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異世界の観察者  作者: 天霧 翔
第三十六章 迫る影
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6

「お呼びでしょうか、アキ様。」

「なになにー、呼んだー?」


 アキが呼ぶとすぐさまジーヴスとナギが姿を見せる。


 この2人はユーフレインで奴隷として売られていたのでアキが屋敷の使用人として買った。ジーヴスは人族で、老年の男の執事。孫娘のユミーナと一緒に引き取った。そしてナギは犬人族で見た目麗しい若き女のメイド。最初は2人にユーフレインの屋敷の管理をして貰っていたのだが、なんだかんだあってベルフィオーレへ連れてきた。信頼できるとわかったので、アキ達の事情を全て話し、今ではこっちの本宅の管理をして貰っている。


 しかし対照的な2人だ。ジーヴスはピシっとしていてまさに非の打ち所の無い執事と言った感じ。動きに卒が無く、一つ一つの所作が美しい。一方のナギはどこかふわふわしていて、返事も仕草も適当だ。アリアは「ジーヴスさんはいいですが、ナギは少々無作法過ぎます。」とよく愚痴っている。だがそこがナギの可愛らしいとこだろう。あの犬耳のメイドはこれくらいが丁度いい。それに仕事はしっかりしているので何ら問題はない。そもそもアキが言葉遣いなどは好きにしていいと言っているので、2人とも自分がやりやすいようにしているだけだ。


「2人共、ユキの事は覚えているよね?」


 最初ユキを連れてきた時、ジーヴスもナギもユキが誰だかわかっていなかった。まあいくら自国の王女とはいえ、王族との面識なんて普通に暮らしていてはないだろうし、知らなくて当然だ。


「勿論でございます。エヴァグリーン王国第一王女殿下でございます。」


 そう言ってジーヴスは丁寧にお辞儀をする。


「うん!覚えてるよ!久しぶり!ユキ王女様!」


 一方のナギは犬耳をぴこぴこ動かしながらユキに軽く会釈をする。


 普通ならナギの態度は不敬と言われかねないが、ユキが許しているから問題ない。というもの、「アキの屋敷にいる時は王女をしたくないから仰々しくしないで」と2人に直接言ったらしい。まあ本人達が納得しているならアキが口を出す事でもないので好きにさせている。


「元気そうね?」

「ええ、アキ様にはよくして頂いております。」

「うんうん!毎日が楽しい!」

「ふーん・・・羨ましいわね。」


 ユキがボソっとそう呟いたのが聞こえた。


「ねえ、貴方。」


 そしてアキに「提案があるの」と話しかけてくる。


「却下だ。」

「ちょっと!まだ何も言ってないわよ!」

「どうせ碌でもない事だろうが。」

「そんな事ないわよ!私も奴隷になって貴方に買われたら、王女辞められて養ってもらえるかなって思っただけよ!」

「最悪の提案じゃないか。」

「なんでよ!私を養えるのよ!光栄でしょ!」

「いらん、帰れ。」


 大体王女が奴隷になるという発想がもう頭がおかしい。しかも何故アキが引き取って養わなければならないのか。ナギやジーヴスは使用人としてしっかり仕事してくれているので、その見返りに衣食住を提供しているWinWinな関係だ。だがユキの場合、絶対使用人の真似事なんて出来ないだろう。本当にただアキが養うだけになる。そもそもうちにはもう半ニートのミルナやソフィーがいるのだから、これ以上穀潰しはいらない。


「酷いわね!?ちょっとエスぺラルド王国第一王女のアイリーンベル?貴方の婚約者が酷いのだけれどどうなってるのかしら!!!」


 今度はベルに文句を言い始めた。だがそれは無駄だ。


「アキさんの言う通りです。お帰りください。そして二度と来なくていいです。」


 見ての通りベルはこっち側だ。そして常にアキの味方で、不利益になるような事は絶対にしない。


「ぐぬぬ・・・もういいわよ!ナギ!ジーヴス!いくわよ!」

「かしこまりました。」

「はーい!アキ!いってくるねー!」


 どうやら何を言っても勝てないと観念したのか、ユキはうちの使用人達を連れて屋敷を出ていった。とりあえずこれでユキの件は片付いた。ナギとジーヴスには面倒な王女を押し付けてしまったお詫びを後でしておこう。


「じゃあ俺達も行くか・・・で、どこに行く?」


 早速ミルナ達と出掛けようと思い、希望を聞いてみる。


「カフェですわ!」

「お散歩ですー!」

「新しいぬいぐるみ・・・じゃない!お買い物がいいわ!」

「食べ歩きかなー?」


 それぞれが思い思いの場所を叫ぶ。見事にバラバラだ。いつもは一致団結していて息がピッタリなのに、こういう時は何故か意見が合わないミルナ達。

 

「「「「・・・ぐぬぬ。」」」」


 そして全員で睨み合いを始めた。


 これは出掛けるまでしばらくかかりそうだとアリアが淹れてくれたお茶を啜る事にした。

挿絵(By みてみん)

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