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異世界の観察者  作者: 天霧 翔
第十一章 魔法学校I
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4

 エリザに連れられて食堂に入ると、生徒達からどよめきがあがる。きっとエリザだけでなくアキもいるからだろう。女子に見られるのは悪い気分ではないが、ここまで注目を浴びるとちょっと恥ずかしい。悪意ある視線であれば何も気にならないアキだが、こういう類の視線はあまり経験がないから少しむず痒い。


「おお、あそこにエアル達のクラス担任がいる。彼女も誘って構わんかな?」

「構いませんよ。」

「それはよかった。午後は彼女が補佐につくので紹介の手間が省ける。」


 そう言うとエリザはエアルとミリーの担任である女教師の元へと歩いていく。


「エリ、ここいいか?」

「は、はい!どうぞ学園長。」


 エリと呼ばれた女教師は、栗色の髪と瞳をしており、眼鏡をかけている。ちょっとオドオドした大人しい雰囲気の人だ。そしてミルナくらいの豊満な胸。とても色気がある……というか何かエロい。男子校なら間違いなく大人気になる先生だ。あと予想だが、ドジっ子属性も装備してそうな気がする。


「アキ君、こちらがエリアーミ先生。生徒達にはエリ先生と呼ばれている。」

「初めましてエリアーミ先生。本日から先生のクラスにて講義させていただく予定のアキです。短い間ですがよろしくお願いします。」

「あ、はい……あのその……エリでいいです。こちらこそよろしくお願いします。アキ先生。……ひゃっ……うう痛い……。」


 座ったまま勢いよく頭を下げたので、思いっきり額をテーブルにぶつけたエリ。やはりドジっ子属性は標準装備しているらしい。エリザがやれやれと呆れた顔をしているし、多分いつもの事なのだろう。


「じゃあお昼が終わったらアキ君を連れて教室まで頼む。あとアキ君、一応講義後、私の部屋まで来てくれるかな?」

「ええ、わかりました。」


 その後は3人で昼食を楽しんだ。エリはしゃべり方はおっとりだが、凄く親しみやすく、しっかりしている先生だった。きっと生徒達からも慕われているのだろう。ドジっ子属性はご愛敬になっていて、それを含めて愛されているに違いない。






 お昼が終わり、エリザと一旦別れる。アキはエリの後に続いて教室へと向かうが、その途中、色んな生徒がエリに声を掛けて来た。やはり人気がある先生のようだ。食堂ではアキと学園長もいたので生徒達は入って来られなかったのだろう。アキにも結構手を振ってくる生徒がいたので、軽く会釈して振り返しておいた。


「エリ先生、大人気ですね。気持ちはわかります。」

「そ、そんなことないです……!」

「そうじゃないとこれだけ声掛けられませんよ。」

「あ、ありがとうございます。でもアキ先生こそまだ講義してないのに人気じゃないですか。」


 アキの場合は単純に闘技大会で目立っただけだ。大したことは無い。むしろ毎日生徒達と接していて、それでなお嫌われる事なく慕われているエリの方がよっぽど凄い、とエリに説明する。


「そ、そんな褒めないでください。恥ずかしい……。」

「まあまあ、自信持ちましょう。ところで教室はもうすぐですか?」

「ええ、そこを曲がったら私の担任のクラスです。」


 エリが廊下の前方を指差す。


「じゃあ今のうちに、生徒に大人気のエリ先生に、授業のコツを教えて貰いたいです。」


 一応教師としてはエリが先輩だし、アドバイスでも貰っておいた方がいいだろう。実際講義をするのは初めてなので少々不安も残る。


「えぇ……!」

「エリ先生は先輩教師なんですから。後輩の為に教えてくださいよ。」

「うぅ……そうですね……そうだ!生徒の心をこう鷲掴みにする事が大事だと思います!最初の掴みは大事ですよ、それで生徒達からの印象も決まります!」


 しばし逡巡した後、エリがガッツポーズをしながら教えてくれる。


 なるほど、心を鷲掴みか。アキの得意な交渉術と一緒のようだ。つまり最初に生徒達にインパクトある印象を与えられれば、授業を円滑に進められるという事か。少し安心した。講義を交渉と考えていいのなら、アキにとってはお手の物だ。

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