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異世界の観察者  作者: 天霧 翔
第三十六章 迫る影
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「それで・・・明日からはどうするんですか?」


 一通り文句を言ってすっきりしたのか、ベルが清々しい笑顔で予定を聞いてくる。


  まあうちの子達がストレス発散出来たのであればそれで特に文句はないが・・・疲れた。今日の説教はやたらと長かった。説教大好き3人娘のベル、ミルナ、ソフィーに加え、今日はリオナやセシルまでが参戦してきたせいだ。というかうちの獣人組が今日は大層不機嫌で、滅茶苦茶怒られた。


 どうやらアキが獣人の娼婦達を可愛がっていた事が許せなかったらしい。本気で「見損なったよ!」と色々文句を言われた。ただ許せないというよりは、獣人特有のヤキモチみたいなものなろう。頬を膨らませて怒る彼女達は可愛かったしな。まあこれもいつも通りと言えばいつも通りなのだが・・・今日は「しばらく尻尾や耳を触るの禁止」ともふもふ禁止令を本気で言い渡されてしまった。今までどれだけ怒られて、そう言う事はしてこなかったので驚いた。後、絶望した。


 だがこればかりは自業自得といえば自業自得なので仕方ない。さすがにその辺の自覚はある。


「とりあえず明日からはサルサドールの調査だな。」


 うちの子達のお叱りは真摯に受け止めるとして、話を進める。場合によってはミルナ達を連れ行く事もあると思うので、ショルダードでの予定はちゃんと全員に共有しておきたい。


「でもそれはルティアさんのお役目ですよね?」

「まあそうだな。」


 ベルの言う通り、サルサードルの調査に関してはまずルティアに動いて貰う事になる。ある程度情報が揃ったらアキが直接サルサドールに面会したり、エクレールと協力して事を進めたり出来るとは思うが、現段階では完全にルティア頼みだ。


「つまりアキさんは『暇人』なんですね?」


 まあ間違ってはいない。


 だがそういう言い方されるのは何か癪だ。


「そんな事はない。忙しいぞ。」

「へぇ・・・獣人さん達を愛でるのに忙しいだけですよね?」

「うむ、それもある。」

「だ、だからそれは忙しいとは言いません!!!」


 ベルが心底呆れた表情で叫ぶ。まあベルは皮肉を言いたかったのだろうが、アキが真顔で即答するので面食らったようだ。

 

「もうわかりました!とりあえずそれを除けば暇なんですよね!!」


 ベルがやけくそ気味に聞いてくる。


「それはそうだな。でも一応ルティアを連れてユーフレインには行く予定だけどね。さすがルティア1人だけ送り込んで遊んでるのは駄目だろ。」


 多分ベルはデートに行こうと誘って欲しいのだろう。確かに最近ベルやミルナ達をベルフィオーレで留守番させる事が多いので、一緒に過ごしたいという気持ちはアキにもある。それにルティアなら「遊んでていいよ」と言ってくれそうだ。


 ただアキとしては丸投げはあまり好きじゃない。自分でやると決めた事なのだからちゃんと自分でも出来る限りの事はするべきだろう。


「むぅ・・・それはそうですね・・・」

「ルティアが動いている間にも出来る事があると思うから俺は俺でショルダードを散策してみるつもりだ。」


 ルティアが情報を揃えてくれるまでアキに大した事は出来ないが、街に出てサルサドールの酒場などで噂話を聞いてくるくらいは出来る。それが果たして役に立つかはわからないし、あまり意味がないかもしれないが、やる価値はある。


 アキがサルサドールの事を調べにショルダードに来ているのはおそらく本人にバレている。そんなアキが目立った動きをしていなければ、怪しまれるだろう。ルティアの存在に気付ける人間なんていないと思うが、それでもアキが積極的に動く事でルティアの目くらましにはなるはずだ。


「だからしばらく我慢してくれ。」

「うー・・・」

「ショルダードの事がもう少しわかったら連れていってやるからな。」

「本当です・・・?」

「約束する。」


 ベルの見聞を広めると言う意味では、ショルダードを見る価値はある。現時点ではあまりにも不確定要素が多すぎるのでまだ連れてはいけないが、いずれは同行させるつもりだ。


「とりあえず明日はイリア、エリザ、ルティアで行く。」


 ミルナやエレン達でもいいが、まだあまり目立ちたくない。現時点でもアキの事を調べようとしている連中がいるのだから、毎日違う女性を連れていたらさらに目立つだろう。


「わかりました。」


 どこか寂しそうな表情で頷くベル。


「また埋め合わせするから。」

「はい・・・約束ですよ?」

挿絵(By みてみん)

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