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異世界の観察者  作者: 天霧 翔
第三十六章 迫る影
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 ルティアの指示通り、アキ達はショルダードの防壁に向かって真っすぐ歩く。本当に周囲には何もなく、今のアキ達は防壁の上に設置されている監視塔から丸見えだろう。まあ普通に街へ入るだけなのでなんら問題はないのだが、監視されている気がするのは何か居心地が悪い。


 ちなみにルティアの姿は既になく、単身ショルダードへと向かったようだ。どこに隠れているのか、どうやって街へ入るつもりなのかは正直さっぱりわからないが、まああの子の事だから上手くやるのだろう。


 街へ入ってからの合流方法は既にルティアと打ち合わせ済みなので問題ない。ある場所を待ち合わせ場所にしていて、そこでルティアと一旦合流する予定だ。ルティア曰く、すぐに分かるとの事だが、アキはショルダードの街は初めてなので、その場所がどこにあるのか正確にはわからない。まあその辺はとりあえず街へ無事入ってから考えればいいだろう。


「アキ君、ほら、あそこを見てみなさい。」


 アキの隣を歩いていたエリザが右手を指差しながら言う。


 彼女が指摘する方向に目をやると、馬車が数台見えた。走っている方角からして、ショルダードへ向かっている馬車らしい。


「ショルダードに向かってるみたいだな。」

「ええ、あの後について行けばいいんじゃないかしら?」


 ルティアは防壁に辿り着いたら右へ歩けと言っていたが、ショルダードへ向かっている馬車があるのであれば、その後を追えばいいだろう。


「そうだな。そうしよう。」


 まあアキ達は歩きなので、馬車に物理的についていくのは不可能だ。と言う事で、馬車の轍を辿る事にする。


「あ、アキ、門が見えたよ!」


 暫くして、アキ達の先頭を歩いていたイリアが声を上げる。馬車の轍を辿る事数十分、やっと街の入口へ辿り着いたようだ。


「無事着いたな。」


 とりあえずは一安心だ。


「そうね。でも面倒なのはここからでしょ?」

「まあな。」


 だがエリザの言う通りだ。


 ちなみに何が面倒なのかと言うと、ショルダードの街へ入る際には検問があると言う事だ。今までそう言った事は一切なかったので、ちょっと不安だ。


 ベルフィオーレでは、どの街も自由に出入りができる。偶にいるハグレの魔獣対策の為に兵士を立たせているだけだ。まあそれはベルフィオーレが平和な世界で、犯罪者はほとんどおらず、魔獣もしっかり制御されているからこそ出来る事だ。


 だがユーフレインにあるエヴァグリーンの王都のイニステラも、一応出入りはある程度自由だった。立哨兵がいるのは魔獣の侵入を防ぐ為で、相当な不審者でもない限り、止められたりはしない。では何故王都でもないショルダードに検問があるのか。


 その疑問には、ショルダードへ出発する前にユキが答えてくれた。ユーフレインはそもそも治安が悪いので、検問なんて実施したら、時間が掛かり過ぎるらしい。街に入るだけで数日は掛かるようになるらしく、そうなると流通が完全にストップして今以上に経済が回らなくなる。さすがにそれは不味いと言う事で、犯罪者であろうがなかろうが、王都への出入りは自由。そして問題が起こったら騎士隊が責任を持って取り締まるという方法を取っている。


 一応ユキのその説明には納得した。ただ最善策ではないだろう。まあその辺は後日ユキに相談して見直す予定ではある。


 とりあえずイニステラの事はさておき、今はショルダードで行われている検問の話だ。王都では行われていない検問が、何故この街では実施されているのか。その理由は簡単。ショルダードが国境付近の辺境都市だからだ。


 この街の出入りを自由にすれば、他国からの間者が容易に入り込む可能性があるし、情報も集め放題。それは不味いと言う事で、警備を強化している。そしてどのみちショルダードは軍事都市なので、王都程の人の出入りはない。だから検問に時間が掛かったところで、流通になんら影響は出ないというわけだ。


 ただアキが他国の間者なら、王都まで足を延ばして国の中枢に忍び込むだけ。この検問にさほど効果があるようには思えない。ユキにそれを指摘したら「わかってるわよ!でもそこまで手を回す余裕はないの!」と愚痴られた。まあユキ自身も色々と問題があるとはわかっているみたいなので、これに関しても、追って改善していけばいいだろう。


「アキ君?考え事かしら?」


 そんな事を考えていたら、エリザが大丈夫かしらと心配そうに顔を覗き込んできた。


「大丈夫。それじゃあ行こうか。準備はしてある。」


 とりあえず今は街へと入る事が優先だ。もう目の前に検問がある以上、今更街の出入りをどう制限するのか考えても意味が無い。だがその辺はユキに相談して色々と準備してあるので問題はないはずだ。


「ええ、行きましょう。いざというときはおねーさんに任せなさい!」


 エリザが楽しそうにゆらゆらと尻尾を揺らす。


「頼りにしてる。」


 さっきまで色々考えていた事がどうでもいい事のように思えてくる。やっぱりうちの猫は癒しだ。

挿絵(By みてみん)

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