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異世界の観察者  作者: 天霧 翔
第十六章 サルマリア王国・王都リスルド
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14

 イルとミリアと別れ、アキはベルとステラを連れて馬車に乗り込む。これから国の施設に行って許可証発行装置を見せて貰う予定だ。


「ステラさん、よろしくお願いします。」

「いえ、こちらこそ。1つだけお願いしてもいいですか?」

「なんでしょう?」


 何となくステラの要求は想像つくが、一応聞いてみる。


「私の事はステラと呼び捨てで。あとアイリーンベル王女殿下に話すのと同じような感じでお願いします。王女殿下も私の事はステラとお呼びくださいね。」


 お友達なのですからとステラは頭を下げる。


「わかった、ステラ。友達だしね。ほら、ベルも返事してあげなさい。」

「はい、ステラさん。私の事はアイリーンベル王女殿下と呼んでくださいね。」


 満面の笑みで返事をするベルの頬を無言で抓る。


「ひゃいひゃいー|《痛い痛い!》!」

「ベル?」


 アキが睨むと必死に言い訳を始めるベル。


「ベルって呼んでいいのはアキさんだけなの!他は嫌だもん!」

「ミルナ達はベルって呼んでいるだろうが。」

「あ、あれは……!うぅ……わかりました。ベルと呼んでください。」


 頬を膨らませて渋々同意するベル。そんな彼女の様子を見てステラがくすくすと笑う。


「ベルさん、アキさんを取ったりはしませんよ。私はベルさんとお友達になりたいのですから。」

「ふ、ふーん、そうですか。なら特別にお友達してあげます。」


 それならと安心した様子のベル。しかしやはり上から目線で偉そうだ。まあステラは気にしてないようだしいいか。


 その後、ステラの案内で許可証の発行を行う施設を視察した。ステラとベルが同行してくれていたおかげで、円滑に進んだのは大助かりだ。


 ちなみに装置は冒険者協会に置かれていた物と見た目はほぼ一緒だった。魔法の術式模様が少し違うだけ。その術式の写真だけ撮って、早々に屋敷へ引き上げた。欲しかったのはその写真だけなので、それが手に入った以上長居は無用。後は自室に引きこもって解析するだけだ。






「アキさん!お話ですー!」


 帰ったらすぐにでも魔法印の解析に入りたかったのだが、うちの子達がそれを許してくれるわけがなかった。どうやらステラを連れてきたことが大変不満らしい。ソフィーなんかステラを見た瞬間にお話だとか叫んでいる。


「王女様!貴女がついていながらどういう事ですの!」

「ち、違うんです!ステラさんはお友達ってアキさん言いました!」


 ベルがついているから安心してたのにとミルナがお怒りだ。しかもベル公認で女性を連れてくるとは思わなかったようだ。


「アキに騙されてるのよ!女たらしの常套句よ!」

「そうだよ!アキがお友達で終わるわけがないよ!」


 なんとも酷い言われようだ。


 とりあえずムカついたのでうちの子達をトレーでおもいっきり引っ叩いておく。


「なんで私もですか!」


 ついでにベルも殴っておいたのだが、納得いかないらしい。


「え、なんとなく。ステラも1発いっとく?」


 ステラにトレーを渡そうとしたが、必死に首を振って遠慮してくる。


「い、いえ!私は大丈夫ですから!」

「そう?」

「そ、それより紹介して欲しいのですが……。」


 ステラがおそるおそる尋ねてくる。そういえば紹介がまだだった。


「みんな、彼女がステラ、サルマリア王国の第一王女。ベルと一緒だな。」

「よ、よろしくお願いします。」


 アキの紹介を受けて丁寧に頭を下げるステラ。


 続けてうちの子達の紹介だ。


「とりあえずそこの3人。暗黒物質のミルナ、暴走エルフのソフィー、ペットのレオだ。」

「「「何その紹介!?」」」


 どうやら紹介の仕方に文句があるらしい。


「『あるらしい』ではありませんわ!」

「変な2つ名つけないでくださいー!」

「アキ?ペットってなにかな?かな?」


 ぶーぶー文句を言ってくるが、適当に無視して紹介を続ける。


「次はその隣。俺の従者だな。まずは妄想乙女のエリス。」

「アキー!それはやだ!別のにするのだ!」


 エリスが懇願してくる。


「そしてど変態メイドのアリア。」

「はい、ど変態です。以後お見知りおきを。」


 アリアに関しては予想通りの反応だが、ステラが困っているからそれやめなさい。


「そして兎耳だ。」

「アキさんそれ耳!耳だけだから!ちゃんと紹介してください!」

「セシルだ。この耳は俺のだから触るな。」


 アキが言い直すと、セシルは「それならいいです」と満足そうだ。それでいいのかこの兎は。ちなみにステラは「そ、そうなんですか?触りませんから大丈夫です。」と苦笑いしている。


「アキ!私の事忘れてるわよ!」


 紹介する前からエレンが既にお怒りモードだ。


「あれがうちのエレン。通称、世界に解き放たれた偉大なる絶壁の名を持つ猛獣だ。」

「はああああ!思いついた事全部いれるんじゃないわよ!!!ぶっ殺す!」


 エレンがいつもの様に鬼の形相で飛びかかってくるので、躱す。ステラに受け止めてもらおう。うちの猛獣をよろしく頼む。


「ステラ、よろしく。」

「嘘ですよね!ちょっと!アキさん!」

「あ、あんたなに私に抱き着いてんのよ!」


 エレンの矛先が何故かステラに向いた。理不尽だ。でも頑張れ、ステラ。


「抱き着いてきたのはエレンさんからですよ!」

「う、うるさい!アキ!あんたのせいなんだからね!」


 うん、やっと気づいたか。俺のせい以外考えられないのに気づくまでに時間かかり過ぎだろう。すっかりソファーで寛いでしまったじゃないか。


「じゃあ最後。キーリ。」

「なに、アキ。」

「これがキーリ。噂の影だよ。」


 スッと姿を見せたルティアだが、外套を羽織っている。多分ステラには正体を明かしたくないのだろう。


「それだけ、もういいよ。」

「うん、またね。」


 キーリが姿を消す。


 これで一通り紹介は終わりだ。後はみんなで仲良くやってくれれる事を願うばかりだ。


「じゃあ俺は自室に……。」

「お話ですー!」


 ダメらしい。そしてソフィーがやたら楽しそうだ。


「ソフィー待ってください。アキさん、お話……と言いたいですが何故ステラさんを連れてこられたのですの?教えてくださいませ。」


 ミルナが真面目な表情で尋ねてくる。


「そうね、アキは王女は1人だけと言った。それは多分嘘ではないわ。」


 エレンも散々文句は言ったが、なんだかんだアキの言葉を信じているらしい。


 アキは改めてステラを紹介して、何故彼女を連れてきたのか説明する。


「ミルナは領主の娘、エレンは言わずもがな。ステラの気持ちわかるでしょ?」


 ミルナ達やアリア達には今はこうやって言い合える仲間がいる。だが仲間がいなかった時だってあるだろう。その時間がステラは誰よりも長い。17年間ずっとそうだ。友達になれそうな相手なんてたまに会うベルくらいしかいなかった。


「なるほど。ふふ、なんかアキさんらしいですわ。」

「うん、アキらしくて安心した。」


 アキの説明をきいて納得したのか、ミルナとレオが頷く。他の子達ももう特に文句はないようだ。


「ステラ、どう?」

「ええ、楽しいです。皆さん1つだけいいですか?」


 ステラが何かを宣言したいらしい。全員の視線が彼女に集まる。


「王女は1人ってアキさん言いました。つまり私もでもいいって事ですね。」


 まさかの発言に唖然とするミルナ達。特にベル。ただ、アリアとセシルに特に驚いた様子はなく、淡々と話す。


「私は別にどちらでもいいですよ?」

「ですね。ベル様でもステラ様でも。」


 2人の意見を聞いたミルナ達は確かにと同意する。


「確かにどっちでもいいわね……。」

「そうですねー。どっちをポイします?」


 エレンとソフィーが発言した辺りでベルが大声で叫ぶ。


「ダメ!違うもん!私じゃないとダメなんだもん!」


 自分で言っていて不安になったのか、ベルが涙目でアキに縋りついてくる。


「私だよね?アキさん、ねぇ!ベルだって言ってよー……!」

「はいはい。勿論ベルだよ。皆も苛めないの。」


 ベルを撫でて落ち着かせる。


 まあ全員本気で言ってるわけではない。特にミルナ達はいつもベルにやられてばっかりだったから仕返ししたかったのだろう。王女特権が通用しなくなった今がチャンスと言わんばかりに揶揄いにきたのだ。


「これでベルもわかっただろ?王女権限であんまり皆を苛めちゃだめだよ。」

「うん。もうしない。」


 素直に頷くベル。ある意味ステラの存在はベルにいい影響を与えてくれそうだ。

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