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異世界の観察者  作者: 天霧 翔
第三十六章 迫る影
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「ごめんね!アキ君!私の誤解だったわ!!ふふふ~ん♪」


 鼻歌交じりにエリザが言う。


「・・・わかってくれてなによりだ。」


 この猫、ちょっとデートをしたらあっという間に機嫌が直り、メアリとの誤解も一瞬で解けた。というかデーとが終わり、「あれは違うんだ」と言っただけですぐに「そうなのね!」と納得してくれた。


 なんというか単純すぎるにもほどがあるだろう。というかデートしただけで解決するのなら、最初からそうすればよかった。あの必死に説明した時間は完全に無駄だったわけだ。もう次から面倒な文句を言われた時はデートを餌にしよう。ミルナ達もエリザと一緒で単純だしな。絶対にそれがいい。


「イリアも理解してくれてありがとな?」

「もちろんかな!アキの事は信じてたよ!!」


 イリアもイリアでよくもまあ平然とそんな事が言えるものだ。


「そうか。」


 言いたい事は山ほどあるが、ここで何か文句を言っても面倒な事になるだけだし、余計な事は何も言うまい。しかしうちの子達の図々しさというか要領の良さは凄い。呆れを通り越して尊敬するレベルだ。


 ちなみにイリアとエリザとデートしたと言ったが、別に大した事はしていない。ちょっとカップルぽい会話をしながら街中を歩いただけ。そもそもショルダードにお洒落な雑貨屋やカフェなんてある訳がないので、女の子が喜ぶようなデートなんてのは無理だ。そんなお散歩デートのような真似事しかしてないのに、大満足な2人。なんというか単純・・・もとい純粋な子達だ。まあうちの子はこういう子達だからこそ、可愛いと思うのだが。


「それよりアキ君、これからどうするのかしら?私はもう少し街を散歩しても良いと思うのだけれど・・・!」


 エリザが尻尾をゆらゆら揺らしながら言ってくる。つまりこれはもう少しデートしたいと言うアピールだろう。


「わかった。でもここはからは少し真面目に行かないか?」


 時刻はまだ夕方に差しかかったくらいだし、エリザの意見には概ね賛成だ。だがここからはデートというより、散歩をしながらもう少し街の雰囲気を確認しておきたい。サルサ―ドルの事はある程度わかったからいいが、ショルダードについてはまだまだ分からない事も多いからな。


 それに夕方になり、道行く人の雰囲気も変わった。昼は食料の買い出しにきた主婦のような一般人がちらほらいたが、この時間になると大通りの往来は仕事終わりの兵士達ばかり。きっとほとんどの連中がこれから酒でも飲んで娼館へと繰り出そうとしているのだろう。夜の帳がもうすぐ下り、夜の街へと変わる直前。この時間帯だからこそ、面白い話も聞けるはず。


「にゃ・・・わかったわ。」


 ちょっと残念そうな表情で頷くエリザ。


「デートは帰ってからすればいいだろ。そっちの方が楽しいしね。」

「え、ええ!それもそうね!」

 

 それにショルダードは明らかにデート向きの街じゃないからな。うちの子達を連れて歩いても変に絡まれたりするし、あまり楽しくない。デートするならベルフィオーレでする方がいいだろう。


「ただ時間も時間だからエリザとイリアは気を付けるように。」


 わかって入ると思うが、一応2人に注意は促す。


 周囲は花街で楽しもうとほろ酔いの兵士達ばかり。面白い話も聞けるだろうが、エリザやイリアが絡まれる可能性が高いだろう。いくらアキが侯爵位を持っていると言っても酔っ払いには関係ないし、2人は隙を見せないように気を付けてもらわないと不味い。


「ええ、大丈夫よ。」

「うん、わかってるかな!」


 さてこの時間帯のショルダードの街は果たしてどんな顔を見せてくれるのか。きっと昼間よりもっとダークな話が聞ける気もするので、ちょっとだけ期待している。

挿絵(By みてみん)

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