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異世界の観察者  作者: 天霧 翔
第三十六章 迫る影
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 それからサルサドールの事をメアリに聞いた。どうやら彼は自分のお眼鏡に適った女の子を片っ端から娼婦に勧誘しているらしい。まあエクレールの話によればサルサドールは自分の店の子に手を出しているわけだし、娼館の為というよりは自分の欲望の為なのだろう。


 そして美少女のメアリももれなく勧誘され、当然彼女はそれを断った。それでもサルサドールは諦めず、しかもメアリの実家であるレストランが上手くいっていない事を餌に甘い言葉をかけてきたらしい。メアリも実家が大変なのはわかっているので、心が揺れたようだ。自分が娼婦になれば母親が遺した店を守っていける。そして父親にも楽させてあげられると。だが生前の母親に「そういう仕事はしないでほしい」と言われていたのもあり、最終的にはお断りしたのだとか。


 しつこく勧誘しても駄目なら普通は諦める。だがサルサドールはそれでも何とかしてメアリを手に入れようと、今度は色々と嫌がらせを始めたらしい。メアリに借金を負わせ、身売りをしなければいけない状況に追い込もうとしてきたのだとか。


 だがサルサドールくらい力を持った人間ならメアリを搦め手で手に入れる事は容易なはずだ。実際そういう事をして娼婦にさせられた子もいるらしい。まあ上手く情報操作して、サルサドールが黒幕だとわからないようにしているみたいだが、あまりに怪しすぎるので誰もがサルサドールを疑っているのだとか。ただあまりに口が過ぎるとサルサドールからの制裁が怖いので誰もはっきりとは口には出来ないのだろう。


 では何故メアリがサルサドールの魔の手にかからず今もこうして普通の暮らしが出来ているのかと言うと、彼女の味方をする人間が多いからだ。サルサドールが何か仕掛けてきても、彼女の店の常連が助けてくれるらしい。男からしてみれば、メアリのような可愛い子が娼婦になった方が嬉しいのかと思ったが・・・どうやらサルサドールはそれ以上に嫌われていると言う事なのだろう。まあサルサドールには黒い噂があるし、自分の行きつけの店の可愛い看板娘がそんな人間のものになるのが許容出来なかったのかもしれない。


 メアリが無事なのも全部彼女の人柄のおかげだろう。一生懸命に母親の店を守っているメアリだからこそ、常連客や街の連中は、サルサドールではなく彼女の味方をしているのだ。


「俺が力を貸さなくてもメアリは大丈夫そうだな。」


 おもったよりメアリを守ろうとする人間が多い事がわかってちょっと安心した。これならサルサドールも迂闊にメアリに手を出せないだろう。さすがのサルサドールでも反旗を翻して来た人間全てを制裁するわけにはいかないからな。


「そうですね・・・私を守ろうとしてくれる街の人たちには感謝です!でも・・・あの・・・お客さんがついているのは心強いんですけど・・・?」


 そう言いながらメアリがこちらをチラチラと伺ってくる。


 さすがに常連客の人達ではサルサドールに立ち向かえないと言う事か。まあサルサドールの地位を考えると当然かもしれない。それに常連客の人達にもそれぞれの人生があるし、いくらメアリを守りたいという意思があったとしても、自分の人生や家族を犠牲には出来ないだろう。


 その点アキはこの街の人間ではない。そしてユキと言う強力な後ろ盾がいる。真っ向からサルサドールに立ち向かって潰せる人間だ。メアリはその辺に期待しているのだろう。


「わかってるよ。俺はメアリの味方をするから大丈夫だ。」

「はい!それなら安心です!」


 頼りにしてますからねと可愛らしい笑顔を向けてくる。


 これを見ると街の人達がメアリを味方する理由がわかる気がする。こんな屈託な笑顔を向けられたら普通は断れないからな。まあイリアとエリザが「またですかそうですか」とジト目でこちらを見てくるが・・・別にメアリを落そうとかそんなつもりはないとだけは言っておく。

挿絵(By みてみん)

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