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異世界の観察者  作者: 天霧 翔
第十二章 魔法学校Ⅱ
197/1143

16

 アイリスとの打ち合わせも終わったので、いつも通りエアルとミリーを連れて屋敷へと戻る。当然屋敷ではミルナ達がアキの帰りを待っており、出迎えてくれ……なかった。


「なにがあった。」


 アキがその惨状をみて呟く。


 ちなみにベルを含めた全員がアキより遅く帰ってきたことはない。アキが帰ると彼女達は必ず揃っている。以前、いい加減不思議に思って聞いてみたところ、ミルナ達はアキに「おかえりなさい」って絶対何が何でも言いたいらしい。なんだそれ。さらには「夫のお出迎えは妻の役目なのです」とベルが言い切った。


 ベルは大泣き事件以来、すっかりアキの嫁になる気でいるので困っている。勿論ベルの気持ちは嬉しいし、彼女が望むのであれば娶るのも吝かではない。こんなにいい子で素敵な王女様に求婚されて断るわけがない。では何故困っているのか。それはその発言の度にミルナ達の怒りのボルテージが限界突破するからだ。


 兎にも角にも、もし全ての案件が片付いた後、彼女達が望むなら、アキは全員を受け入れるつもりでいる。その覚悟はとうに決めた。この子達が一緒に居てくれると言うのであればそれくらいの甲斐性は男としてみせるしかないだろう。それに自分も彼女達の事が大好きだ。勿論彼女達がアキから離れるというのであれば引き留めることはしない。寂しいけど彼女達が別の道を選ぶのは自由だと思っているから。


 どちらにせよ、アキはその覚悟を口に出して自分の気持ちをちゃんとこの子達に伝えようと決めたのが昨晩だ。今日にでも「俺は全員が好きだから一緒にいてくれるならどこまでも」くらいの小っ恥ずかしいセリフを言おうと練習したのだ。練習までしたのに……。


「そんな決意をした早々なんでこんな状況になってるんだよ。」


 アキは呆れた様子でリビングの状態を眺める。その先には醜く言い争いをするベルとうちの子達の姿があった。さすがにエアルとミリーには申し訳ないので別室で待ってもらっている。


「うふふ、貴女方にアキさんは勿体ないです。」

「そんなことないわよ!」


 エレンが食って掛かる。だがエレンの反論を鼻で笑うベル。


「お黙りなさい。塵芥4人組はさっさと身を引きなさい。」

「引くのは貴方ですー!この極悪王女!」


 今度はソフィーだ。それに加えてミルナやレオも口々に文句を言っている。


「悪辣王女はさっさと出てくといいですわ!」

「そうだよ!アキは僕たちといるんだからね!」


 ちなみに言い合っているのはベルとうちの子達だけだ。エリスはいい子に一歩引いているし、アリアとセシルはアキの後ろで静かに待機している。


 アリアから何が起こっているのか聞いたところ、ベルが「アキさんのお嫁さんは私です」といつもの発言をし、それにミルナ達が当然のように激昂。段々とヒートアップした結果、お互いに「出てけ」と言い合っているそうだ。


「アリア、これどれくらいやってるの。」

「かれこれ30分くらいでしょうか。」


 よくもまあそんなにも言い合えるものだと呆れる。アリアは基本的にコレに干渉する気はなく、静かにアキの帰りを待っていたらしい。セシルやエリスも余計な事をしてアキに怒られたくないから黙って見ていたのだとか。ただ3人共「何もしてなくてごめん」と申し訳なさそうな顔を向けてくる。だがこの3人に落ち度はないので気にする事はない。


 そろそろ止めるかとアキは溜息を吐くが、何やらベルやミルナ達の会話の色が変わりはじめた。


「大体、貴女方のような悪鬼羅刹にそんな事言う資格あるんですか?」

「この廃棄物王女!どういうことですか!」


 しかしお互いの罵詈雑言というか悪口が酷い。美少女がそんな汚く罵り合うんじゃありません。後で説教だ。


「アキさんはいつも貴女達の為に頑張っています。Sランクになり、毎日訓練して、お金も稼ぎ、料理をして、情報収集まで。そして人も殺めてます。こんなに必死に頑張れる人を私は知りません。だから私も頑張るのです。それで貴女達はアキさんになにをしているんですか?」

「し、してるわよ!いっぱいしてるわ!」


 エレンの反論に不敵な笑みを浮かべるベル。


「だから何をしてるのか聞いているのです。具体的にどうぞ?」

「そ、それは……!」


 エレンが言い淀む。ミルナ、ソフィー、レオも即座に反論できないようで、気まずそうに視線を逸らす。それを見たベルは勝ち誇ったように言葉を紡ぐ。


「アキさんはこの世界を物見遊山したいと言ってます。私はその望みを叶える為、王女の力を全力で使いますよ?それにアキさんのお嫁さんになる為に料理だって勉強してます。貴女達よりはずっと役に立っているのでは?アリアさん、セシルさん、エリスさんもそうです。わかりましたか?わかったらさっさと私のお屋敷から出ていきなさ……ひゃっ……いたっ……!」


 言葉を終わらせる前にベル引っ叩く。今日は手加減無しだ。


「やめんか。うちの子達を苛めるなといつも言ってるだろうが。」


 ただの喧嘩であればアキは適当に口を挟んで止めただろう。だがお互いの存在価値を貶すような発言は看過できない。


 アキはベルの発言が気に入らなかったので、おもいっきり睨みつけてやる。


「ですが、アキさん!……・ぁ……その目……ぃゃ……やだぁ……お願い……やめて……。」


 ベルはイヤイヤと目に涙を浮かべ泣きそうになっている。この王女様は自分に怒られるのと嫌われるのを極度に嫌がる。この手を使うのはあまり好きではないが、効果的な手段ではある。


「ミルナ達は俺の大事な仲間だ。だから貶したらベルでも許さない。でもベル、アリア、セシル、エリスも大事な仲間だ。お互いに誹謗しかしないなら俺は出ていく。」


 ミルナ達やベルが唖然としている。アキは気にせず言葉を続ける。


「お互い親友になれとは言わない。じゃれ合ってからかう程度なら別にいい。俺もよくするしな。でもお互いを本気で貶したり苛めたりするのであれば俺は自分の世界へ帰る。俺が火種になるというなら俺はいない方がいいからな。」


 時間が経てば自然と仲良くしてくれるだろうと淡い期待を抱いていた自分が間違っていた。彼女達はアキに懐いてくれているだけ。お互い仲良くはないし、仲良くなれそうもない。うちの子達は仲いいけど、それは元々パーティを組んでいたからだ。


 もしアキ自身が彼女達の火種になるのであれば、その時は身を引いて、1人に戻るつもりだ。前の世界でもそうだったから別に1人でもいい。慣れている。この子達と居られないのは寂しいけど、仕方ない。彼女達がお互いを本気で貶し合うような醜い姿は見たくない。


 ミルナ達やベルは泣きそうな顔で何かを言おうとしているが、アキは手でそれを制す。今言い訳を聞くつもりは無い。アリア、エリス、セシルも悲しそうな顔で俯いている。止められたのに止めなかった自分達を悔いているのかもしれない。


「反省しろ。俺はエアル達の様子を見てくる。話の続きはその後だ。」


 アキはそれだけ言い残してリビングから退座する。






「まったくうちの子達はしょうがないな……。」


 やれやれと呟くアキ。


 アキは事の顛末を説明する為にエアル達の待つ客間へと来た。先ずはエアル達に待たせてごめんと謝ったのだが、彼女達は気にしないでくださいと快く許してくれた。


 あっさり用事が終わってしまったので、エアル達と少し談笑して行く事にする。大体そんなに直ぐにリビングに戻っても仕方ない。あの子達が落ち着いて冷静になるまで暫くかかるだろう。


「ほんとごめんね?いつもいつも。」

「謝らなくてもいいですよ?気にしてません。私達は訓練させてもらってるんですから!」

「そうだよ!それにいつもアキさんお夕飯作ってくれるしね。だから別にいくらでも待つから大丈夫だよ?」

 

 いい子達だ。まあエアルとミリーならそう言ってくれるだろうとは思っていた。だが迷惑をかけたのは事実。何かお詫びをしたい。


「ダメです!もうこれ以上はダメです!」

「やめて!もう私達の心が持たないの!わかるでしょ!」


 2人はもう十分に貰ったので何もいりませんと首をぶんぶん振る。何かどこかで見た光景だなとアキは苦笑する。


「明日の昼に弁当作ってあげるってのはどう?」


 エアル達はアキの作るご飯を気に入ってくれているし、丁度いいお礼になるかもしれない。


「やった!お願いします!」

「うんうん!作って欲しい!」


 それならと嬉しそうにはしゃぐエアル達。どうやら喜んで貰えそうだ。だが本当にこんなお礼でいいのだろうか。前回だってたかだか少し服を買ったくらいなのでもう少しちゃんとしたお礼をしたいのだが……。


「アキさん!あれは『たかだか』の量ではないです!」


 エアルが頬を膨らませて反論して来た。


「そうか?」

「そうだよ!アキさんは金銭感覚おかしいって気付いて!」


 今度はミリーが呆れた表情で告げてくる。


「でも女の子なんだしお洒落とかしたいでしょ?」

「まあ……それはその……否定しませんけど……。」


 エアルがもじもじしながら呟く。


「俺も早くエアルやミリーが買った服見たいんだけどな?」

「ふふ、わかりました。じゃあ今度着てきますね?」

「うん、今度見せてあげるね。」


 この子達の私服は結局まだ見れていない。このまま機会が無いようなら本当にホームパーティーでも企画して着る機会を作らせなければと本気で考えるアキ。


「っていうかこのやり取りは前もうやったからやめよ。」


 アキはそう言ってそっぽを向く。この話題を続けると間違いなく恥ずかしい事を言わされる羽目になる。


 だが既に遅かったようだ。エアルとミリーがやにやしながら覗き込んでくる。


「うふふ、アキさんは私達の事が気に入ってるんですよね?」

「そうそう、お気に入りなんだよねー?」


 無駄に察しのいい連中だ。


「うるさい深紅と縞柄。」

「「その名は禁止ー!」」


 顔を赤くして叫ぶ2人。やはりこの渾名には弱いエアル達。この子達もまだまだだだ。自分を弄るつもりなら倍にして返される覚悟をしてから来てもらわないと。


「いい休憩になった。そろそろあの子達の様子を見に行くかな。その後に訓練ね。遅くなってごめん。」

「いいよ、大丈夫。」

「ふふふ、でもアキさんみんなに愛されてますねー!」


 それはアキも分かっている。あの子達が争うのはいつもアキの事についてだ。こんなに嬉しい事はない。それだけアキを慕ってくれているという事なのだから。でもだからこそお互いを貶すような真似はして欲しくない。


「でも皆の気持ち……少しわかるよ?アキさんはいつも必死で皆の為に頑張っているもん。そりゃみんな懐くよ。意地悪だけどね?」

「うん、自分だけを見て欲しいんですよ。それがちょっと暴走しちゃっただけです。アキさんは素敵だと思いますよ、意地悪ですけどね?」


 ミリーとエアルは敢えて最後に意地悪と付け加えてきやがった。アキがエアル達を弄りにくくしようという魂胆なのだろう。


「そうだな、皆には言い過ぎたと謝るよ。でもいい薬になったと思うしこれから仲良くしてくれるといいんだがな。あ、エアル達を待たせたお詫びに俺が『大好きな美少女2人にお弁当作る』って事は言っておくよ。俺は意地悪だからね。訓練頑張ってね?」


 アキはそれだけ言って席を立ち、客間を後にする。こういう時こそ弄るのがアキの性格だと2人はまだわかっていないようだ。


「「待って!それ私達本当に死んじゃうからー!」」


 背後で何かエアルとミリーが言っているが、何も聞こえない、知らない。






 アキがエアル達と雑談している頃、リビングではお通夜のような空気が続いている。ベルやミルナ達はどうしようと困惑し、戸惑っている。アキが怒って出て行ってしまった事が彼女達にとっては泣きそうなくらいに辛いのだ。


「皆さん、落ち込んでいても仕方ないでしょう。アキさんが戻ってきてこの状況だったら尚更不味いと思いませんか?」


 アリアはとりあえず話すことから始めましょうと提案する。


「そうですね。止めなかった私達にも責任はあります。見ていたのに何もしなかった。きっと同罪です。」

「そうだな。止める事くらいは出来たはずなのだ。」


 セシルとエリスが俯きながら呟く。アキは気にするなと言ってくれたが、見ているだけで何もしなかったのは事実。同罪と言われても仕方がないとセシルとエリスは反省している。勿論アリアもセシル達と同じ気持ちだ。アキのメイドとして止めるべきだったと後悔している。


「アキさんは言っていました。親友をする必要はないと。でも多分それは『せめてお互いがお互いを尊重し合いましょう。同じ仲間なのですから』という意味だと私は思います。」


 如何でしょうとみんなに尋ねるアリア。


「そうですね……王女じゃなく私を普通の女の子として扱ってくれるアキさんが好き。それなのに私自身が王女としての立場を使って……矛盾してますね。本当に私は何やっているんでしょう。同じ人を想う仲間に対してあるまじき態度を取ってしまいました。申し訳ありません。」


 ベルが頭を下げ、王女の権力を使ってミルナ達を威圧した事を謝る。それを見たミルナ、レオ、エレン、ソフィーも自分達の態度を鑑みて反省している。


「私も言い過ぎましたわ。アキさんは仲間内で争うのを嫌がるのを知っているはずですのに……。申し訳ありません。」

「それもその理由がアキ自身の事ってなれば当然かも。僕もごめんなさい。」

「そうよね、アキはこういうの一番嫌いよね……。私も……その……ご、ごめんなさい。」

「また暴走しちゃいましたー……。バカバカエルフですいません。」


 ミルナ達とベルがお互いに謝罪したことで雰囲気が少し和らぐ。だが謝っただけで何も解決はしていない。今後どう付き合って行くか、それをアキに説明出来ないと意味がない。アリアは顎に手をおいて、どうしたものかと悩む。こういう時はどうするのがいいのでしょうか。


「アキさんが戻って来たらミルナさんと王女様で抱き合うっていうのはいかがですか?」


 ふと思いついた事を提案してみるアリア。


「そ、それは……イヤですわ……でも確かに……。」

「わ、私は平気です……よ?あ……やっぱりイヤ……。」


 ミルナとベルがお互いを嫌そうな顔で見つめ合う。やはり相当嫌なんだろう。以前アキが提案した時もこんな感じだったとをアリアは思い出す。だが気持ちはわかる。自分だって無理だし絶対嫌だ。だからミルナ達を責める事は出来ない。


「でも形だけ抱き合っても意味ないですよね。きっと。」

「そうですね、セシルさんの言う通りですね。安易な考えで申し訳ありません。」


 セシルの言う通りだとアリアは反省する。


「だ、大丈夫よ!多分私達は一生仲良くは出来ないわ!で、でもアキがいれば自然と纏まる!だから……その……お互いを仲間だと思うようにすればどうかしら!」


 エレンがたどたどしいながらも珍しくまともな意見を出す。


「そうですね……うん、そうです。確かにエレンさんの言う通りです。お互いを尊重するくらいはしませんか?」


 ベルが一考し、提案する。


 何より彼女は初めて「エレン」と呼んだ。それは今まで愛称で呼ぶことは絶対になかったベルが、ミルナ達を今後は愛称で呼ぶと宣言しているに他ならない。少しはベルも歩み寄る事を覚えたらしい。


「そうですわね、エレンの言う通りアキさんの為なら自然と纏まりますわ。」


 ミルナも納得したようにくすくすと笑う。


「当然ですー!」


 ソフィーが元気よく同意する。


「プライベートの時はベル様、とお呼びしても?」


 アリアはベルに尋ねる。ベルが愛称で呼ぶというのであれば、こちらもベルを愛称で呼んだ方がいい。それにその方がアキは絶対に喜ぶだろう。


「ええ、構いません。『さん』でも大丈夫ですよ。ここにいる皆さんはアキさんを慕う仲間なのですから。特別です。」

「では私もベル様と呼ばせてもらいます。」


 どうやらセシルも愛称で呼ぶことにしたようだ。


「私は王女殿下のままにしておくのだ。使い分けする自信がないのだ。」


 確かにプライベートではベルが許せばなんら問題ないが、公の場で呼んでしまうと大事になってしまう可能性がある。エリスは自分自身の性格をちゃんと知っているようで、愛称呼びは辞退した。そしてミルナ達も自信がないから今まで通り呼ぶとのこと。確かにそれが出来るならとっくにレオの事はリオナと呼んでいるだろうから当然かもしれない。


「これで大丈夫かな。アキは満足してくれるかな?」


レオが心配そうに尻尾をぱたぱた揺らしている。


「レオさん、大丈夫です。アキさんなら笑って喜んでくれます。」


ベルが優しくレオに微笑み、はっきりと告げる。さらに何かを思いついたのか、ベルは柏手を打ち、全員に提案する。


「とりあえずこの8人で『これ以上アキさんに女の子を落とさせない同盟』でも作っておきませんか?」

「それよ!それは作らないと駄目よ!」


 ベルの提案にエレンが真っ先に賛成する。他の全員も異論は一切ないようで「それは必須ね」と頷いている。勿論アリアも激しく同意だ。アキは油断するとすぐに女を落としてくるから困ったものだ。


「あー……でももう3人程手遅れかもしれません。」


 セシルがちょっとだけ口を尖らせて呟く。


「エアルさん、ミリーさん、エリザ学園長ですわね?仕方ないですわ。許してあげましょう。」

「僕達にはアキを許す以外の選択肢ないもんね。」


 ミルナとレオが顔を見合わせて苦笑している。


「でもお話はしておくですー!」

「そうね!お話は必須ね!」


 ソフィーとエレンの言葉にアリア自身を含む全員が当然ですと黒い笑みを浮かべる。そうです、徹底的にお話して差しあげましょう。






「ただいま。」


 アキはリビングの扉を開け中に入る。彼女達はどうやら結論を出したようだ。多分円満解決したのだろう。みんなどこか晴れやかな表情を浮かべている。この子達なら心配はしていなかったが、よかったよかった。


 アキはとりあえずソファーに腰掛け、この子達にどうなったかを一応確認する。


「アキさん、結論から申し上げてよろしいですか?」

「私達ちゃんと考えましたの。聞いてくださいませ。」


 ベルとミルナがそう言ってくるので、話すように促す。多分「仲良くは出来ないけど、せめてお互いを尊重し合おう」って結論だろう。むしろそれ以外だったら怖い。急に「親友になりました!」とミルナとベルが抱き合っていたら逆に頭がおかしくなったのかと心配してしまう。


「お話ですー!」


 ソフィーがぴょんと飛び跳ねるようにして叫ぶ。


「え?」


 さすがにその展開は予想してなかった。いやいや、さすがに聞き間違いだろう。そんな結論、まさか。


「だからお話ですー!」


 どうやら聞き間違いではなかったようだ。しかしソフィーがめっちゃ楽しそうだ。そしてミルナやベル達も真っ黒な笑顔で嬉しそうに頷いている。


「え、なんで?なんでそうなった?おかしくない?」

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