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ショルダードの商店街に到着した。アキ達の宿がある経済中枢圏域は閑散としていたが、さすがにここは活気に溢れている。
「うーん・・・」
イリアが首を捻る。
「どうした、イリア?」
「ん?あ、結構色んな人がいるなーって思ったんだよね。」
何回も言っているが、ショルダードは軍事都市だ。昨日街を散策した時も兵士達を数多く見かけた。だからイリアは商店街もそんな感じだと思ったのだろう。だがいくら軍事都市と言えど、兵士達だけで街が回るわけはない。兵士相手に商いをしている商人や街を運営している貴族は当然いるし、そんな彼らの家族だってショルダードで普通に暮らしている。だからこの商店街に一般人が大勢いてもなんら不思議ではない。
「まあ兵士だけで街が回る訳ないからな。」
「うん、そうだよね。兵士か娼婦しかいない街だと勝手におもってたよ。」
「嫌な街だな・・・それ。」
道行く人がその2択だと・・・もの凄く住みづらそうだ。男は全員兵士で、女は娼婦みたいになるのだろうか。まあ軍事都市としてだけ見るならありかもしれない。兵士達の士気は上がりそうだしな。だが戦争が無くなり、軍事都市である必要がなくなったら、国からしてみれば扱いに困りそうな街になりそうだ。アキがこの街の領主をやれと言っても速攻で断るだろう。
「あはは・・・そうだよね!」
「そんな街ならイリアやエリザは絶対連れて来てないしな。」
「ふふ、そうなんだ?まあアキは私の事大好きだもんね?」
イリアがにやにやしながら言ってくる。どうやらアキを揶揄うつもりらしい。
ここは一つ返り討ちにしてやろう。
「うん、そうだけど?」
「え、あ、う、うん・・・そ、そっか・・・」
アキが即答すると、イリアは頬を染めて俯きながら呟く。
弱すぎる。というか言い返せなくなるくらいならやらなければいいのに。
「揶揄うつもりならもっと堂々とやれよ。」
「むー・・・も、もうそういうのはいいから!で、どこからいくの!?」
分が悪いと思ったのか、慌てて話題を逸らすイリア。
「そうだな・・・」
「な、何もしないわけにはいかないでしょ?これだと遊んでるだけだよ?」
イリアの言う通り確かに遊んでいるように見えるが、正直アキ達は適当に街をふらついているだけでいい。さっきからイリアやエリザと雑談に興じているのもその為だ。本当の情報収集はルティアがしてくれているので、アキ達はちょっと目立つくらいが丁度いい。
「とりあえず店に入ろうか。」
「お店でサルサドールの事を聞くの?」
「さすがにそれはあからさま過ぎるよ。」
まあ目立つと言う意味ではそれも一つの手かもしれないが、サルサドールは花街を取り仕切っている人物だ。彼の商売も娼館運営が中心なので、普通の商人といは言えない。商店街にある店でそんな人物の事を教えてくれというのは不躾過ぎるだろう。というか雑貨屋に入って「娼館について聞きたいんだけど」と言っているのとなんら変らない。
「じゃあどうするの?」
「観光に来てるから街の事を教えてくれって言えばいい。」
「そんなんでいいの?」
「雑談で終わったらしょうがないよ。でも話の中で『花街が盛んだよ』とか言われたら色々と聞けるだろ?」
あくまで自然な流れで情報収集するのが大事だ。一般人の中には花街に良い印象を抱いていない人もいるだろうし、むやみやたらに街の人の好感度を下げる意味もない。まあ嫌われたところで別にいいのだが、街で活動し辛くなるのは避けたい。
「なるほどね・・・!」
「とりあえず・・・その辺のレストランでお昼でも食べようか。お腹空いただろ?」
「うん!」
丁度時間もお昼時だ。まずはレストランで腹ごしらえをするとしよう。




