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「さて、どうするかな。」
もうすこしショルダードの街を見て回る事にしたのはいいが、どこにいくのがいいだろう。夕食はミルナ達と取りたいしな。というか夜まで出歩いてたら絶対に怒られるので、あまり遅くまでショルダードにいるつもりはない。
「酒場とかどうなのかしら?」
エリザが提案してくるが、正直酒場は遠慮したいところだ。うちの猫やイリアが変な男に絡まれるだろうし、そもそも酔っ払いから話を聞くのは面倒だ。だからふらっと立ち寄れるような場所で軽く立ち話をするくらいがいい。
「酒場だと変に絡まれる気がするからな。」
「あ、じゃあカフェとかはどうかな!」
今度はイリアが提案してくる。
それはありだ。お茶をしながら周囲の声に耳を傾けるだけで色々と聞ける気がするし、カフェなら長時間いなくても済む。
「ありかなしかで言えばありだな。でもこの街に良い感じのカフェとかあるかな?」
ショルダードにそんな都合の良いカフェがあるとは思えない。まあないわけではないだろうが、そもそもそんなカフェに通うのは兵士達ではなく、メアリのような普通の女の子達だろう。だからわざわざカフェで情報収集する意味はあまりない気がする。というか普通の女の子からの話はもうメアリから聞いているので、アキが情報収集したいのはどちらかというと兵士達からだ。
じゃあ兵士達が集まるような場所に行って聞き耳を立てればいいわけだが、そうなるとやはり酒場しか選択肢が無い。だが酒場は先程説明した通り、却下なので、それ以外の方法を考えたいところだ。
「あ、アキ君、こういうのはどうかしら。」
何か思いついたのか、エリザがポンと手を叩きながら言う。
「なに?」
正直これといって良い案も思いつかないので、エリザに名案があるのであればそれを採用だ。
「実はさっき、1軒だけカフェ?レストラン?のようなお店を見かけたのよ。そしてテラス席があるお店だったわ。そこでお茶でもしながら道行く人の話を聞くってのはどうかしら?」
「そんな場所あった?」
悪くない。むしろそんな場所があるなら最高だ。しかしエリザはよくそんな店に気付いたもんだ。まあアキはエリザやイリアのご機嫌を取るのに必死で、あまり周囲の事を気にしてなかったのもあるが、それでもそんな店を見落とすとは思わなかった。
「アキ君はあの時イリアちゃんと逆方向のお店を見てたからじゃないかしら。なんか面白そうなお店があるって盛り上がってた気がするわよ?」
そういえばそんな事もあったな。確かイリアが「ねえ!あのお店!面白そう!」とテンションがあがっていたので、彼女の話に付き合っていたんだった。まあそれなら気付かなくても仕方ないか。ちなみにイリアがテンションあがっていた店は、ちょっと変わった武器屋だった。普通の女の子なら「みて!あそこの雑貨屋さん可愛い!」とか言うところだろうが、イリアは「見て!あそこの細剣滅茶苦茶よさそうだよ!」と言った感じだ。うん、まあイリアだしな。
「なるほど。大通りにあった店だよな?」
「ええ、だから丁度いいでしょ?」
「そうだね。じゃあそこにしよう。」
碌な話が聞けなさそうなら早めに切り上げて別の場所へ行けばいいし、まずはそこのカフェで道行く人々の話に耳を傾けてみるとしよう。




