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異世界の観察者  作者: 天霧 翔
第三十六章 迫る影
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8

「出来る女なのはわかったからショルダードについて教えてくれ。」


 とりあえずショルダードについて聞こう。どこまでルティアが調べてくれたのかはわからないが、少しでも街の雰囲気がわかれば明日からの調査に役立つだろう。


「ん。」


 ルティアは小さく頷き、説明してくれた。


 ショルダードは辺境にある街ではあるが、かなり大きく、活気に溢れていたそうだ。そして街には兵士が多く、彼らを相手にする商売が大繁盛していたらしい。飲食店や夜の店などがその筆頭。


 やはりユキが言っていた通り、ショルダードは軍事拠点として発展した街のようだ。兵士の原動力は食事、そして女性を抱く事だと聞いた事がある。戦場に出た後は感情が昂り、欲求を発散する為に美味しい食事をしたり娼館に通ったりするらしい。アキは兵士としての経験がないので実際のところはどうなのかわからないが、そう言った商売が繁盛しているところを見ると、あながち間違いではないのだろう。まあアキも人を殺めた際は確かに感情が昂り、ミルナ達に甘えた覚えがあるしな。うん、改めて思い出すと少々恥ずかしい。


「街の大きさはイニステラの半分くらい。」

「ふーん、辺境都市にしてはかなり大きいな・・・」


 そもそもエヴァグリーンの王都であるイニステラ自体、かなりでかい。アキ達が拠点としているエスぺラルド王国の王都ミスミルドの数倍はある。つまりショルダードはベルフィオーレの世界の王都くらいはあると言う事だ。やはりユーフレインはでかい大陸だけあり、1つ1つの規模が違う。


「ん。だから調べるのかなり大変だった。」


 大変だと言いつつも、しっかり調べてくれているあたりさすがルティアだ。


「助かるよ。他には何かある?」

「もち。例の商人の事も少し調べた。」


 ルティア曰く、オリハルコンの情報を持ってきたくだんの商人だが、彼の商いも娼館の運営がメインらしい。イニステラに来たのは娼館で働く娼婦を見繕う為だったのだとか。


 そしてその娼館は大繁盛していて、かなり荒稼ぎしているようだ。それに加え、娼館には色々な情報が集まるようで、その商人は情報屋としての顔もあるのだとか。客が愚痴まじりに色々な話を娼婦に話すので、自然と情報が集まるらしい。


「なるほど。オリハルコンの事を知っていても不思議ではないのか。」

「ん。その情報屋としても優秀みたい。」

「ならオリハルコンの情報を持っていると言う話も信憑性も増すな。」

「その辺はまだ調べてない。ごめん。」


 ルティアがしょんぼりした表情で呟く。


「いや、十分すぎる。さすがルティアだよ。」

 

 というかルティアは街の下調べを終え、くだんの商人についての情報も探ってくれた。明日アキが調べようと思っていた事がほとんど調べ終わっている。


「そう?」

「ああ、ありがとな。」

「ん!」


 アキが撫でてやると嬉しそうに目を細めるルティア。


「明日は色々と教えてくれ。」


 ルティアのおかげで街の下調べをしなくて済む。明日は実際に街を見て、すぐに商人の調査に入れるだろう。


「出来る女にドーンと任せる。」

「おう・・・任せるよ。」


 どうやら「出来る女」というフレーズが気に入ったらしい。


 とりあえず明日が楽しみだ。今まで軍事都市と言うのは行った事がないので、どんな街なのか気になる。しかし娼館が繁盛している都市となると、うちの子達はやはり連れていけない。ミルナ達を連れていたら娼婦と間違われて面倒事に巻き込まれる未来しか見えない。特にミルナの普段着なんて娼婦と言われてもおかしくないくらいに薄着だしな。


「イリアには露出の少ない服を着させるか。エリザは・・・大丈夫だな。」


 エリザは元々そこまで肌を露出した服を好まない。雰囲気も落ち着いているし娼婦と間違われる事はないから安心だ。一応言っておくが、決して年増だからという意味ではない。


「ん、私は影にいるから大丈夫。」

「そうだな。イリアは護衛、エリザは俺の秘書官にでもしておけば問題ないだろ。」


 これで明日の面子も予定も決まった。後は実際に乗り込むだけだ。何事もなく終わればいいが・・・何故だろう。何か起こる嫌な予感しかしない。

挿絵(By みてみん)

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