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異世界の観察者  作者: 天霧 翔
第二十七章 ベルフィオーレとユーフレイン
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「それよりエレン、今でも声をかけられるのか?」


 アキが一緒にいるようになってからはそう言う事はほとんどなくなったと思っていた。Sランクにもなり、ベルフィオーレでは「魔人」としてすっかり顔も売れているアキ。だからミルナ達にちょっかいをかけるような輩はもういないと思っていたのだが・・・そうでもないのだろうか。ただ冷静に考えれば、それは当然の事かもしれない。ミルナ達のような美人を男達が放っておくわけがない。


「あー・・・うん、あるわよ。でも安心しなさい。私はアキだけよ。」


 エレンが大丈夫だからと微笑む。


「あ、うん。その心配はしてないよ。」


 そんな事は重々承知だ。アキはただエレン達が今でも声をかけられたりするのか純粋に気になっただけだ。


「え、あ、そうなの?」

「まあ気分がいいものではないけどな。でもエレンがそんなのに靡かないのは知っているし、心配はしてない。」

「ふふ、ありがと。それに私が声をかけられるなんて滅多にないわよ。」


 だからヤキモチなんて妬かなくていいとエレンがくすりと笑う。


「そうか。」


 どうやら偶に物好きがナンパしてくるくらいで、そう言った事はほとんどないらしい。まあエレンは以前からそうだったな。多分見た目が幼いからニッチな層にしか人気がないのだろう。


「エレンはこんなに可愛いのにね。」

「う、うるさいわね・・・ばかっ。」


 文句を言いつつも、嬉しそうに寄りかかって甘えてくるエレン。


「ちなみにエレン以外はどうなんだ?」


 アキがミルナ達と一緒にいる時、男達が声をかけてくる事はない。だがエレンの話を聞く限り、アキがいない時はそうでもないようだ。アキが留守番をお願いした時など、ミルナ達はよく買い物に出掛けたりしている。まあずっと屋敷で留守番しているのは暇だろうし、それは一向にかまわない。ベルフィオーレであれば安全だし、危険はないはずだ。


「えっと・・・アキさん抜きでお買い物行った時とかには声はかけられますわ。でも変な事はされませんわ!声をかけられるだけですの!」


 ミルナがおずおずと答える。


 まあそれはそうだろう。そもそもミルナ達自身Sランクとしてこの国では顔が売れている。無茶をするような連中はいないだろう。先も言ったが、その辺は心配していない。


「ミルナ達なら大丈夫なのはわかってるよ。そう言う事じゃなくて、やっぱりミルナは毎回毎回言い寄られるのか?セシルは?アリアは?」


 ミルナ達をアキから奪ってやろうと考える連中はどのくらいいるのだろう。もちろん奪われるとは思っていない。アキとしては知りたいだけだ。今のミルナ達がどれくらいモテるのか単純に興味がある。


「俺がミルナ達の大事な人ってのはもう知れ渡ってるだろ?そんな今でもモテるのか気になっただけ。」


 それにそれを知ったところで言い寄ってくる連中をどうこうしようとは思わない。声をかけるくらいなら自由だ。美人に声をかけるなんてどの世界でも普通の事。だから手を出そうとしない限り、目くじらを立てる事もない。


「なるほど、そう言う事ですのね。」


 納得したのか、ミルナがうんうんと頷く。


「で、どうなの?」

「そうですわね・・・ソフィーと私はかけられますわ。セシルさんもかなりの頻度ですわね。エレンはさっきも本人が言ったように偶にくらいでしょうか・・・」


 やはりミルナとソフィーはモテるらしい。まあ当然か。ミルナはもの凄い色気があるし、ソフィーは可愛い。セシルもそうだ。大抵の男なら彼女達を自分の好きに出来る夢くらいは見るだろう。土下座しながら「抱かせてください!」と懇願するような男がいてもなんら不思議ではない。彼女達にはそのくらい魅力がある。


「一生に一度は抱いてみたいと思えるくらい美人だしな。」

「ふふ、そうですの?嬉しいですわ。アキさんならいつでもですわよ?」


 ミルナが妖艶に微笑む。アキに褒められ上機嫌のようだ。


「じゃあリオナは?」


 うちの可愛い狼はどうだろう。


「私・・・?えっと・・・最近は多い・・・かな?」

「女の子の格好をしてるからだろうね。リオナも美人だからな。」


 レオである事をやめたリオナ。それからずっとリオナは「女性」でいる。そして少年の格好をしていた反動からか、彼女はやたらと女性らしさを求める傾向にある。今日も裾が短いワンピースを着ているし、程よく色気があり、抱きしめたくなるくらいに可愛い。ミルナやソフィー同様、男であれば間違いなくリオナの魅力に目を奪われる。


「えへへ・・・やった。」


 リオナも褒められたのが嬉しいのか、尻尾をぱたぱたと揺らしている。

 うん、いい尻尾だ。後でモフろう。


「他の子達はどうなんだ?」

「ベル王女様、エリスさん、アリアさん、ルティアさんはそう言うのはありませんわ。私達だけですの。」

「そうなのか。」


 ルティアはまあわかる。彼女はアキがいないと絶対に表に出てこないから声なんてかけられないだろう。だがアリア、ベル、エリスが声をかけられないのはおかしい。3人ともミルナ達に劣らないくらいの美人だ。


「ルティアさんは・・・まあ言うまでもないですわよね?エリスさんは基本無視するので誰も声をかけませんわね。以前からそうだったらしいですわ。」

「あー、なるほど。エリスはそんな感じがするよ。」

「うん?アキ?なんのことなのだ?」


 自分の事が話題にあがったからか、エリスが不思議そうな顔で会話に入ってくる。というか話を聞いてなかったのか。


「いや、エリスはよく言い寄られたりするのかなって。」

「ないのだ。声なんて掛けられた事ないのだ。」


 はっきりと言い放つエリス。だがミルナは「そんな事は無いですわよ・・・」と呆れ顔だ。多分あれだ。エリスは無視するとか以前にナンパに気付いてないだけだな。今も話し聞いてなかったし。まあ・・・なんともエリスらしいが。

挿絵(By みてみん)

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