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「貴方の目的はサルサドールがどういう人間か調べる事よね?」
エクレールが確認してくる。
「ええ。あとは商談ですね。会う約束はしてませんが王女殿下の使いだと言えば会ってくれるでしょう。」
急にサルサドールに会いにいったら怪しまれるかもしれないが、いくらでも言い訳は思いつく。「ユキに急かされた」「ユキに見せる前に祭具を確認したい」など、ユキの名前を使えばサルサドールも拒否は出来ないだろう。そもそもサルサドールも王女であるユキに気に入られる為にこの話を持ってきたのだろうから、喜んで対応してくれるはずだ。
「そうね。最悪私が連絡つけてあげてもいいからその辺は大丈夫よ。」
エクレールの言う通り、彼女に頼めばサルサドールと会う事は容易だろう。ただエクレールとサルサドールの関係性は話を聞いている限り、良好とは言えない。この方法でサルサドールと面会するのは変に警戒されるだろう。となるとエクレールからは彼の情報だけを貰い、会う約束は自分で取り付けるのがベストか。
とりあえずその辺は後で考えればいいとして、まずは話の続きだ。
「その時はよろしくお願いします。」
「任せて・・・と言いたいところだけど、私が貴方に協力する事のメリットはなにかしら?」
確かに今のままだとアキが一方的に得するだけで、エクレールにメリットはない。彼女の目的は先も言っていたがサルサドールを失脚させる事。アキがそれに対して協力できることを示さなければ、エクレールの協力は得られないだろう。
「サルサドールを失脚させるお手伝いをしますよ。」
「あら・・・それは魅力的な提案だけど、いいのかしら?彼は大事な商談相手なのでしょう?」
「大事なのは祭具を王女殿下にお届けする事であり、サルサドールがどうなろうと興味ありません。王女殿下にも『全てを任せるわ』と言われています。それに殿下自身もサルサドールにはさほど興味は持っていませんよ。」
これは真実半分、嘘半分と言ったところだ。オリハルコンの事は本当。そしてユキがサルサドールに興味を一切持っていないのも本当。ただオリハルコンを欲しているのはユキではなくアキだ。木を隠すなら森の中というやつで、なまじ真実が混じっているからどこが嘘か見抜く事は難しい。
「なるほどね・・・それならつけ入る隙はありそうだわ・・・」
顎に手を当てて考え込むエクレール。多分サルサドールにどう攻撃を仕掛けるか考えているのだろう。
「ええ、いくらでもあると思います。」
「計画はあるのかしら?」
「それを考えるのはエクレールさんでは?」
協力はすると言ったが、そんな計画の首謀者になるつもりはない。そもそもの大前提として、アキの目的はオリハルコンを探す事だ。サルサドールの失脚はアキにとってはどうでもいい事。だからエクレールに協力はするが、それが成功しようが失敗しようが知った事ではない。
「あら手厳しい。アイデアくらいは出してもいいと思わない?」
エクレールはアキがどの程度協力するつもりなのか探りを入れてきているのだろう。まあいくらアキが王女殿下御用達の商人と言っても、実際にどの程度の事が出来るのかなんてわからないだろうし、当然の事か。とはいえこれについては素直に教えるつもりはない。多分アキが本気でユキに頼めば大体の事は聞いてくれるので、それが知られるのはよくない。アキの利用しようと面倒な連中が集まってくる事は請け合いだろうしな。
「ではこういうのはどうでしょう。」
とりあえず当たり障りのない計画の提案をする。




