかったです。皆が楽しそうに嬉しそうにしてるからいいじゃないって言われたら何も言えませんでした。事実そうでしたもの。」


 ミルナがソフィーに言う。


「でもそんな事したら皆に嫌われるじゃない!皆に馬鹿にされて嫌われて!」


 エレンはまだ納得できないのかミルナに食って掛かる。


「そんなのはどうでもいいそうですよ?私達に嫌われてないなら他はどうでもいいでそうです。」


 ミルナが静かに告げる。


「アキのバカ、絶対殴ってやる……。嬉しいけどそれでアキが酷い目に遭うとか許さないんだから。」


 レオが目に涙を浮かべながら呟く。


 ソフィーは既に泣いているしミルナも辛そうだ。エレンはそんな3人の様子を見て唇を噛みしめる。門が見えてくる。この中で一番素早いのはエレンだ。


「先に行くわ!」


 そう言ってエレンは飛び出す。

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