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異世界の観察者  作者: 天霧 翔
第二章 魔素
16/1143

4

「さて……もう少しだけ歩いて、今日は休みましょう。それまでに先ほど話さなかった事についてお話しますわ。」

「冒険者関係?」


 まだ話してない重要な事となると、ミルナ達が就いている冒険者という職業についてだろう。実際アキもなる予定だからちゃんと教えて貰わなければならない。


「さすがです。敢えて話を分けたのには理由があります。お察しかと思いますが、私たちの目的の為にもちゃんと説明させて頂きたかったからですわ。」

「よろしく頼む。」

「はい。ではまず冒険者についてですが、各国の管轄下に冒険者協会がございます。」


 ただそれはあくまで体裁上で、実際は冒険者協会という国から独立した組織が各国に支部をもって運営しているのだとミルナは言う。もし冒険者が何か問題を起こした場合は、起こした国の法に則って裁かれる。国の介入があるのはそう言った時のみで、基本的には冒険者協会に全てを一任している。


 そこそこ大きな街であれば冒険者協会の支部は必ず存在する。冒険者であればどの支部でも自由に依頼を受けることが可能だ。そういう意味では好きな国へ行き、好きな場所で仕事が出来る職業とも言える。


 協会の各支部には依頼が掲示され、それはその支部特有のものもあれば別の国の物もある。難易度の高い依頼、国からの依頼などは全支部に通達されるようだ。そして依頼で国をまたぐ場合もある。そういった依頼を受諾した場合、受けた段階で通行許可証が発行され、迅速に依頼を遂行できるようになっているらしい。


「勿論、一部人達を除いて、好き勝手国をまたいで別の支部に行くなどは出来ませんが……不可能ではございません。冒険者の利点の1つとして、冒険の拠点を恒久的に任意の国に移す事が可能です。ただ正式に国に申請して受理されればですが。」


 ミルナが言うには低ランクであればあるほど申請の許可もおりやすいとのこと。上位冒険者になるほど国は手放したくないらしく、自国所属の優秀な冒険者の流動を防ぐ為、基本的に申請は却下されるという。


「つまり低ランクだと、国境をまたぐ必要があるような高難易度の依頼が受けられないから、別の国に行きたいなら拠点変更申請で片道切符。高ランクだと依頼で様々な国には行けるが、拠点にする国を変えたくても変更が難しくなるということか。」

「はい、その通りですわ。」

「確かに理屈はわかるけど、なんかこうモヤモヤするね。」

「えぇ……仕方ないことですけど。ただアキさんが思うほど問題にはなってないのですわ。」


 ミルナ曰く、そもそも大抵の人は他国へ行きたいという願望は特にないらしい。国境をまたぐ事無く一生を終える人がほとんどだ。低ランクの冒険者もわざわざ別の支部で依頼を受けようとも思わないらしく、拠点変更申請もめったに上がらない。同国内であれば自由に拠点変えられるのでそれで充分だとか。高ランクの冒険者も同様で、依頼で他国へ行けるから別にそれでいいくらいに思っている。


「じゃあ俺みたいに冒険者になって物見遊山したい人は珍しいんだね。」

「そうですわね。大抵の人は他国に興味がありませんわ。今は国同士の争いもありませんしね。」


 上流階級である貴族、商売で成功した商人、そこそこ稼ぎがある冒険者や職人達は現状に満足しておりリスクをおかしてまで他国へ行こうとは思わないのだろう。そして残りの人達、実力がない冒険者やその日暮らしの人々、は今を生きるので精一杯でそんなことを考える余裕がない。冒険者ともなれば命を担保にしているのだから尚更なのかもしれない。


「それに他国に興味があるような人間は大体貿易商人になりますわ。冒険者になって他国を巡るという発想はあまり聞きませんわね。」

「なるほど、そういう意味では上手く回ってる社会だね。ところでさっき国をまたぐ際の説明で言ってた『一部の人達』って?」

「Sランク冒険者ですわ。あの人達は自由奔放が許される存在なので基本的に何においても例外、一部除くに含まれるのです。」


 ミルナは苦笑いを浮かべる。


「ミルナ達が目指している場所でもある。」

「ふふ、その通りです。それでは冒険者認定証とランク、そしてそれに付随する特権や責任についてご説明しますわ。」




 冒険者になるのは難しいことじゃない。実力や資格などは一切関係ない。冒険者協会へ赴き、入会する旨と氏名・種族を伝え、書類にサインをすれば認定証が発行される。書類といっても「死んでも自己責任」程度の事が書いてある簡単なものだ。

 冒険者ランクはSからHまであり、入会するとEランクの認定証が発行される。一番下からではなくEからなのは実力に関係なく発行されるからだ。実力の無い者はそこから下がっていき、有る者は上がっていく。一度登録すると冒険者協会の名簿に登録され再登録は出来ない。つまりHランクに落ちたからと退会してEランクから登録し直すのは出来ないということだ。偽名や重複登録を防ぐ為、魔法による個人認証みたいなものがあるが、ミルナにも詳しくはわからない魔法らしい。


 ランクの昇格と降格については依頼の難易度、達成率、受諾頻度によって行われる。受託可能な依頼ランクは自分より上下1ランクの依頼まで。つまり自分の既存ランクより低いランクの依頼を高頻度で達成していてもダメだし、ランク上の依頼を高頻度で受けていても失敗が多いと昇格しない。ちなみに依頼達成率はランクごとの管理で、ランクが上下した際には達成率はリセットされるそうだ。


「ランクによって昇格する条件がかなり細かくわけられているんです。例えばEからDにあがる条件は『Dランク以上のクエスト3回達成、全体の依頼達成率は70%以上、そして受託頻度は最低1ヶ月に1回』です。これらを全て満たす必要があります。」

「降格条件は?」

「DからEの場合ですと『達成率50%を切った場合、D・Eランクの依頼を3回連続失敗した場合、又は1ヶ月以上依頼を受けていない場合』ですわね。この場合はどれかに該当すれば降格対象ですわ。」

「結構しっかりしたシステムになってるんだね。」


 CやBになると条件も多少変わってくるようだ。難易度が高い依頼は時間も要するので、ランクが上がるに連れて受託頻度の縛りが緩くなる。その代わり達成率に厳しい数値が求められるようになっていく。


「アキさんなら条件を全部申し上げても覚えられると思いますが今は割愛しますわ。重要なことではありませんので。」

「それはいいけど、ちなみにチームの場合は受託可能ランクってどうなってるの?」

「はい。チームの場合、そのチームに所属している冒険者ランクの中央値からチームランクが算出されます。その中央値の上下1ランクが受託可能になりますわ。」

「それだとパワーレベリングができるんじゃないか?」

「パワーレベリングとはなんですの?」


 ミルナにパワーレベリングについて説明する。レベルの高いメンバーの中に低いレベルを入れて強制的に大量経験値を与えてレベルを一気に上げる事だ。この世界の冒険者制度に置き換えると、上位のランクに下位ランクを1人いれて難易度の高い依頼をこなしランクを上げてしまう事になる。


「なるほど……確かに可能です。それを禁止するルールはありませんわ。でもほとんど誰もやらないでしょう。」

「実力ないのに不相応なランクになっても死ぬだけだからか……。」


 アキが呟いたのをちゃんと聞いていたようでミルナが同意するように頷く。


「はい、すぐに死ぬかランクを落とすだけです。それに上位ランクの冒険者が自分の命を預ける仲間に下位ランクを選ぶ事はありませんもの。周りの目も相当厳しいことになりますわ。」

「自分の命をリスクにパワーレベリングする価値はないか。でも相当な金銭報酬とかがあれば別かもしれないね。そこまでしてランクをあげる意味があるのか疑問だけど。」

「そうですわね。ただ実力がある人物であれば入れる事もあるでしょう。最初から高ランクの実力がある初心者なんて滅多にいないと思いますが。」

「なるほど、脱線させて申し訳ない。」


 話を逸れさせてしまったので一応謝罪をしておく。


「いえいえ、ランクをあげる意味について話そうと思っていましたので無関係というわけではありませんわ。それにアキさんと意見交換するのは楽しいので。」

「そう言ってもらえるとお世辞でも嬉しいよ。」

「うふふ、本当ですわよ?」


 ミルナは本当か嘘かよくわからない笑みを浮かべる。


「それでは各ランクに付随する特権と責任についてお話します。」


 ミルナの説明によるとランクC~Hについては責任もなければ特権も特にないらしい。このランク帯はいわゆる一般冒険者であり、その中で上級、中級、下級という区分けになる。実力も一般人より少し、そこそこ、結構強いくらいのレベルだ。Bになるとちょっとずつ実力が人外になってくる。Bの特権は、宿屋の優先利用や食事が無料になるというようなちょっとした福利厚生である。責任については、たまに冒険者協会から招集命令が出るのでそれに従わなければならない程度。後は指名依頼も入るようになってくる。Aにもなると福利厚生がかなり手厚くなり、高級宿屋や食事処の無料利用、性能の良い武器が協会経由で売りに出された場合の優先購入権利などがある。当然責任についても重くなり、冒険者協会の招集命令があった際は指揮を担当しなければならないし、国や協会からの直接依頼も増える。さらに国外から直接指名依頼が来ることもあるらしい。


「なるほど、CとBの壁が特に高いのか。」

「そうですわね、人と人外の1つ目の境界線と言われてますわ。」

「肝心のSについてはどうなんだ?」

「何も。」

「何もとは?」

「言葉通りの意味ですわ。本当に責任は何もありませんの。むしろあれは特権しかないのではないでしょうか……。」


 ミルナが遠い目をするように話す。


「それほど優遇されているの?」

「えぇ……呆れるほどに。まずSであればお金などなくても特権だけで生活できますわ。次に大陸全土が好きに移動可能。国境も、魔境や秘境と言われている立ち入り禁止区域なども例外ではありません。また全ての閲覧制限資料にも自由にアクセス出来るようになります。依頼料も莫大で1回依頼を達成するだけで数年は遊んでくらせますわ。もちろん依頼受託頻度は除外されます。そして国や協会の収集命令に応じる義務はありませんの。つまり気分でいいのですわ。」

「SとAの格差があまりにも酷過ぎるんだが。」

「さらに言ってしまいますと国王や冒険者協会長よりSランクのほうが力ありますわ。立場上は国王や協会長が上になっていますが、依頼するとき頭を下げるのは国王達ですもの。それでいて受託はSランクの気分でいいのですわ。」


 格差と言うレベルではなく完全に特別扱い、特別待遇だ。ミルナが呆れるのも分かる。


「どれだけ人外なんだ、そのSランクは。」

「それが案外普通なんですのよ。大抵の人にはAランクとの違いが判らないくらいですわ。」


 ミルナが言うに、確かにSランクは強い。それも人をやめているレベルで。だがそれはAとて同じ。実力が頭3つも4つも飛び抜けているわけではない。下手したら手合わせでAランクがSランクに勝つかもしれなくらいの実力差にしか見えないという。ただ基本的には直接手合わせなどはしないらしいので、真意の程はわからない。あくまでAとSランクの戦闘力を個々に分析した場合、そう見えるという事らしい。


「でもSとAの壁はあるんだね?」

「それは確実にありますわ。Sランクの依頼に対する達成率は99%以上。Aランク冒険者がSランク難易度の依頼を受けた場合の達成率は10%を切ります。数値が異常なのがお分かりいただけるかと。」

「実力だけではダメでそれ以外の何かがいるんだね。」

「その通りですわ。実力に加えてその要素を持っている者がSランクになれます。いえ、なるだけなら昇格条件を満たせばなれます。ですがその要素を持っていないと間違いなく死にます。」


 つまりある程度実力が人外にさえなれば、Sランクになる事は出来る。だがSランクに君臨し続ける事が出来ないという事だ。アキはもう少し掘り下げて聞いてみる。


「過去にSランクになって降格した者は?」

「それは0です。」

「じゃあ……死んだ者は?」

「数え切れないほどに。そもそもSランクになると降格はしません。Sランクになった冒険者の90%がSランク初依頼で命を落としますわ。降格する前に死んでしまうので降格条件に意味はないのです。Sランクの依頼達成率99%というのは現存するSランク冒険者だけを統計したものになります。」

「じゃあSランクになって依頼を受けなければずっとSランクで特権受け放題にならないか?Sランクは依頼受託頻度免除なんだよね。後はAランクの依頼だけを受け続けるとかでもいいんじゃない?」


 上下1ランクの依頼まで受けられるのだからSランクはAランク難易度の依頼が受けられるという事になる。


「はい、ですのでそこにだけ制約がありますわ。」


 ミルナの説明によるとSランクになるだけではSランク(仮)という扱いらしい。認定証も正式なものではないし、当然Sランクの特権も受けられない。Sランク難易度の依頼を1つ達成すれば正式にSランクとして協会にも登録されるようになっている。アキはミルナに説明された内容を頭の中で一旦整理する。


「つまりAランク冒険者はSランクの依頼を基本的に受けないんだね?受けたとしても達成率は数%で大半は死ぬ。」

「はい。」

「そもそもAランクからSランクにあがるにはSランク依頼を達成する必要はない。」

「はい。」

「Sランクに上がった物は90%近くがSランク(仮)で命を落とす。Aランクの時からSランク依頼を達成している数%が正式なSランクになれる感じになるのかな。勿論SランクになってからSランク依頼を無事達成している人もいるんだろうけど。」

「その通りですわ。」


 実力に加えて必要な何か。戦略、知識、特殊能力。いくらでも思い当たるが、とにもかくにもSランクでいられる条件なんて今の段階では情報がないのでわからない。そういう時は全部が必要だとでも思っておけばいいだろう。それより肝心な情報をミルナからまだ聞いていない。


「では、Sランクへの昇格条件は?」

「まずAランクにおける依頼を10回以上受託していること。そして達成率90%を以上にすることですわ。」

「AランクだとBの依頼も受けられるよね、Bだけ受け続けてもいいの?」

「はい、そこに縛りはございません。とにかく依頼10回以上で達成率90%以上です。」

「それがスタートラインに立つ条件ってことか。」

「その通りですわ。条件を満たしていると闘技大会への参加資格を得られます。」


 闘技大会はこの世界の娯楽の一つだ。それに加えて冒険者達に高レベルの戦闘を見せ、自分達の実力を自覚させる意味もあるとか。闘技大会は年1回、各国でそれぞれ開催される。条件を満たせば、自分が所属する国の闘技大会へ参加する事が可能だ。


「ちなみに参加は自由ですわ。」


 闘技大会に興味のないAランク冒険者もいるので、参加者は条件を満たしているAランクの80%程度だという。参加する理由はSランクになる為というより、強者との闘いを求めての事らしい。いわゆる戦闘狂(バトルジャンキー)が多いということだ。


「個人戦なのか?」

「いえ、ちょっと特殊で協会に登録しているチーム単位ですわ。」


 チームを組むには協会に申請する必要があるとミルナが告げる。そこに人数の縛りはない。ソロで活動している場合はそれで1チーム、ミルナ達は5人で1チーム。極論を言えば100人で1チームでもいいらしい。


「アキさんのお考えはわかりますわ、でもそれはありえませんの。闘技大会への参加条件はAランクチームとしての達成率90%ですから。」

「つまり人数を集めれば集めるほどチームのランクは下がると。」

「そうですわね、AやBだけ100人も集めるのはまず不可能ですし。」


 それにB以上になると戦闘狂(バトルジャンキー)が多いので、そんなつまらない事はしないとのこと。困ったような顔でミルナが告げる。


「男女問わず戦闘馬鹿が多くて本当に困りますのよ。」


 こと戦闘に関しては頭が回る連中らしく、その情熱を他の事に少しでも使えばいいのにとミルナは溜息を吐く。戦闘は優秀だがそれ以外の事は何も出来ない馬鹿が多いらしい。馬鹿というより戦闘以外の事に頭を使いたがらないといったほうが正しいのかもしれない。


「闘技大会はトーナメント戦になります。」


 チーム同士がトーナメント形式で戦闘を行い、1チームになるまで繰り返す。特にルールや制限はなく、どちらかがギブアップするか戦闘不能になるかまで続ける。相手を殺しても問題ないらしい。


「死者は毎回出ますわ。気絶させるより殺したほうが楽なんでしょうか?」


 ミルナはその辺りはまだよくわからないという表情をする。ミルナ達はあまり対人経験がないのだろうか。普通に考えて変に手加減するより全力で殺した方が楽なのではとアキは思ってしまう。まあ、アキとて戦闘経験があるわけではないが。むしろ皆無と言ってもいい。


「そして闘技大会で優勝したチームが現存のSランクと決闘することができます。そしてそのSランクに勝つか認められればSランク(仮)の資格を得る事が可能です。」

「Sランクに必ずしも勝たなくてもいいのか?」

「はい、ございません。勝ってもなれますがそもそも勝てませんわ。ただこれは本当にエキシビションのようなものになってしまっています。何故ならSランクの方たちは基本的に誰であろうと認めてしまうのです。」


 そもそもSランクは先に言った通り唯我独尊的連中だ。自由奔放な人間が他人に興味を示すことなど基本的に無く、闘技大会にもしょうがないので顔を出しているだけ。エキシビションマッチとして適当に戦って昇段を認めるという筋書きだ。


「Sランク唯一の強制依頼が闘技大会なのですわ。でも大体が興味ないのでしょう。自分と互角に戦えるような相手にしか興味がない方たちですもの。」

「じゃあそのAランクの闘技大会優勝者とSランクとの一戦別にいらなくない?無条件で認めるんだろ。Sランクへの昇段条件として機能してないよね。」

「正直に言ってしまえば意味は無いでしょうね。ただSランクの戦闘を見れるという意味で大衆が求めているのですわ。冒険者にとっても頂点を見る機会などその時くらいしかないので。」

「なるほど。その一戦はある意味必要枠なんだね。じゃあ闘技大会で優勝さえすれば、Sランク(仮)になれるって事でいいのかな?」

「そうですね、相手のSランクに相当嫌われない限り。嫌われたら勝つしかなくなりますわね。」

「でもSランク(仮)になるとSランク依頼を受けないといけないんだよね?」

「はい。だからSランク(仮)になりたくない方も大勢いますわ。優勝したけれどSランクと戦って実力的に未だ早いと思う方も多いです。ですのでSランク(仮)の資格を辞退することも可能です。」

「なるほど。エキシビションマッチにはそういった意味合いも含まれているのかもしれないね。」

「確かに。そうですわね。」


 ミルナが同意する。


 彼女のおかげで一通り冒険者については理解した。それよりこの話で一番重要な事をまだ聞いていない。アキは満を持してミルナに尋ねる。


「それで、ミルナ達の目標に必要なランクは?」

「ご想像の通り、Sですわ。」

「現在のランクは?」

「全員がA手前のBです。」

「Aランクへの昇格条件、ミルナ達の現在の状態は?」

「BからAへの条件は『依頼達成率85%以上、Aランク依頼10回連続達成。』です。私達は現在依頼達成率82%でAランク依頼を9連続で達成しておりますわ。」

「なるほど。とりあえずわかったことが1つ。ミルナ達は人外なんだね。」

「うふふ、そうですわ。私達、可憐な乙女に見えて実は化け物ですのよ?」


 ミルナはアキの軽口を聞いて少し安心したのか、表情を崩して笑みを浮かべる。

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