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「何故私がサルサドールを調べにショルダードに来たのかですが・・・」
とりあえずエクレールにショルダード訪問の理由を話す。
「彼との商談の為です。そしてその商談を有利に進める為、色々と調べる必要があります。」
「ちなみに何の商談か教えて頂けるのかしら?」
「はい、特別にお教えしましょう。」
こう付け加える事によって、本当は言ってはならない事を伝えると誤解させることが出来る。
「サルサドールはイニステラで我らが王女殿下に謁見をしました。」
ユキが美術品を集めていると聞いたサルサドールはユキに謁見し、心当たりがあると報告した。そしてユキはお抱えの商人であるアキに「買ってこい」と命令。アキはその商談の為にショルダードまでやってきた・・・というのがユキとアキが描いたストーリーだ。勿論これはアキとユキがでっちあげた設定であり、真実ではない。ユキは別に美術品収集に興味はないし、アキもユキのお抱えの商人ではない。だがエクレールにそれを知る術は当然ない。
「なるほど・・・サルサドールはそんな事を王都でしていたのね。」
エクレールがうんうんと頷く。だがどこか仕草がわざとらしい。まあサルサドールの事を失脚させようとしているのであれば、当然エクレールは彼の事を調べているだろうし、サルサドールの行動を知っていた可能性は高い。
「ええ、ユーリロキサーヌ王女殿下は現在美術品の収集に熱心でしてサルサドールはそれを聞きつけたのでしょう。」
とりあえず本人が知らない振りをしているのだからこのまま話を進める。アキも真実を話しているわけではないし、お互い様だ。
「ふーん・・・あの『氷姫』様がね・・・」
どうやらユキの通り名はショルダードにまで知れ渡っているらしい。そしてどこか訝しげな表情のエクレール。やはりユキが急に美術品に興味を持ち始めたというのは不自然に聞こえるのかもしれない。
「そういうことです。」
だがここはそれで押し通す。どうせ真実には辿り着けないし、アキがわざわざ「実は全く興味ないんですよ」と話してやる義理もない。
「まあいいわ。それで?」
とりあえず納得はしたのか、話を続けるように促してくるエクレール。
「はい。王女殿下は現在『祭具』を収集しており、その通達を出したところ、サルサドールが食いついたというわけです。」
勿論祭具とはオリハルコンの事だ。
「祭具がどんな物か私にはわからないけど・・・サルサドールはよくそんな物持っていたわね?私が知る限り、彼は別に美術品に興味はなかったはずだけど・・・」
「いえ、サルサドールの話によると『それを持っている人を知っている』そうですよ。だから私がこうしてショルダードにまで足を延ばしたというわけです。」
「なるほど。サルサドールの事を調べているのは・・・」
「ええ。彼が王女殿下に取り入る為に嘘を言っている可能性はありますからね。さすがに王女殿下もサルサドールの言葉をそのまま信じる程の愚物ではありません。」
アキがショルダードに来た理由としては十分過ぎる程に筋は通っているだろう。
「それで?どこまで調べたのかしら?」
「まだ何も調べられてませんよ。というか私が今日この街へ到着したのはエクレールさんもご存知のはずでしょう?」
「ふふ・・・そうね。サルサドールに関わりがありそうな人間は全て調べているの。気を悪くしないでね?」
「それは当然の事でしょう。私もエクレールさんを利用する気満々なわけですし、そこはお互い様と言う事で。」
これでアキの事情も話し終えた。ここからはエクレールとどう協力体制を築けるのかの交渉だ。エクレールはサルサドールを失脚させたい。そしてアキはサルサドールの、そしてオリハルコンの情報が欲しい。
「目的は違うけど・・・利害は一致している気がするの。」
「そうですね。協力できると思います。」
エクレールも同じ考えのようだ。
「ふふ・・・じゃあその辺の話し合いをしましょう。」




