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結局あの後実況から案内が入り、表彰式が30分後にあるとのことなので、一旦アキ達は控室に引き上げてきた。
「さすがに疲れた。2日くらい休日にしようか?」
アキは膝枕をされてベンチで横になっている。当然今回も膝枕争奪戦があり、またミルナが勝ったらしい。
「それもいいですわね。」
ミルナがアキに優しく微笑みながら答える。ミルナの膝枕が心地いい。彼女のいい匂いがするし、落ち着く。
だが疲れた自分にはさらなる癒しが必要だ。
「ミルナ。気になることがある。」
真剣な声色でミルナに問いかける。その真剣さを察知したミルナは顔から笑みを消し、真面目な顔で膝の上にいるアキを見つめる。
「な、なんでしょう。」
「今日もやっぱり下着は白なの?」
「はい、そうで……っていきなり何を聞くんですか!ばかですかー!」
ミルナが顔を真っ赤にして叫ぶ。ただ叫びながらもアキが膝から転げ落ちないようにそっと手で支えてくれているのがミルナらしくて可愛い。
「へぇそうなんだ。」
「何でそれを今聞くんですの!」
「だってソフィーは黒だし、エレンは縞々、リオナは白。じゃあミルナは?って気になるでしょ?」
「「「えっ?」」」
3人が声を合わせて驚く。
「なななな、なんで知ってるんですかー!」
「あ、ソフィーはやっぱ黒なんだ。」
「アキさんのばかー!」
図星だったようでソフィーも顔を赤くしてアキを罵倒する。
「き、今日は縞々じゃないわよ!」
「そうだよ?」
「な、なんでわかるのよ!」
「ここからよく見える。」
アキはミルナに膝枕してもらっているので、エレンの方を向くとばっちりと見える。スカートの丈が短いので正面に座られると普通に見えるのだ。
「はああああ!な、何見てんのよ!この変態!」
「見せてるんじゃなかったのか。」
「当たり前でしょうが!」
不注意な自分が悪いと思っているのか、飛び掛かっては来ない。エレンは立ち上がってパンツが見えないように必死にスカートを抑えている。
「僕は違うもん!」
「え、じゃあ何色?」
「ぴん……」
慌てて口を押えるレオ。
「なるほど、リオナはピンクか。」
「アキのばかっ!」
レオはそっぽを向いてしまう。
「満足した。寝る。」
十分に癒されたのでアキはそっと目を瞑る。
「「「「待ちなさい!」」」」
4人に止められ、しょうがなく目を開ける。
「なにー?」
「あんた自由すぎるでしょうが!」
エレンが叫ぶ。
「頑張ったから許して。」
「それはわかってますわ。な、なぜその……し、下着の色を聞いたんですか!」
今度はミルナが聞いてくる。
「うーん、ご褒美?」
「何故、疑問形なんですの!」
「だって勝ったらご褒美くれるってソフィーが言ってたもん。」
ソフィーがそんなつもりじゃないですと必死に説明してくる。
「下着の色を教えるとは言ってませんー!」
「でも教えてくれたよ?」
「アキ、そ、そんなに知りたかったの?」
今度はレオが確認してくる。
「そうだね……興味ないっていったら嘘かな。俺も男だし、みんな可愛いし。でもそれよりみんなと下らない話をしたかっただけ。結構疲れたから。」
今日は必死に闘技大会を勝ち抜いた、人も殺した、そしてSランク3人と戦った。もちろんアキだけが疲れているわけじゃないのはわかっている。でも疲れた。久々にここまで精神的に疲れた。だからミルナ達と下らない話をしたかった。笑いたかった。ついつい変な話題に走ってしまったが、結局のところそれだけだ。
この世界に来てから2か月とちょっと、アキの側に居たのはいつでもミルナ達だった。もちろんセシルやアリア、そしてエリスにも凄く感謝している。ただアキの中でミルナ、ソフィー、エレン、レオは特別だ。この世界の事を教えてくれ、戦闘訓練をしてくれ、自分を変えてくれた子達。この事実はこれからもずっとずっと変わらない。だから必死に頑張ってきたし、これからも彼女達の為なら頑張る。
そんなミルナ達だから、アキが辛い時、疲れている時、苦しい時は側にいて欲しい。他の誰でもない、この子達じゃないとダメだ。寂しがり屋のポンコツなお姉さんで泣き虫だけどいつもアキを支えてくれるミルナ。暴走するけどいつもアキの事を一番に思ってくれるソフィー。素直じゃないけどとても優しいエレン。頑張り屋さんで、努力家で、真面目で可愛い女の子のレオ。
「そんなみんなだから……ついね。俺も我儘言を言ってしまう。ありがとう。」
アキの話を黙って聞いていたミルナ達。
「アキさんだけは……特別です。し、下着の色くらいいつでも教えてあげますわ。それにこれからも側にいます。私がアキさんを見捨てるなんてありえません。何言われても許してしまいそうですもの……。」
膝枕しているミルナが顔を赤らめながら優しく頭を撫でてくれる。そういえばミルナに撫でられたのは初めてかもしれない。
「アキじゃなきゃ……とっくに殺してるし、絶対許してないわ。けどアキだからいいわ。私達の為にどれだけしてくれているかは知っているもの。それに感謝はしても、前みたいに疑ったりすることは二度とないわ。勿論嫌いになることもね。」
エレンが微笑んでいる。そんな彼女に同調するようにレオも頷く。
「いつも僕たちの為に頑張ってくれるアキが、優しくしてくれるアキが、女の子扱いしてくれるアキが僕は大好き。それにアキくらいだよ?僕の下着の色聞いて嬉しそうにしているのって……バカ。」
この子達の笑顔は癒される。人を殺めて疲弊している自分にはいい精神安定剤だ。
だが1人足りない事に気づく。そういやうちの暴走エルフだけがまだ発言していない。いつもならこういう時は真っ先に何か言ってくるのに。
おかしい。
ソフィーの方を見ると、何かものすごい決意をした表情をして立っていた。
「アキさん!私、脱ぎます!好きなだけみてくださいです!」
その発言を聞いてミルナ、エレン、レオが固まる。
どうせこの暴走エルフはアキの言葉に感極まって、言いたいことが纏まらず、最終的にわけがわからなくなり、出した結論がこれだったのだろう。アキはやれやれと溜息を吐く。
「エレン、リオナ。俺の代わりにこの暴走駄エルフを止めろ。」
ソフィーが上着を捲り上げたあたりでエレンとレオが本気の一撃を彼女の脳天にいれ黙らせてくれた。ソフィーから「ぐへっ」とかいう乙女らしからぬうめき声が聞こえた気がするが、聞かなったことにしよう。
これでようやく平穏が訪れたとアキは改めて目を瞑る。




