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異世界の観察者  作者: 天霧 翔
第三章 アリステール
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11

 とりあえず1つ目の案件が終わったので、アキ達は次の場所へと向かう。これからレオとエレンと合流して買い物に行く予定になっている。いい加減この世界の服を買って外套をとりたい。何せずっと外套を羽織っているのは暑い。まあ、今はもう1つ暑い理由があるのだが。ブランの屋敷を出た時からずっとソフィーがアキにくっついている。


「ソフィー、なんでさっきからくっついたままなの?」

「私はアキさんの女です。だからくっついてもいーんです!」


 よくわからん理論を展開させるソフィーだが、とりあえず彼女の好きにさせよう。そのうち飽きるだろう。


「で、ミルナはまだ凹んでるの?」

「はい……私がちゃんとしていれば……。」

「反省は大事だけど、引きずってもしょうがないし、切り替えるようにね。次に活かせばいいんだから。無事終わったことだ。」

「はい……」

「言ったでしょ?今日は1日見て色々覚えて欲しいって。ミルナには色々お願いするだろうし、ミルナなら大丈夫。」

「頑張ります。」

「うん、俺がいなくても大丈夫なくらいにしないとだからね。」

「いなくならないでください!だめですー!」

「私もいなくなられるのは嫌ですわ。絶対駄目です。」


 ソフィーとミルナが全力で反応する。そういう居なくなるじゃなくて、別件で席を外している時とかもあるからの意味だったのだが……まあいいか。


「ミルナ、とりあえず何が駄目だったか言ってみて。」

「はい、まず情報収集をしなかった事。」


 依頼を受ける前に協会でセシルに尋ねれば済むことなのにミルナはそれをせず、依頼主の話を聞いて判断すればいいと短絡的に考えていた。事前に確認していればその時点で受ける事はしなかっただろう。


「そうだね、情報収集に手間をかけるのは大事な事だ。他には?」

「はい、次は依頼を受ける際に全てを明文化しなかったことですわ。」


 依頼を受ける際、曖昧な文言で受けてしまうと後のトラブルに繋がる。今回がいい例だ。不明確に書かれている部分は必ず明文化させてから契約を完了させることが大事だ。


「うん、どんなに親しい中でも金銭のやり取りがあるならしっかりすべきところだな。まだある?」

「後は、動揺してしまったことですね。もう少し冷静でいられればサインを拒否したのを理由に協会に持ち込む案も思いついたでしょう。あの場合、あれで時間を稼いで10金を稼ぐというのが最適ですの?」

「ミルナにあの場で出来た最適解はそれだと思うよ。」

「次からは気を付けますわ。」

「まあ、そんな気負わずにね。」

「はい。あとアキさんの話の持って行き方は勉強になりました。正論で詰めて精神的に追い込んでから物理的に脅す。感情の起伏を明確に使えば効果的ですわね。」

「ちゃんと見てくれてたんだね。」

「い、いえ……。それと……そう!あのお金はどうしたんですの!ずっとそれが気になっていましたのよ!あんな大金!」


 ミルナが思い出したかのようにアキに問う。さっき彼女に後でと言ったので、改めて今聞いたのだろう。


「そのうちわかるよ、今日中には。」

「そうですか……わかりましたわ。」


 ミルナが知りたいのはわかる。アキが大金を用意していたのが一番の想定外だっただろう。だがミルナはアキが朝教えたようにそれ以上踏み込まず、一回退いた。


「ちゃんと退けたな。よくできました。」


 そう言ってアキはミルナを撫でる。


「子供扱いしないでください……。」


 そう言いつつもちょっと嬉しそうだ。


「後よく頑張りました。」

「は、はい。」


 ミルナが俯いて少し涙目になる。


「最後に捕捉として少し言うと、アリアさんまで観察出来てればよかったかな?」


 アリアは主人をよく思っていない。その可能性が高いことは元メイドの情報からわかる。だが万が一アリアが主人の味方をしたら話が拗れるのでアリアがどうでるか確認してから動く必要がある。


「なるほど……。じゃあ最後にアキさんがお金を渡したのは?」

「まあ、あれはお詫びだよ。ただのお詫び。」


 話を盗み聞ぎしていたし、今頃八つ当たりされているだろうからアキなりの贖罪だ。そして布石。多分いい布石になるはずだ。


「あとミルナ達はBランクで実力もあるんだから憶するな。いざとなれば武力行使をする勇気も大事だと思うよ?」


 自分には出来ない事だけど、とアキは苦笑する。

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