かたい水
男は砂漠を彷徨っていた。
食料とラクダは砂嵐に巻き込まれ行方知れずとなり、地獄のような日差しが体を焼いた。
そんな時、目の前にオアシスが現れた。
男は走って中の泉へ向かった。
「そのままでは飲めませんよ」
澄んだ泉に手をつけようとした瞬間、女性が現れて言った。
「なぜ飲めないんだ」
「硬水だからです」
「それなら平気だ。俺は生まれて一度も腹を壊したことはないし、今は喉が渇ききってるからな」
男は泉に手を突っ込もうとした。
しかし、壁にぶつけたかのような痛みを受けただけで、手が水に沈むことはなかった。
それを見た女性は、
「だから言ったじゃないですか、ここのは特に硬いのですよ」
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