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異世界の観察者  作者: 天霧 翔
第三十六章 迫る影
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33

「お隣いいですかー!」

「お貴族様ってお伺いしましたわ!」

「ここで娼婦をしております。よしなに。」


 狐に兎、犬から猫までより取り見取りだ。可愛いもふもふ達が「私を選んで」と必死にアピールしてくる。


「ふしゃー!」


 そんな獣人娘達に対抗心を燃やしてか、エリザはここぞとばかりに威嚇している。自慢の猫耳と尻尾を逆立て、今にも飛びつかんばかり勢いだ。


 やはりうちの猫は可愛い。


 だがそんなエリザの威嚇はあまり効果がないらしい。娼婦達はエリザの事なんてどこ吹く風で、アキに取り入ろうとアピールしてくる。


「ふふ、大人気ね?」


 まるで他人事かのように笑っているエクレール。


「誰のせいだと?」

「あら、怖いわ。でも・・・嫌ではないでしょう?」

「控えめに言っても最高です。」

「でしょ?それでどの子にするか決めた?」


 そろそろ女の子を選ばないと駄目らしい。正直全員と言いたいが、仕方ない。選ぶとしよう。


 ちなみにアキに必死にアピールしてくるのは獣人の子達だけで、普通の人族の娼婦達は遠巻きにアキを値踏みしている。というかまるで自分達が選ばれるのが当然と言わんばかりの態度だ。


 多分娼館でも獣人より人族の方が人気なのだろう。同種族同士ならともかく、この世界で他種族に人気があるのは人族やエルフだ。獣人差別があるわけではないが、ユキ曰く、そういうものなのだと言っていた。まあベルフィオーレでも同じだからこの事実にはあまり驚かなかったが、何故だろう。どう考えてももふもふの方が可愛いと思うのだが・・・。


 ただ獣人が全くモテないわけではない。美人なら普通にモテる。実際セシルは冒険者協会の受付嬢時代、かなり男に言い寄られていたし、エリザやリオナだってそういう経験はあると言っていた。あくまで同じ美人で選ぶとしたら人気があるのは人族やエルフと言うだけ。不遇ではないが、特段優遇されているわけではない。それがベルフィオーレとユーフレインでの獣人と言う種族の立ち位置だ。だからセシルやリオナをちやほやして特別扱いするアキは珍しいのだろう。


「ではそこの狐っ娘と、犬娘でお願いします。」


 とりあえずアピールしてきた中で一番印象がよかった2人を選ぶ。正直兎や猫もいたのでそっちも捨てがたいが、数人と言われたのでこの2人で我慢した。


「あら、この子達なの?」


 その2人を選んだのが意外だったのか、エクレールは目を見開く。


「私ですか!?」

「え、本当に?うちでよろしいの?」


 選ばれた狐と犬娘も、まさか自分が選ばれるとは思わなかったと驚いている。


「あ・・・もうちょっと頑張ればよかったにゃ・・・」

「くぅ~ん。」


 そして選ばれなかった獣人娘達はしょんぼりと悲しそうに尻尾や耳をぺたんとさせている。


「くっ・・・やっぱりあの子達も・・・」

「あら、欲張りね?まああと数人くらいならいいわよ?あの子達も貴方をおもてなししたいみたいだしね。」

「是非。」


 全員選べるなら当然全員だ。これでもふもふを悲しませなくて済む。


 よかった。


「ちなみに・・・あの子達はいいの?」


 そう言って人族の娼婦達を指差すエクレール。


「あ、結構です。」


 人族の子達はいらないのできっぱり断る。というかケモ耳カチューシャをつけて獣人を気取っているあたり、喧嘩を売っているのだろうか。あんなものは邪道だ。今すぐお引き取り願いたい。


「なっ!?ちょっと・・・!」

「お客様がそうおっしゃってるので貴女達は下がりなさい。」


 選ばれなかった女の子達が文句を言おうとするが、エクレールが一喝する。


「・・・はい。」


 さすがにエクレールには逆らえないのか、不満気な表情をしながらも素直に部屋から出て行った。きっとあの子達は自分達が選ばれると思って疑っていなかったのだろう。アキが狐や犬娘を選んだ時、「ありえない」と唖然としていたしな。


「ふふ・・・面白い人ね。あの子達、うちで人気ある娼婦達なのだけれど?」


 エクレールが面白そうに笑うが、アキからしてみれば当然の選択だ。


「紛い物の獣耳を付けるとかもふもふへの冒涜です。」


 というか「もふもふパラダイス」とかいう娼館を経営しておいて、何故あんな偽物を雇っているのか疑問だ。もふもふを売りにするならちゃんと全員獣人の子達で固めるできだろう。


「・・・と言う事です。わかりますか!」


 エクレールにはしっかりもふもふの素晴らしさを説明する必要があると思い、たっぷりともふもふ理論を語ってやった。


「え・・・あ・・・うん?そ、そうね・・・?」


 エクレールがドン引きしている気がするが気にしない。


「大体ですね、もふもふというのは・・・」

「はい、アキ君。変態はそのくらいにしておきなさいな。」

「うんうん、そろそろやめた方がいいかな?」


 まだまだ語り足りなかったのに、エリザとイリアに止められた。


「獣人を想う気持ちは嬉しいわ。でも少しは周りを見なさい。みんなドン引きしてるわよ?」

「あはは、さすがの娼館の経営者様でもアキが変態なのは見抜けなかったのかな?」

「そうだと思うわよ。私も最初はわからなかったしね。」

「獣人の子達も『嬉しいけど・・・どんな顔すればいいの?』って困惑してるもんねー。」

「ああ、あの気持ち、もの凄くわかるわ・・・」


 なんか2人に好き勝手言われている。


 とりあえずエクレールや娼婦達の方を見てみる。確かに全員顔を引き攣らせている気がするな。だがドン引きしているとは限らないのではないだろうか。


「もしかしたらあれは俺のもふもふ愛に感動してるんじゃないか?」

「それはないわ。」

「うん、ないかな。」


 ないらしい。

挿絵(By みてみん)

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