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異世界の観察者  作者: 天霧 翔
第三十六章 迫る影
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 それで今後ショルダードでどう行動するかだが、基本的にはオリハルコンの情報を持った例の商人にアキ達の正体を明かさず接触するといった感じになるだろう。だがアキの事を嗅ぎまわっている連中がいる中でそれは中々に難しい。もしかしたら既に例の商人の耳にアキ達の情報が伝わっているかもしれない。


 とりあえずどう動くかを決める前に、一旦その商人の情報をおさらいしておこう。まあアキが調べた情報と言うより、すべてユキから聞いたことだ。


 まず商人の名前はリオデル・サルサドール。ショルダードを本拠地としているサルサドール商会の会長。ただ商会と銘打っているが、エスタートの爺さんのように手広く色々な商売をしているわけではない。サルサドールが経営している店の種類はたった1つ。そう、娼館だ。だが娼館の運営に関しては超一流で、ショルダードの花街を牛耳っている商会らしい。


 そんな花街を取り仕切っているような商会とはいえ、ユキの調べによると、違法な人身売買など後ろめたい事は一切しておらず、一応は表向きは真っ当な商会らしい。正直治安の悪いユーフレインでは、そういった場所が犯罪の温床になるのかと思っていたが、違うらしい。これには少々驚きだ。まあ後ろめたい事をしていたら、王女に「良い話がある」なんてのこのこと顔を出しに来ないだろう。それかしていてもバレない自信があるからだ。


 そもそもサルサドールは商人で、「商会」と名乗っているからには商人証を持っている事になる。つまりサルサドールは正式に国から認可を得て、娼館を運営しているという事だ。不正などはしていないのは当然の話だろう。


 だがこれは全部表向きの話。いくら商人証を国から発行されたといえど、やり方はいくらでもあるし、信用は出来ない。貴族に賄賂を渡して商人証を取得し、裏で怪しい取引を行う事なんて容易だ。例えば奴隷商と組めばいくらでも娼婦を調達できるし、他国の貴族と組めば密輸が出来る。実際、アキがユキにお願いしたら、あっさりと商人証を貰えた。同じことしている連中がいると考えるのは当然だろう。


 つまりその辺の事も含めて、サルサドールの事を調べなければならない。ユキにも「徹底的に調べて。必要なら潰すわ」と言われているので、ある程度無茶な事をしても許される。


 ちなみにショルダードへ出発する前、奴隷商のサラのところへ顔を出しておいた。サラは以前ナギやジーヴスを買った奴隷商で、彼女は「まともな」奴隷商だとわかっている。そんな彼女に合法的に奴隷を娼婦として扱う事を出来るか聞いておきたかったのだ。


 一応ユーフレインでは奴隷の取り扱い方法が法律で厳しく定められており、非人道的な扱いは出来ないようになっている。ただそれを真面目に守っているのはサラくらいのもので、実際はかなり形骸化している状態らしい。まあそんな馬鹿真面目なサラだから話を聞く価値がある。彼女が「奴隷を娼婦として扱える方法がある」と断言するのであれば、そこに違法性は全くない事になるからだ。


 そんなサラとの話だが、彼女曰く、奴隷を娼婦として扱う事は出来るらしい。ただそれはあくまで本人が了承した場合のみ。例えば現在うちのメイドであるナギに「娼婦をしてくれ」と頼んで、彼女が了承すればそれで問題ないのだとか。余談だが、この話をサラにしにいった際、ナギに娼婦をさせようとしていると酷い誤解を受けて色々と大変だったとだけ言っておく。


「アキ君、どうするの?」


 エリザが聞いて来る。


 ちなみにうちの子達に先程の考えは全て伝えてある。


「そうだな・・・ルティア、サルサドールに俺の情報は流れてると思うか?」

「ん、間違いなく。」


 ルティアが悩む事なく即答する。


「だよな。」


 まあ一応聞いただけで、アキも同意見だ。


「でもアキ君はそれも想定済みよね?」

「うん。」


 花街を牛耳っているような商会の長が、情報に疎いわけがない。アキがこの街に到着した段階で、情報は伝わっていると考えていた。


 問題はそこじゃない。おそらくサルサドールには「ユキの御用達の商人がこの街に来ている」と伝わっているはず。彼が余程馬鹿な人間でない限り、アキが自分を調べに来た事ぐらいすぐにわかるだろう。つまりサルサドールは「神器の情報を持っている」とユキに謁見した事で、その裏付けを取る為にアキが調べに来たと思っているはず。そうなると少々面倒だ。真正面から会いに行っても、丁重に対応されるだけでなんの情報も得られないだろう。


「アキ君に考えはあるのかしら?」

「あるけど・・・」


 一応考えてはいる。だがうちの子達に全力で反対され、説教される気しかしない。

挿絵(By みてみん)

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