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異世界の観察者  作者: 天霧 翔
第三十六章 迫る影
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21

「どういう考えなのか言ってみなさい。おねーさんが聞いてあげる。」


 偉そうにそう宣言するのはエリザ。


 確かに今、考えがあるとは言った。そして実際にショルダードでどう動くか考えてはある。ただ正直なところ、あまり言いたくはない。


「言いたくないんだが・・・」

「ふーん・・・?それはなんでかしら?何か後ろめたい事でもあるのね!そうなのね!」


 目を吊り上げ、エリザが鋭い目で睨んでくる。


「そういう訳じゃ・・・」

「じゃあなんで言いたくないのかしら!」


 エリザが前のめりになりながら問い詰めてくる。


 怖い。あと迫力が凄い。


「頭ごなしに否定しないって約束してくれるなら・・・」


 理由を聞く前に「駄目」と言われる気しかしないから言いたくないのだ。まあどれだけ駄々をこねたところで、これからの予定を言わないという選択肢はないので、結局は言う事になるのだが。


「そんな事するわけないでしょ!したこともないわ!だから言いなさい!」


 当然と言わんばかりのドヤ顔で言うエリザだが、よくもそんな事を言えたものだ。


 だがとりあえず言質は取った。


「わかった。」

「それでいいのよ、いい子ね。それで?アキ君はどうするつもりなのかしら?」

「まずサルサドールが経営するという娼館に行く。」


 アキの考えはこうだ。


 どうせ真正面から言っても、アキの情報が出回っている以上、ユキの御用達商人として丁重に扱われ、肝心な情報は聞き出せない。だから逆にそれを利用する。サルサドールの娼館へ客として行き、ユキに対する不平不満を娼婦に漏らす。そうすれば娼婦からサルサドールへその情報が流れ、アキの方から接触せずとも、相手から何からの動きがあるはずだ。


 これならどう転んでも何かしらの情報が得られる。もしサルサドールが裏で怪しい事をしており、ユキの弱みを握りたいと考えているのであれば、ユキに対して不満を持っているアキに取り入ろうとするだろう。アキの信頼を勝ち取れば、王女の情報が手に入れ放題だと考えるはずだ。もしユキに告げ口して恩を売ろうと考えたとしても、問題ない。ユキならその辺を上手く利用して情報を聞き出してくれるはずだ。ユキには「ユキの悪口をいうかも」と言ってあるし、彼女にも「好きにしなさい。任せるわ。」と許可をもらっている。


 そしてもしサルサドールが真っ当な商人の場合・・・まあその場合は正直ショルダードへ来たのは無駄足になるかもしれない。真っ当なのであればサルサドールを調べても何も出てこないだろうし、ユキに「神器に対する情報がある」と報告したのも事実だと言う事だ。だがそれならそれで良し。待っていればそのうち情報は入ってくるだろうしな。


 というわけで、まずはサルサドールが経営する娼館に客として行くのがベストだ。アキはそう考えているのだが・・・


「にゃ!?駄目よ!!!アキ君は何考えてるのかしら!!!」


 説明する前にエリザに速攻で却下された。先程頭ごなしに否定しないと言ったのは何だったのだろうか。ちなみにイリアも隣で「それは駄目かな。アキ、駄目かな!」とエリザに同調するように激しく頷いている。


「頭ごなしに否定しないんじゃ・・・?」

「ぐっ・・・で、でも!それは駄目よ!アキ君には私がいるのよ!浮気よ浮気!」


 エリザがふしゃーと威嚇してくる。


 しかし浮気とは酷い言い草だ。


「それなら何人も婚約者を作っている時点で浮気だろ。何故婚約者を増やすのはOKで娼館に行くのは駄目なんだよ。」

「誰も増やしていいとは言ってないわよ!アキ君が勝手に増やしてるんでしょ!!ふしゃー!!」


 なるほど・・・一理あるな。確かに言われてはいない。


「わかった。でもとりあえず理由を聞いてくれ。」

「どんな理由でも許可はしないけど・・・いいわ!言ってみなさい!!」


 そう言ってソファーに踏ん反り返るエリザ。色々突っ込みたいところだが、とりあえず説明する機会は貰えたので、まずは先程の計画をエリザやイリアに話した。

挿絵(By みてみん)

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