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異世界の観察者  作者: 天霧 翔
第三十六章 迫る影
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16

 ルティアに言われたのは、ショルダードの街の中央に立派な議事堂のような立派な建物があり、その裏手にある路地が人通りも少なく、合流場所として最適だと言う事だ。つまりアキ達はその議事堂とやらを目指せばいい。後は路地裏に行けばルティアが勝手に見つけてくれるだろう。


 ただ問題がある。ショルダードの街が広いと言う事だ。イニステラよりは小さいが、それでも相当広い。そして建物も雑然と並んでおり、どっちへ行けば街の中央なのかさっぱりわからない。時計塔のような遠くから見てもわかるような目印があればいいのだが、そんなランドマークのようなものは特にない。困った。


「うーん・・・立派な建物を探せばいいのかしら?」


 エリザが首を傾げながら呟く。


「エリザ、立派な建物は見えるか?」

「さっぱり見えないわ・・・」

「だよな。」


 アキ達が立っているのは、街の入り口から少し歩いた場所にある広場だ。周囲には露天商がそこら中におり、ところかまわず商売をしている。売られているのは骨董品・・・とかではなく、そこはやはり軍事都市のショルダード、ほとんどが武器や防具だ。兵士達相手に商売をしようと思うと、やはりそう言った物になるのかもしれない。


 だが兵士は国に雇われた国家公務員。武器などは国から支給されるのではないだろうか。だから武器なんか売っていて商売になるのか頭を傾げたいところではあるが・・・まあ今はそんな事考えて仕方ない。この広場からどっちへ向かうかだ。


「どっちだ?」


 広場からは大通りのような道が数本のびており、どちらへ向かうかを決めなければならない。


 左に伸びている道には商店らしき店がぽつぽつ並んでおり、商店街へと通じてそうな雰囲気を感じる。右に続く通りは、武器を持ち、鎧を着こんだ完全武装の兵士達が大量に行き来している事から、兵士達の詰め所や訓練場でもあるのかもしれない。そして斜め左に続く道にはオフの状態、腰に剣をぶら下げている程度、の兵士達が多いので、彼らの宿舎や住居があるのではないだろうか。


「アキ君、あの道じゃないかしら?」


 エリザは右斜め方向に続く道を指差す。


「そうだな、あっちへ行ってみるか。」


 おそらくエリザがその道を選んだのは、極端に兵士の往来が少ないからだろう。そして兵士達が少ない代わりに、馬車が頻繁に行き来している。きっと役人や貴族達が乗っていると予想し、あの道が国の施設がある街の中心部、中枢へと続いていると予想したのだろう。


 アキも彼女の意見に賛成だ。というかそれ以外に推測する材料がないので、とりあえず一番可能性が高そうだと思った。それに街はおそらく円形か方形に作られているはずなので、入り口から真っ直ぐに走っている道を行けばなんとかなるだろうとの予想だ。


「もうちょっとわかりやすいと思ったのにルティアめ・・・」


 あの子は「街へ行けばすぐに街の中央にある建物は分かる」と言った。だが実際にショルダードに来てみたが、あまりにも雑然に建物が並んでいるので、どこになにがあるのか全然予想がつかない。


――コツン


 そんな事を考えていたら、どこかから木の実が飛んできて頭に当たる。


「・・・ルティアか。」


――コツン


「どこにいる?」


――コツン


「出てこれる?」


――コツン


 文句を言った事に対する攻撃なのか、アキの問いかけに対する何らかの返事なのはわからない。とりあえず1つ言えるのは、ルティアは既に合流してくれていると言う事だ。


「あはは、もうある意味合流してるんだね・・・」


 木の実がアキの頭に当てられるのを見たイリアが苦笑いをしながら言う。


「そうだな、そういう意味で『すぐに分かる』って言ってくれたんじゃないかな?多分間違った方向へ向かったら教えてくれるんだろ。」

「えーっと・・・木の実で?」

「うん。」


 というか道を間違えたら絶対に木の実が飛んでくる気がする。


 試してみよう。


「とりあえず・・・エリザの言ってた方向に向かおうか。」


 そう宣言したところ、木の実は飛んで来ない。

 

「いや、やっぱり左の道に行こうか。」


――コツンコツンコツン


 木の実が大量に飛んできた。


 やはり間違えると木の実が飛んでくるらしい。


「・・・エリザの言ってた方向に行こう。」

「え、ええ、そうしましょ。」

「う、うん!」


 エリザとイリアが「大変ね」と慰めてくれた。

挿絵(By みてみん)

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